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技術情報
アンライセンスバンドを使うLAA、北米の最新動向

技術・調査委員会 松村直哉

LAA(License Assisted Access for LTE)は、Wi-Fiの5GHz帯を利用する3GPPにより仕様化された新しい通信方式で、一昨年から注目を集めています。
本メルマガ「海外情報」でも、昨年3月号で「AT&TのLAA(5GHz)方針」について触れています。

今回は、このLAAの最新状況について、紹介します。

同期方式のLAA、非同期のWi-Fi

御存知の通り、Wi-FiはCSMA/CAを使った非同期通信をベースとしています。他方、LAAはキャリアセンスを実施するものの、LAA基地局(AP)間の干渉を避けるために同期方式を採用しています。
そこで、同じ5GHz帯を非同期方式のWi-Fiと同期方式のLAAが同居しているイメージとなります。

 

このアンライセンスバンドを利用する方式には、上図のようにLTE-UやLWA/LWIPなどがありますが、詳細については『Wi-Fiのすべて 無線LAN白書2018』を参照いただければと思います。

AT&TがLTE-LAAを導入

北米の最新状況として、AT&Tがインディアナポリスで商用LTE-LAAを導入したと発表しています。
AT&T rolls out LAA in downtown Indianapolis
https://www.fiercewireless.com/wireless/at-t-rolls-out-its-first-laa-indianapolis
記事の中では「インディアナポリスはLTE-LAA技術の商用展開を開始した最初の都市です」と述べられています。

また、Sprintも、120~140Mbps通信を達成したとあり、実用レベルに近づいているものと想定されます。
Sprint achieves 120-140 Mbps in LAA deployment with SpiderCloud, says LAA on long-term road map
http://www.fiercewireless.com/wireless/sprint-achieves-120-140-mbps-laa-deployment-spidercloud-says-laa-long-term-roadmap

ただし、最初のAT&Tの関連記事のなかには「ユーザーはGalaxy Note8でLAAを利用することができる」とあり、使える端末にはまだ制限があると考えられます。

さらに、iPhoneにおけるLAAの提供について書かれたニュースがありました。

Qualcomm’s iPhone X Still Outpaces Intel’s
https://www.pcmag.com/news/357671/exclusive-qualcomms-iphone-x-still-outpaces-intels
これは、Qualcommチップ搭載のiPhone XとIntelチップ搭載のiPhone Xとの性能差について書かれた記事です。

この記事は主にLTEの性能について記述されており受信レベルが-85dBm以下になるとデーターのスループットに若干の差が出てくるというものです。

また、LAAについてはiPhone XのQualcomm X16モデムはLAAをサポートしているが、IntelのモデムはLAAをサポートしておらず、製品の一貫性を重視するAppleはLAAをサポートしない可能性がある、と指摘した記述もあります。

iPhoneでの提供が不明な点や、Wi-FiのAPにファーム変更で利用できるLWA/LWIPと異なり、LAAは3GPPの仕様も折り込まれています。そためアンライセンスバンドを使ってはいるもののWi-Fiのように手軽に利用できないところがあり、まだまだ、市場への展開は先になると思われます。


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