事例紹介:静岡県川根本町
防災拠点Wi-Fiを「児童向けプログラミング教室」に活用
渉外・広報委員会 江副浩
静岡県川根本町(かわねほんちょう)ではWi-Fiを整備した防災拠点を、平常時は児童向けプログラミング教室として利用しています。
静岡県川根本町の基礎情報について
人口:7,062人
世帯数:2,893世帯
高齢化率:47.7%
財政力指数:0.37(平成29年度)
Wi-Fi利用拠点数:22
アクセスポイント数:105
整備開始:平成26年
域内指定緊急避難場所数:52
域内指定避難所数:11
Wi-Fi環境整備実施の経緯について
川根本町では、平成26年度に総務省の「情報通信利用環境整備推進交付金」(「光の道」整備推進事業)を活用し、超高速ブロードバンドの整備を開始しました。
超高速ブロードバンドを活用した情報発信手段のひとつとして、Wi-Fi環境整備を通じた情報発信に注力する動きとなったのが町としてのWi-Fi環境整備のきっかけでした。
川根本町における情報政策については、平成25年より川根本町長に就任している鈴木敏夫(すずきとしお)町長がリーダーシップを取り、地域発展のための超高速ブロードバンド整備やWi-Fi環境の整備等を積極的に推進してきました。
平成26年11月にはICT(情報通信技術)の利活用による住民サービスの向上、便利で暮らしやすいふるさとづくりの実現を目的に「川根本町ICT利活用検討委員会」(以下、委員会)が設置されています。委員会は町内の有識者を中心に構成され、防災、福祉、教育、観光、農業等の産業関係、職場など、様々な分野におけるICT(情報通信技術)の利活用方策が検討されており、そのテーマの一つとしてWi-Fiの利活用も取り上げられてきました。
Wi-Fi環境整備においては、「防災情報ステーション等整備事業」(平成25年度補正)、「観光・防災Wi-Fiステーション整備事業」(平成26年度)を活用し、防災拠点(町内の小中学校等)や観光拠点(キャンプ場等)への整備が開始されました。
Wi-Fi環境整備の内容
川根本町の公衆無線LAN「KAWANEHONCHO_FreeWi-Fi」は現在22施設、105アクセスポイントで運用しています。22施設のうち、防災拠点(小中学校、道の駅、県立自然公園等)が16施設、観光拠点(キャンプ場)が6施設となっています。
平成25年度防災情報ステーション等整備事業において防災情報ステーションを1箇所(大井川鐵道千頭駅前広場)整備し、無線LANアクセスポイントを川根本町役場ほか3箇所に設置し、防災拠点計5箇所にWi-Fi環境が整備されました。
平成26年度観光防災Wi-Fiステーション整備事業においては、観光・防災Wi-Fiステーションをフォーレなかかわね茶茗舘ほか2箇所に整備し、無線LANアクセスポイントを山村開発センターほか1箇所に設置し、防災拠点計5箇所にWi-Fi環境が整備されました。
また、キャンプ場6箇所の整備は、静岡県観光施設整備事業を活用して実施されています。小中学校(6校)のWi-Fi整備は平成29年度の町単独事業にて実施されています。
アクセスポイントに接続すると川根本町のホームページが表示されます。ホームページでは町内の飲食店、宿泊施設、観光スポット等に関する情報が掲載されており、町からの情報発信に寄与しています。「KAWANEHONCHO_FreeWi-Fi」の利用時の認証は、メールアドレス認証を採用しています。メールアドレスに加え、居住地情報を入力する事で認証が完了し、Wi-Fiの利用及び川根本町ホームページへのアクセスが可能になります。
整備運用費用について
川根本町での各整備年度におけるWi-Fi環境の整備費用は以下の通りです。
年度:平成25年度
整備費用:8,913,003円
設置場所:5か所の防災拠点
備考:平成25年度防災情報ステーション等整備事業費補助金を4,456,000円活用
年度:平成26年度
整備費用:34,905,600円
設置場所:5か所の防災拠点
備考:平成26年度観光・防災Wi-Fiステーション整備事業費補助金を17,453,600円活用
年度:平成28年度
整備費用:28,080,000円
設置場所:観光拠点6か所
備考:静岡県観光施設整備事業の補助金を14,000,000円活用
施設ごとに発生する回線利用料10,000円/月と機器の保守費用324,000円/年が運用費としてかかっています。
Wi-Fi環境整備効果
川根本町では、各施設に整備されたWi-Fiの利用件数を月別に集計しています。利用件数は、利用者の居住都道府県別に計測可能となっています。(外国人の場合は居住国)
下表は川根本町内の小中学校を除く防災拠点10施設におけるWi-Fi利用件数推移を示したものです。サービス開始から多少の波はあるものの、月間300~500件程度の利用件数を記録しており、特に駅、道の駅、庁舎での利用件数が多くなっております。
また、観光商工課では、今後Wi-Fiのアクセスログを活用して観光施策に活かすことを検
討しています。
また児童向けプログラミング教室のインフラとしても利用されています。
参照先:
総務省「地方公共団体におけるWi-Fi整備・利活用事例集」http://www.soumu.go.jp/main_content/000618328.pdf
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