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インタビュー 寺嶋由芙さん  (上)
アンバサダーに就任して
「ゆるキャラアイドル」として「00000JAPAN」広めたい

Wi-Bizの「アンバサダー」に就任した、アイドルの寺嶋由芙さんを、Wi-Biz事務局の成嶋さんが訪問し抱負を聞きました。インタビューを二回に分けて掲載し、今回は「ゆるキャラアイドル」になった経緯と、地域に根付いたゆるキャラの役割について聞きます。次回は、地方創生とゆるキャラ、「00000JAPAN」の拡大と防災などの取り組みについてうかがいます。

 

 

 

――Wi-Bizのアンバサダーをお引き受けいただき、ありがとうございます。会員の皆様に、自己紹介をお願いします。
寺嶋 「古き良き時代から来ました、まじめなアイドル、まじめにアイドル!」というキャッチフレーズで、ソロアイドルをしています。
その傍ら、「ゆるキャラ」がすごく好きで、ゆるキャラとかご当地アイドルと呼ばれるようなキャラクターたちの一ファンとして追っかけをしていたんですけど、そのうちにだんだんイベントのMCや、テーマソングを歌うことなどに、私を使ってくれるようになり「ゆるキャラグランプリ」の司会をやらせてもらえるようになりました。
今は「ゆるキャラ大好きアイドル、ゆるドル」を名乗って、『マツコの知らない世界』にも出していただけるようになったところです。

―― アイドル活動は何年ごろから始められたのですか。
寺嶋 2013年にソロアイドルとしてステージに立ちまして、2014年に最初のシングルCDが出ましたので、CDデビューから数えて今年が丸7年たったという感じです。

――Wi-Bizは2013年1月に発足していますから、いわば同期ですね。
寺嶋 ほんとですね、ほぼ同期です。

――ゆるキャラの活動に携わられるようになったのは、いつごろなのですか。
寺嶋 アイドルになる前からゆるキャラが好きだったのですが、ソロアイドルになったころから本格的にイベントとかに呼んでいただくようになりました。
ちょうど自分がアイドルになったころに、ゆるキャライベントが全国的に盛り上がるようになって、それまではホームページや町のポスターを見て1人で楽しんでいたのが、だんだんイベントに行けるようになってきたというのが、そのころでした。

――どのゆるキャラが好きなのですか。
寺嶋 千葉県成田市の「うなりくん」というのをご存じですか。ウナギと成田で「うなりくん」です。成田の参道にウナギ屋さんがいっぱいあって。今日も、「うなりくん」のペンケースを持っているんです。

――地元だからですか?
寺嶋 千葉県という意味では地元なので、最初は「チーバくん」という県全体のキャラクターを好きになって、「チーバくん」を追っかけているうちに市町村ごとにもキャラがいると気が付いて、いろいろ調べている中で「うなりくん」が一番ビビッと来て、高校生ぐらいのころから「うなりくん」をずっと推しております。

――私は自分のところだと「カシワニ」くん。
寺嶋 「カシワニ」君はイラストだと四本脚でワニっぽく歩いているのに、着ぐるみになると二足歩行じゃないですか。あれが大好きです。突然、人っぽくなりますよね。「進化したー」みたいな。

――そうなんです。分かっていただいて嬉しいです。
寺嶋 千葉県には、魅力的なゆるキャラがいっぱいいますよね。

――「ゆるキャラグランプリ」の司会はいつからですか。
寺嶋 2015年からで、浜松のときが最初だった気がします。2015年からファイナルの2020年(去年)までずっとやらせていただいて、結果発表の司会を毎年やっていました。最初は「ゆるキャラグランプリ」も一お客さんとして見に行っていたので、自分が呼んでもらえるようになって、すごくびっくりしました。

――浜松には確か「徳川くん」とかいましたね。
寺嶋 はい。「出世大名家康くん」です。グランプリに輝いたことがあります。

――ゆるキャラさんたちとのアイドル活動はどういうふうにやるのですか。
寺嶋 ゆるキャラたちは誕生日会をやっていて、人気があるキャラだとお客さんが何万人も来るんです。埼玉県深谷市の「ふっかちゃん」とかだと集客率がすごいんです。
市民のお祭りと合同でやっていたりもするので、町のイベントとしてキャラクターの誕生日会とか町興しのイベントを、キャラを主役にしてやっていることが多いので、そういうところに呼んでもらってMCをしたりライブをしたりということも、わりとしています。町の花火大会とかでMCをしたりもしています。

 

 

ゆるキャラと地方創生

――幅広くて、奥行きが深い活動なんですね。
寺嶋 本当に地域密着です。そういうイベントが、コロナで今は減っちゃっているのです。先月あったキャラクターイベントはオンラインで開催しました。それが「うなりくん」のイベントだったんですけど、成田市にいろいろなご当地キャラが集まって、ご当地自慢みたいなものをしている様子を全部オンラインで配信しました。私とか何人かアーティストが来て、歌を歌って、キャラがそこで踊ったりしているのを全部生配信しました。ゆるキャライベントも今はオンライン化しています。

――コロナ禍でオンラインに変わっているのですね。その変化をどのように思われていますか。
寺嶋 みんな困っています。ゆるキャラは人を集めるために作られたものなのに、集まっちゃいけないということですから、今も。
本来の役目が果たせないということで、キャラたちが悩んでいたり、また運営されている方は町の公務員さんなので、本当に手探りでやられていたりします。キャラクターファンはキャラクターに触ったり、ふかふかしている感じがかわいくて現場に通っているので、それができなくなってしまうというのは、アイドルの握手会がなくなっちゃう以上に切実な問題だったりもして、キャラクターたちにとっては、この1~2年はすごくもどかしい年だったと思います。
行政の方が運営されているということで、「大変なコロナ禍に、ゆるキャラのお祭りなんて、そんな遊んでいる場合じゃないでしょう」みたいなお叱りの声もあったみたいで、どうしても自粛をしなければいけなかったという厳しい時期でした。

――公務員の方がやっていらっしゃる。
寺嶋 公務員の方がやっていることがほとんどです。市役所の観光プロモーション課とか地域振興課みたいなところが、「うちの町はこんないいところですよ」というのを伝えるために、ゆるキャラを作っているので、自治体の一部署としてやっているんですよね。そういう仕組みであるが故に、例えば担当の方が「今は観光をやっている情勢じゃないからワクチンに行ってください」と言って、ワクチンにスタッフさんが回されちゃうと、ゆるキャラの面倒を見る人がいないとか、本当にコロナ禍にダイレクトに影響を受けていたと思います。

――ゆるキャラは、県に1つ市町村に1つなんでしょう。
寺嶋 県に1つ大きく代表の子がいて、市町村ごとにもまたいます。でも、その市の中でも、市の代表はこの子だけど、市のごみ収集のキャラはこれです、水道局のキャラはこれですとか、また細かく分かれていたりもするんです。いっぱいキャラクターがいる市もあります。

――役割キャラとしては警視庁の「ピーポくん」がいますね。
寺嶋 「ピーポくん」はゆるキャラの元祖です。ご当地じゃないけど、わりと元祖だと思います。ベテランです。

――「くまモン」もいますね。
寺嶋 「くまモン」でさえ、コロナになったばかりのころは自粛していて、ほぼ毎日お出まししていた「くまモンスクエア」というところも一時期休止していて、「くまモン」が久し振りに出たときは、熊本では相当ニュースになったみたいです。「くまモンが戻ってきたー」みたいな感じ。それだけ心待ちにされている存在ではあるけど、どうしてもこういう状況だと、なかなか出て行きづらかったというのが、ゆるキャラたちなのです。

――ゆるキャラグランプリはの全国1位というのは毎年変わるんでしょう。
寺嶋 毎年変わります。震災復興のために始まったのが2011年です。ご当地を元気にしようということで始まったので、最後は東北で終わろうということで、去年2020年に岩手県で開催されて、ちょうど10回目に岩手のキャラが優勝したので、有終の美という感じで、いい話で終わったという感じです。歴代のグランプリは全部で10キャラいます。「うなりくん」も1回優勝しているんです。あとは埼玉県志木市の「カパル」、カッパのキャラクターとか。あとは「しんじょう君」という、高知県の須崎市というすごく小さい町なんですけど、そこのニホンカワウソのゆるキャラが優勝した年とか、「出世大名家康くん」も浜松で優勝していました。あとは「ぐんまちゃん」とか。

それぞれのメッセージを持つゆるキャラ

――ずっとゆるキャラファンだったわけですけど、ゆるキャラアイドルをやられてみて感じたことというか、思ったこととかは、どういうことですか。
寺嶋 実際にキャラクターたちとお仕事をすると、自分の町を知ってもらうために、すごく工夫されながらキャラや町に愛を持ってお仕事をされている方が多いです。観光をPRされている方もいれば、「たかたのゆめちゃん」みたいに震災で大変な思いをしたから復興とか自分たちの経験をちゃんと外に伝えるという使命を持ってやっている子がいたりします。
それぞれキャラが生まれてきた経緯とか、運営されている方の志みたいなものもキャラの状況によって違うので、ただかわいいなというので、楽しめるキャラではあるんですけど、それぞれのバックグラウンドみたいなものを知ると、より日本全国への理解が深まるというか、それはすごく楽しいです。キャラを追っかけているだけで日本全国のことに詳しくなれるし、旅行とかも私は前よりだいぶ行くようになったし、すごくいろいろな意味で見聞が広がったなと思います。

――ゆるキャラ自体が何らかのメッセージを持っているわけですね。
寺嶋 そうです。キャラクターを見ると、その町の特産品とか名所がすぐ分かる。姫路だったら姫路城がそのままゆるキャラになっているみたいな感じです。そういう町のPRしたい要素が、ゆるキャラはぎゅっと詰まっているので、見ているととても勉強になります。本当にこれを学生時代、小中学生のときにやったら、私は地理のテストとか、すごく得意だっただろうなと今となっては思いますね。

――どれぐらいの数になりますか。
寺嶋 二千とか、三千といわれているらしく、日々生まれ、日々消えていきます。本当に熱心に皆さん、やっていらっしゃるので、ゆるキャライベント、キャラクターがいっぱい集まるイベントとかに来ると、チラシを配るところもあれば、キャラクターソングで歌ってアピールするところもあれば、本当にそれぞれの工夫が見られるので、物産展とかに少し近いイメージです。実際に物産展と相性がいいので、毎年、お正月に東京ドームでやっている「ふるさと祭り」という大きな物産イベントにもキャラクターがいっぱい出ていたり、あとはデパートの催事にゆるキャラが来たり、そういうものも私はわりと細かく見に行くようにしています。楽しいですよ。

 

※続きは、11月号に掲載します。


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