キャリアインタビュー ワイヤ・アンド・ワイヤレス 社長 大塚浩司氏
Wi2 新アプリ「ギガぞう」を開始
顧客ニーズに応える高機能・安心Wi-Fiサービス
KDDIグループで、公衆Wi-Fi専門事業者として多数のWi-Fiサービスを提供しているワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が、この3月に新アプリ「ギガぞう」を発表した。
Wi2は、①KDDIグループ向けでau、UQ、J:COMなどに、②MVNO/ローミングパートナーを通じてビックカメラグループ、IIJ、楽天モバイルなどに、③TRAVEL JAPAN Wi-Fiで訪日外国人などに、多様なWi-Fiサービスを提供しているが、大塚社長は、「ギガぞう」は、国内のWi-Fi利用者に対して「安心・安全」「快適」な新サービスを提供し、自社ブランドサービスによる顧客基盤の強化に向けた本格的な取り組みだと述べる。
ユーザーニーズに応える究極のWi-Fiサービス
――3月から新アプリ「ギガぞう」の提供が始まりました。
大塚社長 弊社は公衆無線LAN接続サービスを提供している会社ですが、約3000万のご利用のうちKDDIグループ向けやMVNO/ローミングパートナー向けの割合が多く、自社直販サービスである「Wi2 300」は必ずしも基軸とはいえない状況です。
モバイル/ワイヤレス市場が新しい局面を迎えるなかで、弊社としては基盤となる「Wi2 300」を「ギガぞう」に改めて事業の基軸に据え、顧客基盤の強化に本格的に取り組んでいきたいと考えています。
――「ギガぞう」はどういうサービスですか。
大塚 スマートフォンアプリですから、アプリストアからダウンロードするだけで、誰でも簡単に導入できます。
アプリをオンにしておくだけで、商用Wi-FiスポットでWi2 300がすぐ使えるのはもちろんですが、街中の各種フリースポットでWi-Fiサービスが使えますし、その他宿泊施設などでもWi-Fiサービスが利用できます。
ギガぞうのポイントは次の6つです。①月額500円の定額プランで使い放題、②安心の高セキュリティ、③主要飲食チェーン等も含む全国8万スポットの豊富なアクセスポイント、④ログイン操作不要の自動でWi-Fi接続、⑤LTE接続中の通信料金を節約、⑥スマートフォンだけでなくいろいろな端末で使える、ということです。
最大の特徴は、高度な付加サービスが利用できるという点です。
まず、EAP-TTLS対応なので、SIM認証を用いる大手キャリアのWi-Fiサービス相当の高速認証・セキュリティで快適接続されます。
次に、認証連携が優れています。各種フリーWi-Fi接続プロファイルを搭載し、Web-API方式による自動認証を実現しています。また、VPN対応なので、対応フリーWi-Fi接続後、VPNによる通信内容保護まで自動的に実施します。
宿泊施設などでも、VPN対応なので通信内容をプロテクトし、暗号化非対応Wi-Fiスポットでもいつでも安全に通信できます。
――Wi-Fiサービスで、ユーザーが気になる点はすべてカバーしたわけですね。
大塚 ネットワーク側の設備で、これらをクリアしました。
さらに、スマートフォンユーザーは、当然、LTEも利用しているわけですが、LTEデータの最適化機能を持たせているので、ユーザーはVPNにより専用システムに接続しLTE通信の通信量を節約します。ユーザーは月末になり、ギガが足りないとか、速度制限ということから免れる効果が期待できます。
VPNで安心安全を実現すると同時に、使えるデータ量の増加や通信料金の節約を実現しているのです。
――これらの機能強化はどういう意味を持つのでしょうか。
大塚 ユーザーがWi-Fiサービスを選択するにあたり、判断基準となるのは、通信料金の節約効果とセキュリティ、認証速度です。これらにすべて手を打ったサービスをご用意したということです。
今回は、それをau Wi-Fi SPOTユーザーだけでなく、広くスマートフォンユーザーにアピールし、Wi2を選んでいただきたいと考えています。
――究極のWi-Fiサービスということですね。これに踏み切られた狙いはなんでしょうか。
大塚 Wi-Fi専業サービスプロバイダーとして事業基盤を自社ユーザーにおくということです。
Wi-Fi専業事業者としての基盤づくり
大塚 弊社はもともとWiMAX事業を目指す企画会社としてスタートしましたが、Wi-Fi通信事業者となり、積極的にアクセスポイントの設置を進めサービスエリアを広げてきました。2010年、KDDIの傘下に入ってからは、スマートフォンのデータオフロードの役割を担い、「携帯電話のau、WiMAXのUQ、Wi-FiのWi2」というグループ連携のフォーメーションが出来ました。
私が社長に就任したのは2013年6月からですが、当時KDDIグループ内で分散していたWi-Fiのビジネス担当部門が合流し、KDDIグループ内のWi-Fi専業会社としてサービスを展開してきました。こうして、auユーザ向けの Wi-Fiサービスの提供とともに、カフェ・ファーストフードをはじめとするエリアオーナーWi-Fiや自治体Wi-Fiの提供、インバウンド向けビジネスの展開など、グループ内でも独自のサービスを進めています。
こうした経緯を経て、現在、グループ全体で全国約20万超のアクセスポイントのインフラをオペレーションし、KDDIグループ向け、MVNO様向けと、直販及びパートナー様向けのトータルで約3000万IDのご利用をいただいています。
しかし、弊社が今後もWi-Fiサービスを安定的に提供し続け、更に新しいビジネスを展開していくには、やはりWi2の直販向けサービスを充実させ、顧客基盤を強化する必要があります。
そこで、Wi2ブランドのサービスをいかに強化するかということを考えた次第です。
――Wi-Fiサービスは、「Wi-Fi=無料」という捉え方が行き渡っており、キャリアWi-FiもLTEの付属という観念となっています。それを有料サービスとしてマネタイズしていくのは、なかなか大変な仕事になると思います。
大塚 私たちは、本来のサービスプロバイダーとして進んでいこうと考えています。その最初の正念場と考えています。これまで、弊社はライセンスバンドのキャリアのサービスの補完的な位置付けでのサポートを中心事業にしていたわけですが、これからはユーザーを直接対象に、本来のアンライセンスバンドのサービスプロバイダーとして、アクセスサービスの事業を展開していきたいと考えています。
確かに、フリーWi-Fiの概念が浸透していますが、現在、Wi-Fiはどうでもよいものかというと、まったく逆で、むしろますますその必要性が高まっているのではないでしょうか。
LTEが広がろうが、5Gが始まろうが、コストパフォーマンスがよくて使い勝手のよいWi-Fiサービスはもはや個人でも、ビジネスでも不可欠な存在になっているのではないでしょうか。
むしろ、本来あるべきWi-Fiサービス、ユーザーが欲しいと思うWi-Fiサービスが必ずしも的確に十分、提供されてこなかったのではないかと考えているわけです。ユーザーは今のWi-Fiサービスに満足していただいているかというと、エリア、接続性、認証、セキュリティなどいずれにおいても、まだまだ百点はもらっていないと思うのです。
私たちは、Wi-Fi専業のサービスプロバイダーとして、そこにドンピシャでお応えする義務があると考えているのです。それに応えていくためのサービスが「ギガぞう」なのです。
――確かに、ユーザーは現存のWi-Fiに満足しているかというと、むしろ不満はあるがフリーだから仕方ないかという気分に近く、本当に不足のないWi-Fiサービスにはちゃんと金を払っても利用したいという声が沢山あると聞いています。いわば「ロイヤルWi-Fi」のようなイメージですと、きちんとお金を払いたいと考えていると思います。
大塚 その指摘は正しいと、私どもも認識しています。
――すると、まさに会社の将来をかけたサービスですね。
大塚 戦略的なサービスであることは間違いありません。単に接続するというだけのサービスではなく、ユーザーの求めているニーズにWi-Fiと組み合わせて応えるサービスとして展開したいと考えています。それによって、Wi-Fi自体のバリューをあげていきたいと思っています。
たとえば通信品質でいうと、よく使われているアクセスポイントは、接続からスループットまでの品質を総てチェックして、改善します。お客様に評価いただけるネットワーク品質にしていきたいと考えています。機能を磨きあげ、エリアの磨きあげをしたい。
エリアオーナー様との提携もさらに強化したいと考えています。来店客が増えれば、エリアオーナーも喜んでいただけます。一つの設備で、エリアオーナーのニーズ、サービスとWi2サービスと共存したいと考えています。
たとえば、「ギガぞう」のユーザーが増えればエリアオーナーはエリア独自のサービスを提供する負担が減り、また、設備も更新できます。それにより、Wi-Fiスポットのバリューが上がり、店舗等の利用者増につながります。それは一つのエコシステムになります。
自治体のWi-Fiサービスも同様の関係です。Wi-Fi利用者、エリアオーナー、Wi-Fi整備事業者の皆さんと様々な連携を行い、このエコシステムを拡大して行きたいと思います。
「ギガぞう」アプリ提供開始プレスリリース
https://wi2.co.jp/jp/20180301-gigazo
ギガぞう
https://wi2.co.jp/jp/personal/gigazo/
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