技術情報
どこまで進化するか! 「オンライン-XX」
Zoom飲み会の次に来るものはこれだ!
企画・運用委員会 松村直哉
在宅勤務で家での作業が中心の方はオンライン会議に1日2~3回、多い人だと5回以上参加されていると思います。移動時間が不要で、あえて言えば次の会議のURLを確認する程度の「移動時間」で5分以下と非常に効率が良くなったと言えます。
以前だと、例えば1時間の会議を3回実施する場合、都内各所で行われる場合などは1日作業となっていたかと思います。しかし、これをオンラインで実施した場合、ほぼ3時間で済んでしまうという効率的な作業方法と言えます。
ただ、現状のオンライン会議では
・ビデオを使うと音切れするため、ビデオをオフにして利用(相手の顔色を覗う、なんてことは論外)
・音声品質を確保するため資料はPCで共有して、音声はスマホアプリを使って会議
・それでも音声の品質が時間によって悪い場合があり、日本語のヒアリングに必要以上に神経を使う
といった課題、問題がまだまだあると思います。
ただ、ニューノーマルといった次世代の働き方は間違いなくネットを最大限に利活用したものが次々と登場、また、上記の課題解決も困った人の数が多い現状では解決に向け、以前に比べ早いスピードで解決されていくと思います。
Wi-Fi6Eによる家庭内またはサテライトオフィスなどのネットワーク環境の向上や5Gを使ったインターネットのエッジ回線の高速化などがここ1年くらいで加速されるものと期待しています。
一方で先にあげた、「相手の顔色を覗う」や「会議室を出た後のひそひそ話」といったリアルの世界では当たり前だったコミュニケーション手法がまだデジタル化されていないと感じています。ここに向けて一歩進んできているのがAR技術を使った会議システムになると思います。
ARを使った会議システムの先駆けともいえるのがSpatialではないでしょうか?3D空間で人が集い、会議を行う。空間が定義されているので会議室のメインのテーブルでの会議や隅に置かれたテーブルでのひそひそ会議なども実現できるものと思います。詳細は以下の記事を参照ください。
https://www.moguravr.com/spatial-virtual-collaboration-platform-free/
空間を定義できるため、デジタル化された空間データ(会議室データ)を有償で販売、といったデジタル不動産的なビジネスもありです。また、現状は利用できる端末がOculus QuestやHololens, Magic LeapといったHMDだけではなく、タブレットや一般的なPCも利用可能となっています。
入口だけですが体験してみました。
SpatialのHPから無料登録を試みました。
個人の登録は通常のアカウント登録と同様にメールアドレスに加え写真撮影があります。ブラウザーの撮影ボタンを押してから待つこと1分少々、少しお恥ずかしいですが私の3Dアバターが完成しました。
これで会議に参加する人の3D化が完了です。
会議室のカスタマイズや家具類の作成に欠かせないのが空間のデジタル化技術だと思います。
この空間のデジタル化で気になった技術として2020年3月に発売されたApple iPad proに搭載されたLiDARがあります。
約5mの距離の空間を1秒間に60回スキャンすることで空間をデジタル化してしまいます。LiDAR自体はGoogle他のベンダーが自動運転用に車の屋根に取り付ける距離測位技術になります。これがなんとiPad Proに搭載され、より身近なツールとなったわけです。わかりやすく説明された動画が以下になります。
https://www.youtube.com/watch?v=GlhiYuD113k
空間のデジタル化や見えるかはここまでご紹介したシステムやツールで少し時間はかかりますが徐々に快適な会議室環境構築が可能となると思います、が、一つまだ実現されていないものがあります。そうです。音声、音響の3D化です。
しかし、無用の心配でした、こちらもAppleがAirPods proで実現するようです。当然、3D会議となった場合、相手の声が聞こえる方向や音量を空間とマッチさせるというのが重要な技術となります。AirPods proではこの音の聞こえる方向を創り出す技術が搭載されているようです。
https://www.laptopmag.com/news/airpods-pro-update-brings-theater-quality-3d-audio
さて、ここまでご紹介した製品を使えば近い将来、完全なバーチャルな会議が実現できそうです。空間をデジタル化しているために場所と人との距離によって音の方向や音量が変わることで、ひそひそ話もできるかもしれません。また、アバターが人のしゃべる音量により感情を動作の表現で自動で再現してくれるかも知れません(これはまだ実現する技術を探せませんでした)。
Zoom飲み会という言葉が一時流行ました、まだまだこの流行は続くかもしれません。距離が離れていて、リアルで会うことのできないメンバーとの飲み会は二次元での飲み会でもメリットがあるかと思います。南は沖縄、北は北海道の同僚との飲み会はこの時期、Zoomなどのオンライン飲み会でしか実現できません。
しかし、これが習慣化するためにはもう少し新しい技術が必要ではないでしょうか?
顔色を覗う、飲み会のお客様との営業トークという文化は現状ではリアルに会って話すしか方法がないかも知れません。しかしながら、今回ご紹介した技術の進化により2,3年後にはHDMを装着してまさに映画の世界に入り込むようにして会議や飲み会に参加する日がやってくるかも知れません。
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