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特別講演
総務省 鈴木茂樹 総務事務次官
情報通信政策の推進について

11月8日、一般社団法人無線LANビジネス推進連絡会の社員総会が開催され、総務省総務事務次官の鈴木茂樹様に、特別講演「情報通信政策の推進について」を行っていただきました。ご講演の抄録を掲載いたします。

一般社団法人になられて、初めての社員総会にお集まりの皆様、無線LANビジネス推進連絡会の「第2回社員総会」の開催、おめでとうございます。

私どもは、皆様方のご協力をいただきながら、日本の無線LAN/Wi-Fiの整備を進めてまいりました。
最初のうちは一般に「無線LANは……?」という感じで、我々も伝統的な移動通信、携帯電話が中心で、そちらに目が向いていたのですが、世界中でWi-Fiが広まってきた、あるいはインバウンドの方々がWi-Fiを使って日本でいろいろな活動をするなかで、「日本はWi-Fiがないから不便な国だ」と言われてしまいまして、それから我が省および政府全体としてもWi-Fiの整備、さらに新幹線の中でも携帯電話の受送信ができる、最近では在来線の電車の中でもWi-Fiが使えるということに取り組み、日本国中に整備しようと取り組んでいます。

今日は「情報通信政策の推進について」というテーマで、特に無線通信に焦点を当て、お話をさせていただきます。
近ごろは5Gがフィーバーになっていまして、私どもが免許を出し、キャリアにネットワークを作っていただいていますが、果たして何に使うんだろうかというところは、まだまだ見えていませんし、ビジネスモデルも十分できていない状況です。無線といっても5Gだけではなくて、もっといろいろなものがあります。Wi-Fiは今や社会インフラにもなっています、こうした思いからテーマに入っていきたいと思います。

情報通信ネットワークの進展

今日は、「情報通信ネットワークの進展」「Society 5.0の推進」、そして「公衆無線LAN環境の整備・促進」という3つの点でお話しいたします。

この図にありますように、移動系も固定系もずっと速度が上がってきているという状況です。私は昭和56年に総務省に入りましたので、そのころはインターネットはダイヤルアップでした。まだADSLはありませんでしたし、携帯電話は自動車電話といって車のトランクに6キログラムの大きな機械を置き、外にエボナイトみたいなアンテナをくっ付けて、車の中に受話器があって、しゃべるという時代でした。

今は夢のようでして、移動通信も固定通信も非常に速くなった。ちょうど5Gというものが、今年の春に免許をして、まさにキャリアがネットワークの設備投資をされていますし、今年の年末にはローカル5Gという、役場、スタジアム、エンターテインメントの施設、農場、牧場、工業団地というところで、自分たちで5Gのネットワークを作って、IoT、ビッグデータで使いたいという方のために免許の準備をしています。

その中で、固定通信、移動通信も速くなってきましたが、無線LANもどんどんどんどん速くなってきています。802.11axですと、条件が良ければ20Gbpsまでいくというお話も聞いておりまして、性能的には5Gとそう変わらない。ただ、片方はセキュアなもの、片方は不確実な部分があるという、技術の違いがあるんだろうと思っています。

通信速度が速くなるのに伴いましてトラフィックもどんどん増えています。グラフの一番高くなっているものが、我が国の固定ブロードバンドのダウンロードトラフィックです。ダウンロードトラフィックは圧倒的に固定が多いんですけれども、固定網の最後にWi-Fiがつながって、Wi-Fi経由固定網で流れているトラフィックが非常に多くなっている状況です。

デバイスの数でいいますと、推計ですけれども154億個ぐらいあるのですが、2020年までには2倍の304億個まで拡大することになっています。伸びているものはコンシューマ関係のデバイスと、産業用まさにIoTのところです。
世界のトラフィック推移もどんどん伸びていまして、特にWi-Fiです。これは、ラストワンマイルのところで、そこからいろいろなモバイル網や固定網を通じてつながってくるトラフィックだろうと見ています。

Society 5.0の推進

我が国の経済状況とか人口状況は非常に厳しい状況になっていまして、世界の人口が増加していて、77億人ぐらいから100億人を超えるといわれているときに、日本の人口は1.26億人から、2100年までには8,000万人を切るだろうと見られています。単純な推計通りにはいかないと思いますが人口推計は一番当たる推計なんだそうでして、出生率はそんなに変わりませんし、女性の数は圧倒的に減っていますので、2050年から2100年の間に人口は8,000万人を下回ると推定されています。

こういう課題の中で日本はいろいろなことをやっていかなければいけません。生産年齢人口が激減する、そういう中で65歳以上の高齢者人口が2040年ごろにピークになる。当然このころは後期高齢者がたくさんいますので、医療費がむちゃくちゃ増える。医療費が増え、認知症患者が激増しますし、インフラ・公共施設などの老朽化、管理・更新が増える。地方を中心に企業数が激減し、結果として国内市場が縮小するので、日本の経済がなかなか厳しくなる。特に米中の国際競争のはざまに置かれて、厳しい中で頑張らなくてはいけないというものが日本です。
政府がそういう中で打ち出したものが超スマート社会「Society 5.0」というものです。テクノロジーを使って、あらゆるものをネットワークにつなげて、みんなが生き生きと過ごせる社会をつくりましょうというものです。
これだけネットワークが拡充したので、産業の構造もだいぶ変わってきています。従来ですと、通信分野だと、みんなが同じようなサービスを使ってマーケットはすごく大きい。移動通信だけで10兆円ぐらいある。あとは非常にニッチな無線のサービスみたいなところだったんです。それが、ネットワークがつながることによって、今までニッチといわれていたところが、それなりのマーケットに育っている。逆にマスといわれていたところが小さくなってくるということで、これまでマス対応で大量生産・大量消費をしていれば良かったものが、各分野ごとにセグメンテーション化して、そこで増えるようなビジネスモデルを作っていかないといけなくなってきています。
それがまさにネットワークにみんながつながって、センサーや画像等IoTでいろいろなデータを取って、そのデータを分析して、いろいろな対応をしていくということで、自動車だと従来型から自動運転が出ていますし、産業機械の分野だと工場をつないでインダストリー4.0もありますし、医療も遠隔医療、教育も遠隔教育、農業もスマート農業、さらに建設もスマートコンストラクションといって従来とは違ったマーケットが育ってくるのです。たぶん産業構造の変化としては、従来のニッチなところ、限界的なところがミドルマーケットとなり、そのマーケットを取りに行かないといけないんだろうと思います。

そういう、センサーなりカメラなり機械なりを全部つなぐといったときにIoTの時代として、いろいろなものが出てきます。携帯電話システムをベースにしたようなものもありますし、免許不要の無線通信システム、LoRaWANだったりSigfoxだったり、Wi-FiここではHaLowという最近のものが出していますし、総務省の研究所が中心になって技術基準を作ったWi-SUNといったようなものがあり、それぞれにスピードや消費電力なんかの特性がいろいろ違っています。こういったあらゆる無線システムを使って全てのものをネットワークにつないでいくことが重要なんだと思っています。

公衆無線LAN環境の整備・促進

無線LANの関連市場としては460億円ぐらいまでが見込まれていて、802.11adや802.11axなど新しいものも出てくるので、それによって需要が伸びることを見込んでおります。いろいろな店舗にも広がり、消費税の軽減税率導入のようなときに、中小事業者はネットの会計システムを入れる動きなんかもあります。中小企業440万社のほとんどがこれまで情報化の中で取り残されていたんですけど、今は私どもも、経産省の中小企業庁も、中小企業、個人事業所までネットにつないで、パソコンで会計ソフトを入れて決算と納税までできるようにしようと取り組んでいます。

文科省がようやく全ての学校の全ての教室でネットがつながるようにして、全生徒1人1台のパソコンを持たせようということを打ち出しました。来年の予算に向けて、文科省と私どもと経済産業省で協力し、コンテンツとネットワークと機器という面で、予算確保へ一生懸命に取り組んでいます。予算規模によっては、これから一気に学校のWi-Fiの整備が進む可能性があります。
我が国は、大手携帯電話事業者がオーバートラフィックを流すという意味でWi-Fiの整備をしてきました。NTTグループが19万か所、KDDIが20万か所、ソフトバンクは一生懸命にWi-Fiスポット設置を進めて40万のアクセスポイントがあるという状況です。当然キャリアだけではなくて皆さん方が一生懸命にやっていただいていますし、災害の時に「00000JAPAN」でどこでも使えるようにしていただいています。

Wi-Fiというものは、いろいろなところで役立っています。ここでは、例として2つ取り上げまして、観光と防災です。「観光立国を支えるWi-Fi」ということで、最初に言いましたようにインバウンドの観光客の方が「日本はWi-Fiがつながらないから不便だ」「改善してほしい」と、Wi-Fiをつながるようにしてほしいという要望があります。そのときに、私どもの省は責められまして、「何で総務省はWi-Fiを整備しないのか」「Wi-Fiは民間の方がやったもので免許も不要ですし、自由なんです。需要があればやっていただくんです」と言っていたんですけど、そんなことを言っている場合じゃないだろうと、お叱りを受けたわけです。

もう一つは、日本は携帯電話のネットワークをこんなに隅々まで整備しているので、「日本人は誰も困っていません」と言っていたら、「Wi-Fiを何とかしろ」というお話がありまして、特にインバウンド対応のために観光地、特に人が多く行くところに設けるべきだということになりました。
予算要求をすると、「観光はビジネスなんだからビジネスをやっている人が整備すればいいじゃないですか」といってお金が付かなくて、防災の観点からお金が付いています。先進的なところは観光客目当てにWi-Fiを整備するということをやっています。
インバウンド観光の取り組みに有効だ、観光客からも声が来ていると言われています。事例的には福岡市は動きが非常に早くて、無線LANサービスで観光客が簡単にネットを使えるようにと整備をしている。併せて、「一度登録をすれば毎回毎回パスワードを入れなくてもいいですよ」と、全部で112拠点、移動しながら使えるバスが4つぐらいあるそうですけれども、観光の案内や役場の情報発信など、いろいろなことをやってきたということで、福岡市はインバウンドの人数が増えて、非常に評判も上がったということです。

もう一つは、Wi-Fiの耐災害性ということで、今回も台風15号・19号・21号と続きました。対策本部をつくり、避難できる体制を作った。対策本部に行ったら電気が来てないということで、発電機で何とかした。次は、通信がつながらない、「Wi-Fiがないとだめだ」ということで、Wi-FiのアクセスポイントやポケットWi-Fiなどを、あっちこっちの市町村の対策本部ないしは避難所に設けました。災害のときは、携帯電話の音声はトラフィックのピークが来て発信規制をしますので、いざというときに連絡が取れない。IPベースのWi-Fiだと、混んでいれば混んでいるなりにつながるし、音声が通らなくてもメール、ショートメッセージができますということで、災害発生時の連絡手段としてなかなかすごい。コミュニケーションは直接会うのが一番なのですが、次はSNSで連絡を取ります、Skypeなんかのインターネット通話で連絡を取りましたということでした。
連絡を取った、あるいは取ろうとした方法と、実際に連絡が取れた方法の割合をみると、携帯のメールは結構使われてはいるんですけれど、それ以外にインターネット系のショートメッセージや、通話アプリが結構役に立っているということがあります。災害のときにWi-Fiが非常に役に立つということが、ここ数年における災害で明らかになりました。

熊本地震の事例ですけれども、私どものWi-Fi整備の事業を活用していただいて、災害対策本部が設置される区役所とか避難場所等々にWi-Fi環境を整備し、防災情報を配信する機能を付けました。役場として公費を使い、市のお金によって整備するようなところ、県と協力して環境を整備するところ、中には民間事業者さんにも整備をしていただいて、全体として本当にWi-Fi網の整備を行いました。

そういうところは、普段はホームページとリンクして、生活情報や観光情報を流したりしています。普段使っていないものは、災害対策としてそのときだけ使うことはなかなかできません。衛星携帯なんかも普段はどこかにしまっています。「災害だ。確か衛星電話があったな、出せ」とか言っても、充電されてなくて、電気もないし使えないというようなことがありました。
現在は、事業者に保管しておいてもらって、都度メンテナンスをしていただくようにしています。衛星携帯とかMCAとか、そういったものを一定程度、役場や総合通信局で保管をしておいて、災害が起きて通信が途絶えた地域に持っていって、お貸しをするというようなことも進めています。当然その中にポケットWi-Fiのルーターなども入っています。

熊本地震のときのトラフィックを見てみても、フリーWi-Fiへのアクセスは、前震があったときに1,885ぐらいなんですが、本震があったときには5,000になりまして、それから揺れが治まるに従って、だんだん減っていく形になっています。Wi-Fiは災害時に役立ちましたかというと、「とても役に立った」と「どちらかというと役に立った」で93.5%の人が、災害のときにはWi-Fiが役に立ちましたというお答えをいただいています。

無線LAN整備支援事業の展開

こういう状況を踏まえまして、私どもも、防災が一番、重点を置いた分野だったものですから、それに資するWi-Fi環境の整備をしますということで、2016年の「日本再興戦略」に、平成31年度までに官民連携して3万カ所、Wi-Fiの整備を進めています。すでに設けているところもありますから、それも含めてですけれども、国が支援しています。平成30年10月までに約2.4万カ所が整備済みになった。あと6000カ所ぐらい残っていて、平成31年度(今年度)までには全部終えたいと進めています。

支援事業としては、事業の主体と場所です。財政力指数が0.8以下あるいは条件不利地域の地公体、自治体ないしは第三セクター、そして場所としては過疎地域として、辺地、離島、半島、山村など、そういう都市部ではないところの拠点を対象にしています。防災拠点としては避難所・避難場所、それと被災の場所として想定されて災害対応の強化が望まれることという、いくつかの基準を設けて補助をしております。

予算額的にいうと平成29年度で約32億円、30年度で14億円、令和元年で12億円になりまして、避難所・避難場所、官公署、公園、文化財、博物館、観光案内所、こういったところに付ける無線アクセス装置、電源装置等の設置について補助を出すということをやっています。財務省と話をすると、「過疎のところだけですよ」とか、「こういう条件を満たさないとだめですよ」と言うので、必ずしも使い勝手がすごくいいというものにはなってないかもしれないのですが、自力でWi-Fiを整備される方がだんだん出てきていまして、これだけ予算を確保はしたものの、なかなか全額を使い切ってない。ぜひとも皆さん方には需要を開拓していただいて、補助金の申請をしていただければと思っています。

Wi-Fiが災害対策用を中心にした支援の制度しかないものですから、あっちこっちに整備するのは難しいんですけれども、普段から利用していないと、いざというときに使えないという意味では、福岡などは観光用にうまく使っています。いざとなったら、それを災害用に使えます。

今、文科省さんと一緒にやっていることは、全ての学校、全ての教室、全ての生徒に1人1台の端末を配って、通信網につながせるということです。総務省は、Wi-Fiでも、5Gでも、とにかく教室/学校をインターネットにつながせるということをやっています。全国で9割の学校は避難所に指定されていますから、普段は教育に使えて、災害のときにも避難所として使えるみたいな話になりますと、Wi-Fiは日常的に使われて役に立つものになります。

無線LANの一層の普及に向けた施策

Wi-Fiもどんどんどんどん技術が進歩していまして、速度も上がってきているんですが、我が国は過去の電波の割り当ての経緯から、必ずしも外国で使われている周波数帯あるいは外国で使われている技術が、そのまま日本で利用可になりません。混信なんかをチェックして、日本の技術基準を作って、他との問題がないようにした上で使っていただいています。どうしても時間が掛かるということから、外国でちゃんと基準に合っていて使えるという機器だったら、日本に持ってきて、使ってみてもいいんじゃないかということで、お試し的に運用できるということをしようと考え、先の国会で法律を改定しました。
国際的な基準を満たす等の一定の条件のものは、日本国内の「技術基準適合証明」を取っていなくても、届け出ることによって最長180日、実験的に使うことができますよとしました。これを恒常的に日本で使いたいとなったら、日本の技術基準にしてくださいということで、お申し出をいただければ、それを検討していくことになります。
電波法違反の機器で日本に入ってきているものには、いろいろなものがあります。日本には今、ないけれども、世界で使われているというものが日本に来たら、まずそれを日本国内で使ってみて問題はないか試した上で、問題がなければ審議して日本国内で正式に利用可能にしましょうという、そのプロセスを早くするための法改定をしたわけです。これを、運用してみて、180日じゃなくてもいいだろうとか、問題がなかったら次の国内の技術基準のプロセスを早くしてくださいとかというものは、これから運用してみて徐々に改善をしていくことと考えています。

また「外国で使っている周波数帯が日本で使えない」というお話がよくあります。今のところは2.4、5.2、5.7GHz帯で420MHz幅がWi-Fiに割り当てられているんですが、そこに5.3と5.8GHz帯の約150MHz幅を新しく追加する制度整備が実施済みになっています。
さらに新しい規格の802.11axという複数の端末が同時につながっても、きちんと速度が出るし、一定のパワーで距離も出るという、今よりもう少し使い勝手が良い技術を新しい基準にする制度整備が今年の7月に終わっています。これから対応する機械が日本に入ってきて使えることになります。
新しいシステムだと最大10Gbpsまでということで、5Gと遜色のないパフォーマンスになります。到達距離だとか、いろいろな違いはあると思いますけれども、「5G、5G」とみんな言っていますけれども、Wi-Fiでも一定の環境下だとできますということで自信を持って進めていただくようお願いします。

何となく総務省が今は5Gしか推奨してないんじゃないかと言われることもあるし、現にマスコミが5Gばかりをネタにしているんですけれども、まだ5Gも3.7、4.5、28GHz帯のごく一部ですし、28GHz帯は、本来5Gは1000MHz帯ぐらいないとフルパフォーマンスが出ないんですが、400MHz単位でのやりとりですので、これからどんどん波を割り当て、さらに28GHz帯の高いほうも使いながら、固定的利用と移動的利用を進めていくと思います。

5Gは、具体的なビジネスがいろいろ生まれる段階です。当面の伝送スピードを見ても5GとWi-Fiは、使いみちが少し違う。片や有料サービスでスループットが高いし、信頼性も高い。片や無料サービスでスループットが低い。だんだん重なっているところなんかは両方を使っていくみたいな話だと思います。あるいは、どちらか適した方を使っていく、あるいはWi-SUN、Sigfox、LoRa、ZigBee、そういったものを組み合わせて最適な環境をつくっていくようになると思いますので、モバイル通信がちゃんとしたものでWi-Fiは不確かなものという認識はなくなっていると思います。現に、すでにWi-Fiはインフラになってきています。

5Gと連携しWi-Fiのさらなる普及を

総務省は、5Gを新しいもので広めたいことから、積極的に取り組んでいます。特にキャリアが全国一斉にやるのではなく、地区の課題ごとに5Gを使えないかとローカル5Gの実験をやってきています。今回の特徴は単なる実証実験ではありません。終わった後にちゃんとビジネスとして展開できることを追求してくださいと言っています。
全部補助金でやり、それでお終いじゃなくて、自分でコストを負担して、その後の事業展開のことも考えてください、他の地域への試験的導入だとか、クラウド化して横展開を考えてくださいと、いろいろ仕掛けて5G/ローカル5Gの実証実験をやっています。

当然5Gだけで全てがつながるわけではありませんので、「5GプラスWi-Fiプラスその他」みたいなものが、光ファイバー網の先につながると思います。ローカル5Gの実証実験は自分たちとあまり関係ないんだということではなく、Wi-Fiと絡めてできるものと考えていただければいいと思います。

IoT/ビッグデータの時代は、Wi-Fiは主要な無線アクセスの1つだと思います。5G、LoRa、Sigfox、Wi-SUN、ZigBeeなど、いろいろな無線方式とともに、社会と産業を支えています。日本の強みは、光が97%ぐらいの国土をカバレッジしていることです。それと併せて、いろいろな企業の活動、産業の活動、経済・社会の活動と世界の成長と改善に、Wi-Fiの貢献をぜひ果たしていただきたい。

ここ3年ぐらいの自然災害を考えますとWi-Fiの需要はものすごく増えると思います。千葉県、福島県、茨城県など、防災面で今年の補正予算は防災・国土強靭化を含め額が広がると思います。河川管理のセンサーだとかカメラだとか、防災の何々とか、いろいろなところに無線の需要が出てくると思いますので、ぜひともそういった需要を取り込んで、皆さん方に、ご活躍をいただければ幸いです。


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