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海外情報
TIPとOpenWiFiの最新動向をAcctonに聞く
株式会社グローバルサイト 代表取締役
セキュア公衆無線LANローミング研究会(NGHSIG/Cityroam) 副幹事
山口 潤
「OpenWiFi」は、「TIP (Telecom Infra Project)」によるエンタープライズグレードの無線LANアクセスポイントファームウェアやクラウドコントローラを構築するためのSDKを含むコミュニティ開発のプロジェクトです。
今回はTIP OpenWiFiベースのアクセスポイント「Edgecore EAP101-T」を販売するビーマップ様のご協力で、同製品を手掛けるネットワーク製品ODMメーカー 台湾 「Accton Technology Corporation」 のワイヤレスビジネスユニット副社長の劉升順(Enco Liew)さんへ、同社のTIP OpenWiFiに関する戦略を中心にインタビューを行いました。
OpenWiFiとは
OpenWiFiについて取り上げてから時間が経過していますので、もう一度OpenWiFiについておさらいしたいと思います。
複数のアクセスポイントをコントロールするためには、コントローラーが必要ですが、機器ベンダごとにコントローラーが異なるため、ユーザーは同一メーカーのアクセスポイントを導入しなくてはならないため、ベンダーロックインされてしまうということが課題となっていました。
このような問題に対してOpenWiFiでは、ファームウェアやソフトウェアをオープンソース化することで、特定ベンダに依存しないネットワークの構築ができるようにすることを目指しています。
また、コミュニティによる開発によって、新興メーカーでもWi-Fi 6やWi-Fi 7、OpenRoamingといった新しい技術をより早く、低コストにキャッチアップすることが可能となっています。
Edgecoreアクセスポイントについて
日本からはTIP OpenWiFiに本格的に参画し、市場投入したベンダはまだないようです。
Edgecore Networksのソリューションは、今のところ日本で使用できる唯一のTIP OpenWiFiデバイスです。Edgecore社はネットワーク機器のOEM/ODMで有名なAccton Technology傘下の企業で、以前からオープンネットワーキングに取り組んでおり、OpenWiFiのコミュニティでも積極的に活動しています。
アクセスポイント「EAP-101T」とクラウドコントローラ「ecOpen」は、ビーマップが5月に日本市場における受注を開始しています。
画像: Edgecore EAP101-T
画像: OpenWiFi対応のコントローラーとアクセスポイント
日本では、同製品以外にTIP OpenWiFi対応製品が見られないためベンダを跨いだ構築はまだ難しい状況ですが、海外においては、Edgecore NetworksとIndio Networksの各アクセスポイントをNetExperience社のクラウドコントローラで一括コントロールするなど、公共プロジェクトを中心に導入が始まっています。
台湾 Accton Technology Corporation ワイヤレスビジネスユニット
劉升順(Enco Liew)副社長 インタビュー
– AcctonTechnologyは、OpenWiFiに何を期待していて参画したのでしょうか?
オープンソースのコンセプトは、データセンター・スイッチからハードウェアとソフトウェアの分離が始まった10年以上前から、ネットワーク業界で推進されてきました。
それは、ハイパースケールデータセンタープロバイダーや通信サービスプロバイダー、そして大企業へと大きな変化をもたらします。
TIP OpenWiFiコミュニティが設立されたとき、私たちはそれが業界に新たな変化の波をもたらすと考えました。ネットワークを展開するのエコシステムのアクセスレベルまで変化すると期待しています。
OpenWiFiは、より柔軟性を提供し、ネットワークシステムの展開を促進するのに役立ちます。
– AcctonTechnologyはTIPやそのコミュニティとどのように関わっているのですか?
AcctonはTIP OpenWiFiフォーラムに参加し、ハードウェアとソフトウェアの両面で貢献しています。私たちはハードウェアをTIP OpenWiFiに提出し、認証されるよう協力しています。
また、AcctonはOpenWiFiのOpenSDKを使用してecOpenクラウドコントローラを構築しています。
Acctonは、すべてのWi-Fi APがOpenWiFi OSを実行し、ecOpenクラウドによって管理されるように、最も積極的な役割を果たしています。私たちは独自のOpenWiFiユーザーフォーラムを立ち上げ、顧客やパートナーに対してOpenWiFiに簡単に適応する方法を教育しています。
– OpenWiFi製品の展開状況はいかがですか?
OpenWiFiの配備は年々確実に増加しており、多くの大手オペレーターがPoC(概念実証)を実施し、多くのマネージドサービスプロバイダがすでにOpenWiFi APの配備を開始しています。
– Edgecoreのクラウドコントローラは、OpenWiFiバージョンecOpenと従来からのecCLOUDの両方をリリースしていますが、どのような意図で両方を併売しているのでしょうか?
ecCLOUDは、多くの既存の顧客が構成方法に慣れているコントローラーであり、すべてが設計されたGUIに基づいており、非常に簡単です。ecOpenは異なる設定方法を使用しており、CloudSDK JSON形式をサポートしているため、プログラミング言語のスキルセットに精通している人に適しています。
ただし、ecOpenは、新規のお客様がOpenWiFiの概念を試すことを目的として設計されています。
長期的にはecOpenをサポートしないため、お客様のデータセンターでのホスティングをサポートする新しいバージョンのネイティブOpen CloudSDKに移行します。
画像: Edgecoreのクラウドコントローラは、
従来のecCLOUDとOpenWiFiベースのecOpenが存在する
画像: 操作性では従来のecCLOUDに一日の長があるが、
ecOpenではJSONフォーマットに対応するなど拡張性に富んでいる
– OpenRoamingにはどのようなことを期待していますか?
今日、屋内での携帯電話接続が良好でない場合があります。その無線トラフィックの大半が屋内で発生しています。この問題を解決する経済的な方法は、OpenRoaming技術を使用することです。
Wi-Fiと携帯電話間のシームレスな接続の融合は、エンドユーザーに高い満足度と安全な方法を提供することができ、携帯電話サービスプロバイダーにとって、このOpenRoaming技術を適応させる最善の方法と考えています。
取材協力
Edgecore Networks
https://www.edge-core.com/jp/
株式会社ビーマップ
https://www.wi-fi.bemap.co.jp/
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