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ビジネス情報
待望の「折り畳みスマートフォン」、そして次は

小林忠男

「成熟スマホ 5Gに活路 サムスン、折り畳みで大画面」
韓国のサムスン電子はMWCに先立つ(2月)20日、米国で折り畳みスマホ「ギャラクシーフォールド」発表した。畳めば4.6インチのスマホ、開けば7.6インチのタブレットになる。「フォルダブル」と呼ばれる次世代スマホの本命だ。米国での販売価格は1980ドル(約22万円)からと高額になる。(「日経新聞」2月22日朝刊)

 「ファーウェイも折り畳みスマホ 5G対応、年半ば発売 29万円」
スマホの世界最大手、中国のファーウェイは24日にMWCで、5Gに対応するスマホの新機種を発表した。画面に有機ELパネルを使い、折り畳みが可能な形式を始めて採用。価格は約29万円、2019年半ばから販売予定。開くとタブレット、畳むとスマホとして使うことが出来、5G通信網に対応し、自社で開発した高性能チップを採用して処理性能を高めた。(「日経新聞」2月26日朝刊)

ようやく私の待ち望んだタイプのスマートフォンが登場しました。

私は、電車やバスの中で立っている時や居酒屋で人待ちしている時は「スマートフォン」を使い、家やオフィス、カフェやパブリックスペースで座る時は、スマートフォンより画面の大きい「タブレット」を使います。また、オフィスや家の机に座るときは、タブレットより画面の大きくキーボード付の「パソコン」を使います。

活動する場所により「大・中・小」の画面の3台の端末を使っています。

以前から、端末は今回のサムスンやファーウェイの折り畳みスマートフォンのように画面、ディスプレイが「大・中・小」に変化する端末を待ち望んでいました。画面が大きいほうが画質も綺麗だし、見やすいからです。

このことを『Wi-Fiのすべて 無線LAN白書2018』の第2部第1章第4節「スマートフォンのなくなる日」に書きました。少し長くなりますが、以下に引用します。

電話、パソコン、カメラ、オーディオ、辞書、電子ブック、ゲーム機などの機能、目的別に個人が所有していた端末、デバイスがスマートフォンの登場により1台に集約され、「All in One」になりました。  個人のすべての情報がスマートフォンの中にあります。スマートフォンの中に、その人の人生が入っていると言っても過言ではありません。便利と言えば便利ですが、紛失したときのセキュリティ対策をきちんと考えておく必要があります。

スマートフォンの次は、部品技術やワイヤレス技術の革新とクラウドの進化により、All in One の端末は再び機能分化し、これまでになく洗練された自分のお気に入りの端末、デバイスをユーザーが選択し使うようになると思われます。

 アップルが iPhone7でAirPods を採用しましたが、これはスマートフォンの機能分化の始まりではないかと感じています。Apple Watchも同じです。 

なぜならば、IoT のためにこれまでにない先進的なワイヤレスモジュール、チップが 商品化されます。これらを、AirPodsやApple Watch に採用すれば必ずしも iPhone に括り付けにする必要性はなくなり、単独に動作しネットワークにつながることが可能になるからです。

最近、アップルが折り畳みの出来るスマートフォンを開発しているとの情報が出ました。この折り畳み端末はどんどん進化し、ペーパーディスプレイになるでしょう。これが実現すれ ば、もうスマートフォン本体にしばられる必要はなくなります。 音楽は AirPods、Apple Watch、インターネットの画像情報、または電子ブック等はペーパーディスプレイで見ることになりスマートフォン本体は不要になるかもしれません。

 おそらく、図-1に示すようなデバイスに、ペーパーディスプレイ・Googleグラス・心拍センサー・イヤホンマイク・万歩計・Tablet・ミュージックプレーヤー・ウオッチなどの様々なウェアラブル端末がつながり、ネットワーク経由でクラウドに接続され、端末側とネットワーク側に多様なワイヤレスインタフェースを持つ「Smart PWR」が人工知能との結節点となり、新しいサービス・ビジネスを生み出していくと考えられます。


図-1

早く折り畳みスマートフォンを使いたいと思いますが、いくらなんでも5G 対応とは言え、20万円以上の価格は高すぎると思います。

スマートフォンは私たちの生活になくてはならないものになりましたが、世代を重ねるごとに機能が高度化し価格がどんどん高額になっています。新型iPhoneは買い替えが多い2年前の機種と比べて3~5割減となり、サムスン電子の高額機種も販売不振になっているそうです。

アップルやサムスン、ファーウェイの商品化戦略で機能を高度化し顔認証や高機能カメラが使えるようになっても、あまりにも高額になってしまったら利用者から見ればそんな機能はいらないから「もっと安いiPhone」が欲しいということなのでしょう。

ちょっと脱線しますが、スティープ・ジョブスの偉大さは、一台の携帯端末の中に「モバイル」と「Wi-Fi」のチップを搭載し自由に回線をユーザーが選択できるようにしたことだと思います。当たり前と思うかもしれませんが、当時の雰囲気はそんなことを言えばバッシングを覚悟しなければならない時代でした。お客様は何を望んでいるかを、どんな商品だったらお客様は喜ぶかという信念があったから出来たことだと思います。

図-2に示すように、「All in One」のスマートフォンはこれからもどんどん進化し多くの人たちに使われるでしょう。それとともに「Smart PWR」が端末・デバイスの結節点になり様々な端末をネットワークに接続し、さらには多様な個々のデバイスが適切なワイヤレスシステムにより直接ネットワークにつながるようになるのではないでしょうか。


図-2

それは以下の理由からです。

理由1

来年から5Gのインフラが構築され、5G サービスが開始されると思いますが、サービス開始時から現在のような小型軽量のスマートフォンは多くは販売されないでしょう。モバイルビジネスにおいては、インフラとお客様が満足する端末には必ず時間差があるからです。Wi-Fiルーターであれば5Gの電波をWi-Fiに吹き換えることにより、既存のWi-Fi端末・デバイスを5G環境の下で利用可能になります。

理由2

簡単に折り畳みの出来る超薄型のペーパーディスプレイが実用化されればスマートフォンの本体は必要ありません。また、音楽を楽しむイヤホン、時計、ARやVR用のメガネ型端末、血糖値・心拍センサー等がワイヤレスになりSmart PWRとつながれば、今のスマートフォンとは違うタイプの新しい端末になるかもしれません。

理由3

現在のスマートフォンは高すぎます。「All in One」は確かに便利ですがユーザーによっては過剰な機能までついているかもしれません。しかも、大手のチップベンダー、端末ベンダーの寡占化が進んでいて、ベンダー選定の多様化も進まず、新規参入の多様化も進んでいません。

図に示すように、Wi-Fi対応さえ出来れば誰でも簡単に多様な端末・デバイスがお客様に提供することが可能になります。特にこれからのIoT時代にはこれまでの想像を超える商品が出現すると思います。それを実現する原点は,若い中小のスタートアップの人たちではないでしょうか。このようなモデルはとても有効だと思います.

これまで様々ところで述べてきましたが、iPhoneが登場してから10年が経過しスマートフォンの次の時代になるということは、これまでのビジネスモデルが大きく変わるということだと思います。

変える気があれば誰にでもチャンスがあるということだと思います。


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