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Wi-Fi 技術講座
第7回 ハンドオーバーの動き

シャープ 段林 敏計

ハンドオーバーは、複数のアクセスポイントの通信エリアが重ね合わさるように連続して配置された環境において、端末が周期的にアクセスポイントの電波強度を監視し、より強い電波強度のアクセスポイントを検出したら通信を切断せずに電波強度の強いアクセスポイントに切り替えるための機能です。

本機能により、移動によって電波環境が変わった際に、より良い条件の方のアクセスポイントに切り替えたり、移動しても音途切れのない音声通信(VoIP:Voice over IP)が実現可能になります。

図表1 ハンドオーバーの動作

ハンドオーバーの方式としては、IEEE802.11rやPMKキャッシュなど複数の方式があり、正常に動作するためには、移動元のアクセスポイント、移動先のアクセスポイント、端末のいずれもが同一のハンドオーバー方式に対応していることが必要です。

スマートフォン等の端末において、ユーザーインターフェースでこの機能の有効/無効を切り替えられるものもあります。
また、ハンドオーバーをおこなうためのアプリケーションも市場に存在しています。

図表2

ハンドオーバーの制御方式としては、ネットワーク側で制御する集中制御と、端末側で制御する分散制御とがあります。

ハンドオーバー動作のためには、端末側においてバックグラウンドで定期的に周辺のアクセスポイントの電波強度を測定する必要があります。そのため端末の消費電流は動作を無効にしている場合に比べて増大する場合があります。

VoIP等の音声サービスの用途では、アクセスポイントの繋ぎ替えの時間を可能な限り短くするため、ハンドオーバーの際に端末側がIPに関する情報を再取得せず、IPアドレスを変更しないケースがあります。ハンドオーバーの際にIPアドレスを変更することを前提としているネットワーク構成の場合には、不要にハンドオーバー機能を動作させないよう配慮する必要があります。

エリアの構成において、下記のように、エリアのオーバーラップがない場合は、ハンドオーバー機能は有効ではありません。

図表3

また、ハンドオーバー非対応の場合には、エリアBの圏内に入ってエリアAの電波が弱くなってもエリアAのアクセスポイントに接続し続けます。
エリアAの圏外になってエリアAのアクセスポイントによって切断されたのちエリアBのアクセスポイントに接続を試みます。

切り替えの際に音声通話をしている場合、音途切れや通話切断されるケースがあります。


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