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活動報告
第17回技術セミナー
「無線LANデプロイメント」をテーマにオンライン開催

技術・調査委員会 塚本潤

厳しい残暑が続く8月25日に、第17回技術セミナーを「無線LANデプロイメント~こんなところでも無線LANが使えます!」をテーマに開催しました。
今回は、2名の講演者に登壇頂き、司会は技術・調査委員会の小松直人委員長が務め、株式会社ビーマップ様の会議室をお借りして、オンライン形式で実施しました。
今回は衛星通信をバックホールとしたイベントWi-Fiの取り組みの紹介と、ミリ波無線LANによる長距離通信の取り組みという新しい取り組みをご紹介いただけるということもあり、多くの方に申し込み・参加いただきました。

北條会長の挨拶

 

 

冒頭、北條博史会長から挨拶があり、100名近くの方から参加申し込みをいただいたことの紹介がありました。「こんなところで無線LANが使えます」というテーマについて、これまではあまり注目されてなかった新しいビジネスを紹介すると述べました。
衛星通信については、自身が始めて担当した技術で、当時は遅延が大きくコストも高いため広まらなかったが、Starlinkはコストが安く広まることに期待していると話しました。ミリ波については、5Gのミリ波活用が停滞しているなか、ミリ波無線LANへ期待していると述べました。

野外フェス会場にWi-Fiを!

 

 

1つ目の講演は、ワイヤ・アンド・ワイヤレス浅貝修一朗様より「野外フェス会場にWi-Fiを!」というテーマでお話しいただきました。自己紹介の後、コロナ禍による野外フェスの変化について話がありました。コロナ前に比べて、ソーシャルメディアや電子マネーが普及した結果、通信量が非常に増えていること説明し、電子チケットや売店決済などの業務においても安定した通信環境が不可欠であることを述べました。
続いてStarlinkについて説明があり、従来の衛星通信との違いや活用形態の紹介がありました。
その後、StarlinkをバックホールとしたイベントWi-FiをJAPAN JAMとROCK IN JAPAN FESTIVALで実際に運用をされた話を説明しました。以前のイベントではモバイル回線輻輳が発生しスタッフ同士の連絡やキャッシュレス決済で問題が起きていたことや、前回の5倍の入場者がWi-Fiを利用したことを紹介しました。
また、イベントでは人の変化に合わせてアクセスポイントを移動したり、強風で閉鎖されたステージ周辺から人が集中したエリアにアクセスポイントを移動したことを述べ、機動力があることを強調しました。

 

 

最後に野外フェスの特徴と活用している既存Wi-Fiテクノロジーの説明があり、テクノロジーだけでなく臨機応変な対応とチューニングが重要であるとまとめました。

ミリ波無線LAN で部活をライブ中継~Terragraphは厳冬を乗り越えられるか~

 

 

2つ目の講演は、ビーマップ須田様に、
「ミリ波無線LAN で部活をライブ中継~Terragraph は厳冬を乗り越えられるか~」
というテーマでお話しいただきました。はじめに自己紹介があり、ミリ波無線LAN規格
のWiGigについて紹介がありました。WiGigは当初は注目されたのに普及しなかった理由として、ミリ波が飛びづらいことと、空気中の減衰量が大きいことを挙げました。
次いで、Meta社が標準化したミリ波規格「Terragraph」を挙げ、高利得アンテナとビームフォーミング、パラボラアンテナを採用することで遠くまで飛ばすことができる点や「無線バックホール」「固定無線接続」「都市型Wi-Fi」のユースケースについて話し、Terragraphの製品ラインナップを紹介しました。
さらに札幌学院大学でキャンパスと700m離れたグラウンドにWi-Fiを整備するためミリ波無線LANを試験した事例を紹介し、雪が多く気温が低い場所で距離が離れていても、降雪の影響なく1.3Gbpsで272日間連続稼働できていると説明しました。

 

 

QAセッション

Q&Aセッションが、技術調査委員会の本橋副委員長の進行で行われました。

・ワイヤ・アンド・ワイヤレス浅貝様への質問
質問:Starlinkを複数使ったとのことですが、複数使うことでスループット劣化が起きなかったか?
回答:劣化はなかった。複数置いてもスループットは変わらなかった。

質問:ラストワンマイルに携わってきたとのことですが、印象的な製品・技術があれば教えてください。
回答:当初ラストワンマイルは常時接続ではなかった。現在は常時接続かつ無線で通信できており、凄いことだと考える。人が増えてもつながることが重要と考える。

質問:Starlinkのバッテリーの大きさはどのくらいか?
回答:詳しい容量は言えないが、一人で持つと腰が痛くなるくらいのサイズになる。

質問:Starlinkの以前はどのような回線をバックホールにしていたか?
回答:以前はWi-Fiを提供せず、業務端末に直接LTE/5Gをつないでいた。

質問: Starlink側で困ったことはあるか?
回答:KDDIが運営してくれたこともあり、大きなトラブルはなかった。アンテナの取り外しに特別手順がいるくらい。

質問:Starlink以外にバックアップ回線は用意したか?
回答:光回線や5Gルータをバックアップ回線として用意していた。

質問:2.4GHz帯は使わなかったのか?
回答:フリーWi-Fiは5GHzを割り当て、業務向けは2.4GHzしか対応していない端末があるので2.4GHzを使った。

質問:アンテナの高さはどのくらいか?
回答:設置条件による。2~3mくらいの場所におくこともあるし、地面に置くこともある。

・ビーマップ須田様への質問
質問:降雪がある状態でどのくらいの速度がでたか?
回答:降雪や降雨のときは、自動的に出力を上げて影響がでないように設計している。

質問:雪対策はひさしだけで十分だったか?ヒータ等は使用しなかったのか?
回答:ヒータを内蔵しているのと、ミリ波アンテナ自体も発熱する。

質問:Terragraphの規格の包含関係を教えてほしい。
回答:無線リンクはIEEE802.11ay。メッシュはOpen/RというMetaがTerragraph用に作ったプロトコルを使用している。無線以外ところは、Terragraphとして実装している。

質問:IEEE802.11ayとして60GHzのプロファイルを教えてほしい。(帯域幅など)
回答:日本では4ch同時使用できる。2ch束ねることで高速な通信ができるようになる見込み。

質問:対向は同じ製品を使用したのか?
回答:Terragraph製品は6社くらいあるが、対向試験をしていないので今回は同じ会社の製品を対向に使用した。

質問:多段構成で使用できるか?
回答:メッシュでもブリッジでも多段構成で使用できる。ブリッジして数珠つなぎが可能。

質問:ミリ波以外に比較検討した方式があれば教えてほしい。
回答:LANケーブルは公道使用許可が必要であった。光ファイバーはランニングコストがかかる。ランニングコストがかからないミリ波が選ばれた。

質問:値段はどのくらいか教えてほしい。
回答:屋外型の無線LANアクセスポイントあまり変わらない価格感。

■その他・全体への質問
質問:どこでも無線LANが使えますとのことですが、今後期待される無線LANの新しい利用場所はあるか?
回答:6GHz帯が使えるようになれば、太い帯域を端末で使えるようになる。
Wi-Bizもユースケースを作る場として活動していきたい。


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