事例紹介:鹿児島県鹿屋市
若者からの意見で始まったWi-Fi環境整備
渉外・広報委員会 江副浩
鹿児島県鹿屋市では、市長が青年団や高校生に直接意見を聞く「“本気”で語ろう会」が実施されています。この会の中で若者から「市の施設へのWi-Fi環境整備をしてほしい」という意見があり、Wi-Fi整備を行うこととなりました。また、実際にWi-Fi環境を整備する個所についてもこの会の意見を参考に選定することで市民ニーズにマッチした環境整備が実現されました。
鹿児島県鹿屋市(かのやし)の基礎情報について
人口:104,381人
世帯数:50,804世帯
高齢化率:28.0%
財政力指数:0.48(平成29年度)
Wi-Fi利用拠点数:30
アクセスポイント数:34
整備開始:平成28年
域内指定緊急避難場所数:12
域内指定避難所数:56
Wi-Fi環境整備実施の経緯について
鹿屋市では、成人後の人口流出の歯止めが課題となっています。平成26年に就任した中西茂市長は、より魅力あるまちづくりを進めるため、青年団や高校生から直接意見の聞き取りを行う「“本気”で語ろう会」を開催し、その場で青年団や高校生から「市の施設でWi-Fiを利用したい」との意見やスマートフォンの急速な普及がWi-Fi整備のキッカケとなりました。当時は光ファイバー整備計画等、ICTによる街づくりが検討されていた時期であったということもあり、Wi-Fi整備計画は一気に進むことになりました。
Wi-Fi環境整備の内容
鹿屋市では平成31年3月12日時点で全30箇所、34台のアクセスポイントが整備されています。うち、指定緊急避難所が12箇所、指定避難所が4箇所となっています。
サービス内容
平時の利用における認証方式は、SNS認証方式、メール認証方式を採用しています。災害時には認証無しで利用可能な仕様となっています。
また、鹿屋市ではWi-Fi環境の利用シーンのひとつとして、鹿屋市公式のスマートフォン向けアプリ「かのやライフ」を提供しています。
「かのやライフ」では避難所マップの掲載や道路危険箇所の表示といった災害時の利用を想定したコンテンツやごみカレンダーや市のイベントカレンダー機能等、平時での活用可能なサービスが提供されています。
整備費用について
鹿屋市でのWi-Fi環境の整備・運用費用は以下の通りです。
Wi-Fi整備においては市の光ファイバー網(地域イントラネット)を活用しており、整備費用・運用費用を抑制しております。また、通信回線が整備されていない一部施設においては、施設間の無線通信設備を整備することで、新規の通信回線整備コストを抑制しています(5.Wi-Fi環境整備における課題と工夫した取組にて詳述)。
また、平成29年度のWi-Fi環境整備においては、災害発生時の停電対策として整備した非常用電源の整備費用も計上されています。
年度:平成28年度
整備費用:2,794,000円
設置個所:11箇所
備考:市単独事業で実施
年度:平成29年度
整備費用:10,584,000円
設置個所:19箇所
備考:平成29年度公衆無線LAN整備支援事業を活用(非常用電源設置費用も含む)
運用費用について
インターネット回線及びプロバイダの経費が運用費として計上されています。
年度:平成29年度
運用費用:262,944円/年
対象箇所:11か所分
備考:インターネット回線及びプロバイダ経費
年度:平成30年度
運用費用:483,960円/年
対象箇所:30か所分
備考:インターネット回線及びプロバイダ経費
Wi-Fi環境整備効果
鹿屋市では整備施設におけるWi-Fi接続台数を計測しています。平成31年2月8日時点で合計190台以上の機器によってWi-Fi環境に接続されたことが確認されています。
また、平成30年9月29日の台風24号接近の際に、Wi-Fi環境整備箇所が避難所として開設され、避難所に配置された職員によるWi-Fiの利用が確認されています。
参照先:
総務省「地方公共団体におけるWi-Fi整備・利活用事例集」http://www.soumu.go.jp/main_content/000618328.pdf
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