イベント報告
第11回技術セミナー報告 その2
Wi-Fi6についてお答えします~Q&Aセッション紹介~
技術・調査委員会 本橋 篤
急に涼しくなり、すっかり秋の気配が漂うこの頃ですが、先月9月11日に東陽テクニカ本社ビルで行われた、技術セミナー「今こそ知りたいWi-Fi6の最新動向」の報告のその2として、「Wi-Fi6 Q&Aセッション」を紹介します。
関連情報として、Wi-Fi技術講座の 「Wi-Fi6 = IEEE 802.11ax」のシリーズも、合わせてお読み頂くことをお勧めします。
「Wi-Fi6についての質問ありますか?」
本セッションは、「技術セミナーで、何か新しい取り組みができないか?」、そんな思いから生まれたセッションです。当初は「本当に質問が集まるのか?」とかなり不安でしたが、ふたを開けてみると、36件のご質問を頂くことができました。
技術セミナーということで、Wi-Fi6の機能や対応製品についてのご質問を多く頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。
ご質問に回答しました
時間の都合で全てのご質問には回答できませんでしたが、ディーエスピーリサーチの富樫様、小松委員長、前原副委員長、そして日本ヒューレット・パッカードの山田様に壇上に立っていただき、司会は本橋が担当しました。
以下、主なものをご紹介します。
Q. 802.11axとWi-Fi6どう呼び分ければ良いか?
A. どちらでもいいが、Wi-Fi6の方が一般に分かりやすいと思う。
Q. 802.11axのDraft4.0と最終版の違いは何か?
A. ユーザが気になるレベルの違いはない。
Q. Wi-Fi6対応製品のリリース時期はいつ頃か?APベンダーの対応・普及時期についてどうか?
A. すでに出ている製品のハードウェアがOFDMAのuplinkに対応していれば、(技術的には)ソフトアップデートに対応できる。
Q. Wi-Fi6対応PC・スマートフォンはいつ頃発売されるか?クライアント側の対応・普及時期についてどうか?
A. スマートフォンは対応を開始している。PCは年内にはハイエンドモデルから対応すると予想している。
Q. Wi-Fi6の技術仕様の制度化については、2019年内に終わらせる予定との認識だが、既にWi-Fi6製品が市場に出回っているのはなぜか? 販売されているものを購入して良いものなのか?
A. Wi-Fi6の技術仕様と電波法の技術基準は別のもので、日本の電波法の技術基準を満たしている製品であれば問題ない。
Q. ストリーム数によって考え方は変わるが、11axの有線側はNBASE-T/mGigが主流(必須)になるのか?
A.スループットが1Gbpsを超えてくるので、NBASE-T/mGig対応が必要。スイッチの対応も考えてほしい。
Q. 公衆無線LAN事業者から見た時に、Wi-Fi6に投資していくものになるのか?公衆無線LANへの普及はいつ頃?
A. 端末の普及具合を見て判断していくと考える。
Q. 無線LAN製品でWi-Fi6対応などとうたう場合、Wi-Fi Allianceに加入して認証プログラムを受ける必要があるのか?
A. 認定がなくてもWi-Fi6対応とうたえる。ただし、Wi-Fi CERTIFIEDロゴを使うは認証が必要。
Q. Wi-Fi6は、2.4GHz帯での運用も考慮されているが、既存の2.4GHz帯での以下の問題に対してどのような対策が行われているか?(既存旧規格との混在、別規格の無線、電子レンジなど)
A. BSS Coloring等で混在に強くなっている。規格以外の面でも各メーカーが工夫をしている。
Q. Wi-Fi6で通信をする際に、移動機側の電池消耗が激しくなるようなことはないか?
A. Wi-Fi6にTWT(Target-Wakeup Time)という機能があり、端末を非アクティブにして電力消費を抑えることができる。
Q. Wi-Fi6対応APから非対応APにハンドオーバーする際には、どのような処理となるのか?
A. 端末側(STA)のドライバに依存するが、従来のハンドオーバー処理と変わらない。
Q. Wi-Fi6のパフォーマンスを出すためには、どの程度の電界強度・SNRを確保すればよいか?
A. 最高レートである1024QAMなら-55dBm、160HMz幅なら-24dBm程度は必要になる。
Q. 144chの対応は必須か?
A. 対応は、必須ではない。ただし、チップは144chに対応している場合が多いと想定。
Q. セルラーの5G(ローカル5G含め)と比べてWi-Fi6の優位性は何か?
A. 下位互換、フレキシビリティなど5Gにない優位性があるが、5GとWi-Fi6は補完関係。
Q. Wi-Fi6が市場に出始めているが、次の世代のWi-Fi7の検討はあるのか?
A. 6の次には7がきっとあると思う(笑)。
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