技術情報
いよいよ本格普及か?Apple Watch その核心ポイント

技術・調査委員会 松村直哉

iPhone8に続き9月22日にApple Watchが発売されました。

これまでのApple Watchと大きく異なる機能としてはLTEを内蔵した、ということです。
以前のApple WatchはiPhone本体との通信を基本としたもので、iPhone本体が近くにあればBluetoothで通信し、これが使えなくなるとWi-Fiに切り替えるといった器用な通信を行うことでユーザビリティを上げてきました。
https://support.apple.com/ja-jp/HT204562
しかし、今回、LTEをサポートしたことで、空母から解き放たれた戦闘機のように自由に動き回ることができるようになりました。

その昔、愛用していたSONYのPalm端末、クリエに通信機能が付かないものかと思っていたところに登場したのが、iPhoneでした。

 

https://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200301/03-0127/
当時、クリエもApple Watch同様にBluetoothによる通信機能をサポートしていました。
今回のApple WatchはiPhoneがデビューした当時の変革を再現するものではないかと思います。

*Apple Watchに関するレポートは以下のページを見て頂ければと思います。
http://www.sin-space.com/entry/apple-watch-3-review-0926

さらにLTEを内蔵したApple Watchはその大きさを変えることなく、この大変革を遂げました。その一つの大きな要因としてeSIMの採用があるかと思います。
この変革を実現したeSIMについて少し解説してみたいと思います。

これまでスマートフォンの契約をすると窓口で切手をさらに小さくしたSIMカードをスマートフォンにさすことで、携帯電話会社の音声やデータ通信のサービスを受けることができました。

以前はドコモで購入したiPhoneにはドコモのSIMしか対応していませんでしたが、iPhone6sからはSIMフリーとなり契約から半年すれば、有償にてiPhoneをSIMフリー化することができるようになりました。
これにより、国内の他の携帯電話会社のSIMを差しても利用することができるようになりました。特に便利と感じるのが海外旅行のときだと思います。SIMフリーのスマートフォンであれば、現地にある一定のデータ通信料がチャージされたSIMを差すことで簡単に利用することができます。

eSIMはこういったSIMカードの抜き差しをハードウェア(Apple Watchのような)のなかに組み込んでしまうことで不要としています。
eSIMへの書き込みの一つの方法として以下のようにiPhoneを経由した契約情報(プロファイル)を書き込む方法があります。eSIMはこのプロファイル情報を複数書き込みでき、iPhone側のSIMを入れ替えることで、対応する契約情報(電話番号など)に書き換えることも可能としています。このeSIMの採用により、母艦であるiPhoneの契約情報に書き換えることができるのです。直後からApple Watchは一人歩きできる優れものに変身します。

 

Apple WatchはeSIMを搭載することでLTE通信の仲間入りを果たしました。これはiPodが通信機能をもったiPhoneが起こした変革を予感させます。
CPUやバッテリーのさらなる進化とともにApple Watchが真のiPhoneネクストになる日が来るのが楽しみです。


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