趣味と仕事
コロナに打ち勝つ読書術!
アイテック阪急阪神株式会社 江村優太
この度は貴重な機会を頂戴しましたので、僭越ながら私の趣味について語らせていただきます。
私の趣味は読書です。
私にとって本を読むことはこの上なく楽しい時間を過ごすことであり、自分の知らない世界を体験できることが読書の魅力ではないかと考えています。
ただ今回は単に自分の好きな本を紹介するのではなく、コロナ禍で気分が落ち込む状況に打ち勝てるようにサバイバルを描いた作品を紹介して、元気や明日への活力を得てもらえればと思います。
紹介したい本
「血と暴力の国」 コーマック・マッカーシー
国境でのサバイバル
ピューリッツァー賞受賞の作家コーマック・マッカーシーが描くメキシコ国境で繰り広げられる逃亡劇です。
本作品は2007年にコーエン兄弟により「ノーカントリー」という名前で映画化され、アカデミー賞の作品賞を含めて多数の賞を受賞したことで有名です。
あらすじはヴェトナム帰還兵のモスがひょんなことから多額の現金を手にしたことから始まります。
その現金は麻薬取引に関連したもので、それを手にしたことによって非情な暗殺者アントン・シュガーに追われるようになります。
本作の魅力は何と言っても暗殺者アントン・シュガーです。
彼は作品の中で一種のサイコパス的な人物として噂されていますが、実際は人より大きな存在のメタファーとなっており、天災に近いものと描写されています。
果たしてモスはそんな怪物にどう対処するのか、またどう生き抜くのか、ページを捲る手が止まらない作品です。
鉤括弧を使わないマッカーシー節とも言える文章とその深淵で力強い言葉の数々に魅了される一本です。
本作品を通して、暗殺者に追われた場合の対処法を学ぶことができるのではないかと期待しております。
「これよりさき怪物領域」マーガレット・ミラー
裁判でのサバイバル
本作は個人的イヤミス(読むと嫌な気持ちになるミステリー)の女王マーガレット・ミラーの作品で、大部分の描写を裁判所での証言で占めた作者の中でも異色のものとなっております。
あらすじはある男の失踪から始まり、失踪した男の死亡認定の訴訟を通してその状況が描かれていきます。
タイトルの「これよりさき怪物領域」は失踪した男の部屋のドアに貼り付けられた言葉で本作品のテーマとなっており、「このさきを踏み越えれば怪物領域に入り、人間性を失う」という意味であります。
果たして男はどこに消えたのか、踏み越えて怪物領域に入ってしまうとはどういうことなのか。
マーガレット・ミラーの特徴はサプライズ・エンディングがよく挙げられますが、個人的な感想を述べさせてもらえれば作者の描くその「情念」が、丁寧な描写を重ねることで極めて耽美的に浮き上がっている点にあると思います。
この作品は大部分が法廷での描写となっておりますので、図らずしも出廷しなければならないといった状況への対処法を学ぶことができます。
「失踪日記」吾妻ひでお
街でのサバイバル
この本は、街でのサバイバルに必要なことが書かれています。
作者の吾妻ひでお氏の日々を綴った作品で、作者がある日突然仕事が嫌になり逃げ出してしまうところから物語が始まります。
失踪後に住む場所や食べるものがない作者が、生き延びるために身近なものを活用する術を覚えていきます。
その役立つ術の一例を挙げると、
・天ぷら油は滋養強壮
・腐って発酵したりんごは温かい
等、枚挙にいとまがありません。
内容としては艱難辛苦を煮詰めたようなものですが、作者の性格と絵柄のおかげか不思議と笑って読むことができます。
もし明日会社に行きたくなくなった時、そんなときに不思議と勇気を与えてくれる作品です。
明日全てを投げ出して街で生きていく、そんなサバイバル術が学ぶことができます。
独断と偏見を交えて、コロナ禍に打ち勝つサバイバル術を学べる作品を紹介させていただきました。
紹介した作品が長引くステイホームを楽しく過ごすこと、コロナの状況に希望を見出す一助になれば大変ありがたいです。
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