イベント報告
テレコムサービス協会北陸支部で講演
北條 博史
7月9日、金沢で開催されたテレコムサービス協会北陸支部の特別講演会に参加、AHPCの運営委員として802.11ahの動向を講演してきました。
特別講演会の様子を報告します。
特別講演会
主 催 テレコムサービス協会北陸支部、JA全農いしかわ
日 時 2019年7月9日(火) 15:00~17:00
場 所 金沢市(ITビジネスプラザ武蔵 研修室1)
内 容
①「農業情報分野の市場創造と勃興」
株式会社ぶった農産 代表取締役社長 佛田 利弘 様
②「JA全農が目指す農業ICTの取り組み」
JA全農 西日本営農資材事業所 事業推進課課長代理 阿部 浩人 様
③「IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)の動向と802.11ah推進協議会の取り組み」
802.11ah推進協議会 運営委員 北條 博史 様
(無線LANビジネス推進連絡会 会長)
ご挨拶
テレコムサービス協会 北陸支部 細野 昭雄 支部長(アイ・オー・データ機器 代表取締役会長)
我々も地域BWAの流れの中で、LoRaやSIGFOXの特徴や欠点を理解しつつありますが、本日は新しい11ahという方式をNTTBP/Wi-Bizの北條さんに紹介いただきます。ここにはSIerさんをはじめいろいろな立場の方がいらっしゃるので、講演の後にはぜひいろいろ質問をしていただきたいと思っております。
北陸支部では今後もこういった講演会を開催していきたいので、引き続きご協力をお願いしたい。
講演① 農業情報分野の市場創造と勃興
株式会社ぶった農産 佛田 利弘 代表取締役社長
佛田社長は、石川県農業法人協会の会長でもあり、一般社団法人「農業者ネットワーク」の理事長など含む数多くの役職に就いておられ、これからの農業経営のあり方について、特にICTとの連携の観点から農業分野の市場創造について講演が行われました。
・農業自体がこれまでの一家経営、父子伝承による生産者の形態から、技術・経営者の形態への変遷を遂げている状況で、最新のICT技術を取り込むことにより、明確な効率化やコストダウンが期待できる時代になってきた。
・ドラマの「下町ロケット」に出てきた自動運転について言えば、無人のコンバインや無人の田植え機であれば間もなく実用化される見込み。
・今もいろいろなトライアルを行っている状況で、農作業の映像コンテンツの作成・技術伝承や、田んぼの水位管理などに加えて、「準天頂衛星みちびき」による自動運転や農業用ドローンなど評価を進めている。
新しいサービスが次々と出てきており、今後、価格面での改善が見られれば爆発的な普及が期待できる。
講演② JA全農が目指す農業ICTの取組み
JA全農 西日本営農資材事業所 事業推進課 阿部 浩人 課長代理
阿部様は、前職の農林水産省の官民協議会で、農業分野におけるドローンの普及を進めておられましたが、現在は、JA全農で農業ICTの推進を進めておられます。講演では農業人口の減少と高齢化、新規就農者の増加など最近の統計値の紹介があったのち、以下のような具体的なICTの取り組みのご紹介がありました。
・圃場の位置情報と圃場の管理情報を結合して、情報を地図上に分かりやすく「見える化」することのできる営農管理システム「Z-GIS」の紹介
・営農計画策定支援システム「Z-BFM」と「Z-GIS」を連携した農業PDCAの実現
・営農活動を支援する会員制サービス「アピネス/アグリインフォ」
・JA全農のドローンに対する取り組み
講演③「IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)の動向と802.11ah推進協議会の取り組み」
これまで、802.11ahの説明に用いてきた資料を中心に以下の講演を行った。
・現状のIoTに用いられている各通信方式(LoRaやSIGFOXに加えてZetaやEltres)の比較を行い、その中での802.11ahの長所を紹介した。
・802.11ahの長所を生かしたユースケースの具体例をホーム、オフィス、インダストリ、農業の各分野ごとに紹介・説明した
・802.11ah推進協議会の取り組みを紹介した。特にワイヤレスJAPANでの実証実験の結果を紹介し、装置の商用化状況についても合わせて紹介した。
質疑応答では、
・いつ頃使えるようになるのか
・電池の持ち具合はLoRaなどと比べてどうか
・日本のメーカが製品化しないと進まないのではないか
など多くの質問があり、関心が極めて高いことが分かった。
まとめ
北陸の農業分野に携わっている人からも、LoRaやSIGFOXではトライアルの先になかなか進まないというコメントがあり、802.11ahの出番を期待されている。またそのあとの懇親会では、過疎地域の災害時などの各戸への情報伝達手段として802.11ahを使ってみたいという要望があることが分かった。今後ユースケースの一つとして実証実験を検討したい。
農業のIoTは今後飛躍的に進む可能性を秘めており、そのタイミングで802.11ahを提供することができればIoTのデファクトスタンダードになるのではないかと期待される。
そのためには、まず日本で使えるようにする法令改正をできるだけ早く実現できるように、802.11ah推進協議会の活動を推進していきたい。
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