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活動報告
セミナー「メタバースの現在の状況と具体的事例」を開催
企画・運用委員会 副委員長 石川 裕昭
4月20日、企画・運用委員会主催で「メタバースの現在の状況と具体的事例」をテーマにセミナーをオンライン開催しました。
参加申込みは約75名を超え通信業界での興味の高さを示すとともに、終了後アンケートでも多くの反響を頂き、大変有意義なセミナーとなりました。
企画・運用委員会 吉田委員長
冒頭、企画・運用委員委会 吉田委員長の挨拶では、メディアで取上げられた東京大学広瀬名誉教授のインタビュー「メタバースに掛かる社会的課題解決の期待は非常に大きい」との記事を引用し、企業におけるこれからの普及を前にテーマに取上げたと背景を説明しました。そして、講師にお招きした一般社団法人メタバース推進協議会 事務局長 市川 達也 様とmonoAI technology株式会社 代表取締役社長の本城 嘉太郎 様を紹介しました。
現実社会連動メタバースの実装に向けて
セミナーは、はじめに市川様にメタバースの概要、国内外の最新の動向および今後普及期において重要となるセキュリティ面のガイドライン制定の取組みの講演を頂きました。
一般社団法人メタバース推進協議会 事務局長 市川 達也 様
■団体概要と取組みの紹介
メタバース推進協議会は、大学の先生や社会的権威ある先生方と企業の皆様とメタバースのガイドライン策定やメタバースの普及に向けた活動をされています。
■分科会活動
協議会では必要なガイドライン策定にあたり、セキュリティ、コンテンツ、金融の分科会で各々を検討、このガイドラインが各業界に適用できるのか、意味のあるものなのかを検討する産業活用検討会も設けて社会への適合に努められています。
■メタバースとは
続いて、急速に社会で期待が高まるメタバースの定義をご紹介されました。
利用者が自分のアバターを作りメタバース仮想空間で、人々と交流した
り、買い物をしたり、日本でもバーチャル〇○と言われる試みが沢山始
まっていますが、メタバースとは「現実と仮想とが相互作用する世界」と説明され、活用事例と課題を紹介するとして、各論に移りました。
続いて、メタバースの進展を大きく2つの方向性でご説明されました。
① BtoC
主に、エンタメ、旅行、教育、流通などでメタバース生活圏を確立し収益性を上げるビジネス
② BtoB
主に製造、建築、エネルギー、医療などの産業に浸透し便利でかつ費用、経費の低減に役立てるビジネス
そして、それぞれの市場でどのように進化が進み、どのような課題に直面する可能性があるのかを解説頂きました。
B to C市場は、海外ではエンタメ以外でも仮想世界での活用が進む中で、様々な取引等での裁判や揉め事の課題も見えてきており、世界経済フォーラムや世界スタンダードフォーラムといったコンソーシアムで協議、検討が行われている。今後、日本でも経済として利用するには、そういった課題解決してルールやガイドラインなども整備して行かないとならない。
B to Bでの経費を削減するという観点では、デジタルツインの活用が先行、パプティクス、テレイグジスタンスなど人間拡張、五感と連動した
技術が進み、新たなワークスタイルが確立していくと言われています。
そして、世界経済フォーラム参画企業の事例と最新テクノロジーのトレンドとして、テキスト生成AI(チャットGPT等)、画像生成AI、3DモデリングAIを紹介。今後メタバース空間を作るにあたり、このようなAI技術の掛け合わせが進み、スピード感が早くなり、コストも下がってくると期待されていると述べられました。
このように世界では社内外でメタバースの活用が始まっている中、企業がメタバースに大きな関心を寄せるのは、メタバースでの経済取引が可能になるからでは無いか。
NFTという技術を使うことで、一般の人々や他業種企業が自ら作ったデジタル創作物を自ら販売、転売し収益を得ることが出来るようになる。
しかし実際に経済活動を行うには、メタバース上での取引秩序の担保、不正の取り締り、課税の問題、仮想空間内での犯罪への対応が必要であり、今後このような難しい課題を利用者目線で解決して行かなければならないとした。
また、メタバースの方向性の中で雇用について考えるに、スマートコントラクト(プログラムに書く事ができる契約をブロックチェーンに記録)で実行する組織をDAO(分散型自立組織)といった仕組みを紹介、企業の管理職の機能を単純作業としてDAOで行う。一部をDAO化しDAO化出来ない仕事を人間がすることになるのではないかと言われていると解説。
未来を見据えて自身がこのようなスキルを身に着けて、自分がどう変わって行かないとならないか考えて頂けると良いと思うと、将来への備えを訴えられました。
最後に、協議会の取組みとして、メタバースセキュリティガイドラインの各取組みを紹介し、メタバースの発展に貢献すると講演を締め括りました。
メタバースの現在の状況と具体的事例
次に、本城様にビジネスとして提供されているサービスの最新の機能・性能と事例を分かりやすくご紹介頂きました。
monoAI technology株式会社 代表取締役社長 本城 嘉太郎 様
冒頭、ゲーマーだった19才の時に出会った世界初の本格MMO RPG「ウルティマオンライン」という仮想空間に生活圏をもった通信型ゲームの存在に強い衝撃を受け、将来このようなサービスを作りたいとの思いに立ったエピソードを紹介、現在は会社を創業し仮想空間メタバースプラットフォームXR CLOUDサービスを開始、そして株式市場上場を果たした経緯を語られました。
■XR事業の主軸 XR CLOUDの紹介
多くのビジネス系イベントで活用を頂けている。最大の特徴は数万人規模に対応、1000人が一つの空間に同時アクセスが可能。これは独自の通信エンジンとプラットフォームを開発投資したことで実現しています。
コロナで出来なくなった自治体の大規模交流イベントをバーチャル空間で実施し、ゲームやコミュニケーションが楽しめるメタバースSNSをXR CLOUDで構築。このようなバーチャルイベントの開催をゼロから作ると大きな費用になりますが、このXR CLOUDプラットフォームを利用し造り上げることで、低予算で大規模なバーチャルイベントの開催を可能としています。
神戸市のつどい2、24時間テレビ、バーチャル国際化学オリンピックなどの大規模イベント、バーチャルのショッピングモール、共同作業(オフィス、学校教育)などの事例として動画像を用いて紹介、リアル360°画像と仮想空間の融合や、アバター参加者同士、多くの人たちとの交流が距離を問わず仮想空間内でコミュニケーションの取り易さが活かせている事例を紹介。
■自社オフィスのバーチャルオフィス化
リアルのオフィススペースを思い切って大幅削減し、VR上にオフィスを作り社員は在宅からそこに毎日参加して業務をされている。毎朝、全員で朝礼もしているユニークな取組みをご紹介。
このメタバースオフィスはデザイン会社と連携したVRのショールームビジネスにも展開されている、などメタバースの多彩なニーズに対応している事を紹介されました。
■事業展開
XR CLOUDを利用したXR事業で3つのサービスを展開されています。
① メタバースサービス
② XRイベントサービス:様々なメタバースイベントを、企画から運営を一括サービス。
③ XR周辺サービス(AI開発、モノビットエンジン、ミドルウエアの提供・開発)メタバース開発の核となる通信技術基盤としてモノビットエンジンを2013年から開発、提供中。
XR CLOUDの特徴
① 多人数同時接続:空間全体に数万人が同時接続、同一空間に1000人が同時アクセス可能。出展者と参加者の直接会話が成立するので大規模イベントが成立するのが最大の特徴
② OEM提供による高い拡張性
XR CLOUD基盤の上で、ケースバイケースの運営目的で要求される機能を作り込みが安価、短時間で可能。ゼロから開発する必要が無い。
③ 幅広いデバイスに対応
パッケージ価格や業界特化型のメタバースPF事例も詳しく紹介頂きました。
■今後のメタバースの展望
国内メタバース市場は、毎年68%成長、26年には1兆円規模と言われており、技術革新とコロナ過による社会変化を受けニーズが拡大、次世代技術として期待が高まるXR(VR/AR/MR)とメタバースの関係性、そして進化について触れられました。
今後のメタバースは、仮想空間での生活者やMRグラスを用いたハイブリッド生活者が増え、デジタルデータの価値が上昇。メタバースと相性の良いWeb3.0技術の暗号資産が使われる時代になりブロックチェーン技術を活用したNFTや暗号資産で生活する人々が増えるのではないかとし、事例としてDecentraland、SANDBOXなど動画像を使って判りやすく紹介頂けました。
LLM(大規模言語モデル)の登場で、まるで人であるかのようなAI(ChatGPTなど)が進んでいる。今後の進化はメタバースと連携して行くであろう。企業にはセキュリティ対応したGPTサービスを提供し、企業にはChatGPTから入って頂き、メタバースも進めて行くと言った事を考えている。バーチャルヒューマン、画像生成AI(例:Midjourney、Stale Diffusion)は今後、誰でも自然言語の入力で高度な画像が出来上がって行くようになる。しゃべりはChatGPT、画像はバーチャルヒューマンが組み合わさってメタバース空間に存在して行く未来像を語った。
■メタバースにおける通信環境について
最後に今後のクラウドレンダリングというネットワークの仕組みが注目されていることを紹介。低スペックのユーザ端末でも綺麗なグラフィックをクラウドで処理提供するため、高速、低遅延の回線が必須になってくる。
リアルなイベント会場でスマホやARデバイスを使い、数万人規模のイベントをやる場合、現在のWLAN規格では厳しいと感じており、今後の新しいWLANの規格や5Gが求められてくると感じているとネットワークインフラ、デバイスの進化への期待を語り、締め括られました。
今後も、企画・運用委員会では会員の皆様のご要望を受け、このような有意義なセミナーを開催して参ります。
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