事例紹介
群馬県下仁田町 小中学校の校内全域にWi-Fiを設置
渉外・広報委員会 江副浩
総務省が実施している「公衆無線LAN環境整備支援事業」を小中学校で利用する場合、普通教室へのアクセスポイントの設置は対象となっていません。しかし、群馬県の下仁田小学校と下仁田中学校では、アクセスポイントの設置箇所の検討段階から、通信事業者のアドバイスを得ながらレイアウトを検討することで、普通教室を含めた校内全域でWi-Fi環境を利用出来るよう構築に成功しました。
群馬県下仁田町(しもにたまち)の基礎情報について
人口:7,613人
世帯数:3,330世帯
高齢化率:46.5%
条件不利地域:過疎地域(全域)、振興山村(一部)
財政力指数:0.20(平成29年度)
Wi-Fi利用拠点数:2
アクセスポイント数:19
整備開始:平成29年
域内指定緊急避難場所数:15
域内指定避難所数:15
Wi-Fi環境整備実施の経緯について
下仁田町は昭和30年に5町村が合併し誕生しました。しかしその後人口減少が続いており、平成27年の人口は昭和30年比で34.7%となってしまい、地域経済、コミュニティの維持が大きな課題となっています。町は平成27年10月の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中でも人口減少、少子高齢化の抑制に向け、ICT技術を活用したまちづくりをめざしていますが、その一環として教育分野でのICT利活用も推進され、あわせてWi-Fiの活用が検討されるようになりました。
下仁田町の教育委員会は「主体的に学ぶ」態度の育成に注力しており、ICT及びWi-Fiの導入は主体的な学びの実現に向けて非常に有益であると考えていました。そこで、町内の小中学校においてWi-Fi環境整備が推進されることになりました。
「平成29年度公衆無線LAN環境支援事業」の利用検討にあたり、教育委員会から下仁田町総務課に働きかけを行ったところ、総務課も近年の災害発生ニュースを通じて避難所になり得る小中学校におけるWi-Fi整備の必要性を感じていたこともあり、スムーズに検討が進められました。
Wi-Fi環境整備の内容
教育委員会主導のもと、町内の下仁田小学校と下仁田中学校の2校に対してWi-Fi環境整備を行うことになりました。負担分の費用についても教育委員会によって成されました。
整備の内容は以下の通りです。
・下仁田小学校
校内の屋内向け:アクセスポイント9台
校庭の屋外向け:アクセスポイント1台
体育館の屋内向け:アクセスポイント1台
計11台
・下仁田中学校
校内の屋内向け:アクセスポイント6台
校庭の屋外向け:アクセスポイント1台
体育館の屋内向け:アクセスポイント1台
計8台
防災時以外の平時での利用ニーズが高いため、アクセスポイントの設置に関して通信事業者と連携して、補助対象とならない教室に設置せずとも校内全域をカバーできるよう工夫を行いました。結果的に校庭を含めた校内全域をカバーすることに成功しています。
整備運用費用について
下仁田町でのWi-Fi環境整備費用は以下の通りです。
年度:平成29年度
整備費用:15,143,000円
設置箇所:3カ所19AP(防災拠点/小中学校)
備考:平成29年度公衆無線LAN環境整備支援事業を活用(10,095,000円)
Wi-Fi環境整備効果
本整備事業以降、平成31年3月21日までの間、災害発生などにより該当の2校が避難所として開設された実績が無く災害発生時における効果は把握されていません。
一方、下仁田町の教育委員会は下仁田小学校、下仁田中学校の生徒に対し「ICTアンケート」を実施しています。アンケートの結果からは、小学校、中学校の児童・生徒の大多数が「ICT(タブレット)を使った授業は楽しい」と回答しており、Wi-Fi整備を通じたタブレットの活用により生徒の授業に対する満足度が向上していることが確認されます。また、小学生の約60%が、ICT(タブレット)を使うことで授業中の発言・発表をしようという気持ちが「増える」、「どちらかというと増える」と回答しており、下仁田町の教育委員会が掲げる”子どもたちが「主体的に学ぶ」態度の育成”においてWi-Fi整備によるタブレット活用が一定の効果を示していることも確認されています。
参照先:
総務省「地方公共団体におけるWi-Fi整備・利活用事例集」http://www.soumu.go.jp/main_content/000618328.pdf
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