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トップインタビュー
総務省 総合通信基盤局 電波部 
部長 荻原 直彦 氏
デジタル変革時代の電波政策を推進
高周波数帯の開発と活用で世界へ

総務省で電波政策を所管し、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の推進に取り組む荻原直彦電波部長を北條会長とお訪ねし、今後の政策方針をお聞きしました。

 

 

「デジタル田園都市構想」と5Gの推進

–5Gサービスの開始から3年経ちました。「超高速」「超低遅延・高信頼性」「多数同時接続」が3大特徴とされ、とても期待されているわけですが、現状とこれからの展開について、教えてください。

荻原 まずインフラ整備がどの程度進んできているのか、今後の展望はどうなっているのかというところからお話させていただきます。岸田内閣の最重要課題で、地方からデジタルの実装を進めて活力ある地域づくりを目指していこうという「デジタル田園都市国家構想」、この実現に向けて総務省では2022年3月に「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を策定しました。

 


 

 

計画の中では、5Gの人口カバー率を2023年度末までに95%、2030年度末までに99%にするという目標を掲げ、インフラ整備の加速化に取り組んでいます。結果として5Gの整備状況としては、2022年度末の数字で人口カバー率が96.6%となり、整備目標を1年前倒しで達成している状況です。

 


 

また、インフラ整備計画の策定の後にも、急速に社会情勢が変わってきています。デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、デジタル基盤の重要性・地方でのデジタル活用の重要性はより一層高まっていると認識しています。そうした状況を踏まえて、取組みをさらに一層強化することを目的として、今年の4月にインフラ整備計画を改訂しました。
その中で、5Gについては、国民の利便性向上や安全・安心の確保の観点から、5G等による道路カバー率を新しく整備目標に追加しました。道路カバー率に関しては、2030年度末までに高速道路と一般国道を合わせて99%とすることを目標としています。特に高速道路については100%とすることを目標に掲げています。
総務省としては、国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向けて、改訂後のインフラ整備計画に沿って自治体や通信事業者等の取組を促進し、それによってデジタル基盤の整備を着実に進めていきたいと考えています。

–道路カバー率は今どれぐらいですか。

荻原 2021年度末の実績では95%程度です。残りの5%は山道などですので、そのあたりが大変な作業になってくるかと思います。

 


 

 

–ネットワークインフラの整備については道筋が立ってきたわけですね。もう一つは、5Gの活用面、基盤としての5Gを産業・社会でソリューションとして活用するところが遅れているのではないかという指摘がありますが如何でしょうか。

荻原 5Gの活用という意味では、まだ十分に社会実装が進んでいるとは言えない状況です。事業者もインフラの展開を通じて、様々な利活用を探っています。特に5Gに割り当てた高い周波数帯であるサブ6やミリ波などを活用して、様々なニーズをつかんでいこうと、今、携帯電話事業者においてインフラ整備とともに様々な努力がされています。
もう1つ、5Gの利活用の幅を広げていくという意味では、ローカル5Gが大きな鍵になってくると認識しています。ローカル5Gは、地域や産業などの個別ニーズに応じて、携帯電話事業者以外の企業や自治体など、様々な主体が構築できる5Gシステムです。利用者自らが建物の中や敷地内で構築することを基本として制度化されました。

 


 

 

制度化されたのは令和元年で、それ以降、ローカル5Gの免許人は着実に増加しています。令和5年8月末時点で148者の方がローカル5Gの免許人になっています。ローカル5Gの免許を取得された方々に、それぞれの分野でいかにローカル5Gを定着させていただけるかということが、結果として国の基幹インフラとしての5Gの利活用の広がりにつながっていくと考えています。
携帯電話事業者が有する5Gの利活用技術がローカル5Gでも活用され、その結果としてローカル5Gが様々な分野で定着することで5Gの利活用の幅が拡大し、さらなるインフラの高度化・展開につながっていく、そのような相互作用により5Gの本当の意味での社会実装が進んでいくものと考えています。

–5Gの社会・産業的な利活用という点では、ローカル5Gでの取組がPoC(Proof of Concept)も含めて注目されてきました。

荻原 ローカル5Gの社会定着ということでは、令和2年度から令和4年度までに「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」という事業を実施しており、ローカル5Gを活用した様々な課題解決や新たな価値の創造に向けて、実際の利活用場面を想定して開発実証を行ってきました。農林水産業の現場や工場での利用、それから空港や港湾での利用、鉄道や道路での利用、さらに観光、防災・減災、そして医療など、実に様々な機関の参加を得て多様な分野で開発実証を実施していただき、その数は合計で69件に上ります。開発実証の成果報告書や実証の様子については、報告書や動画を総務省の広報用ホームページで公開していますので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと考えています。
また、今年度からは、ローカル5Gだけではなく、様々なワイヤレスシステムを柔軟に組み合わせて地域のデジタル基盤を活用する先進的なソリューションの実用化を推進することを目的として、地方公共団体によるデジタル技術を活用した地域課題解決の取組に対して、計画策定段階の支援、先進的ソリューションの実用化に向けた実証の支援、それから補助事業としての地域のデジタル基盤の整備支援という形で、計画段階から社会実装まで一貫した伴走型支援を行う「地域デジタル基盤活用推進事業」を実施しています。

–これはローカル5Gに限らずWi-Fiも含めたワイヤレスシステム全般ですね。

荻原 そうです。今年度の採択案件の中で、実証支援についてはローカル5Gを活用した案件は15件のうち6件です。また、デジタル基盤整備の補助については14件中3件となっています。こういった取組を通じてローカル5Gの社会実装をより促進していきたいと考えています。

ローカル5Gの普及へさらに柔軟な運用に

—これは地方公共団体が主な対象ということで、地域の底上げということですね。

荻原 そうです。それから制度面での対応も行っています。もともとローカル5Gは、自分の土地で利用する、いわゆる自己土地利用を優先するというルールのもとでスタートしています。他者の土地を利用してローカル5Gを導入しようとした場合には、一定の制約がかかります。一方で、自分の土地を超えて広域でローカル5Gをシステムとして整備したいという要望が様々な方面からありました。このため、令和3年12月から情報通信審議会において、かねてより要望のあった他の事項と合わせてローカル5Gのより柔軟な運用に向けて議論を行い、今年の8月31日付で関連規定を整備しました。

 


 

–要望は主に地方のCATV業者からですか。

荻原 地方のケーブルテレビ事業者をはじめ様々な利用者から要望をいただきました。具体的には、これまではローカル5Gを自己土地の範囲を超えて広域に展開した場合、そのエリア内に後発で自己土地で利用したいという人が出て来た際には、後発の自己土地利用者が優先されるルールになっていましたが、そうなると広域サービスを展開する立場からは安定的なサービス提供ができないという指摘をいただいていました。そこで、今回、共同利用という概念を導入して、自己土地と同等に扱える区域を共同利用区域として設定する制度を導入しました。
他にも、例えば、従来は他者土地では端末を移動しながら使うことができませんでしたが、その条件も撤廃しました。また、他者土地を利用する事業者は自己土地利用の利用者から求められた場合には無条件に調整に応じる必要がありましたが、今回、まずは干渉調整を実施し、合意できない場合は他者土地利用側が混信を与えないように調整するということをガイドライン上で明確化しました。さらに免許申請時にあらかじめ干渉検討を行うことを条件として、自己土地内でのアンテナの移設の手続きを簡素化するなどの措置も行いました。
我々としてはローカル5Gを運用している方々からいただいく要望については、できる限り柔軟に対応していきたいと考えています。

–アンテナの移設なども、以前は規定されていたと思います。

荻原 自己土地内でアンテナ等を動かすときには変更申請が必要であったため、以前より「そこを簡素化できないか」という要望がありました。今回、免許申請時にしっかりと干渉検討が行われていることを条件として、自己土地内でのアンテナの移設の手続きについて簡素化しました。

–あるローカル5Gと別のローカル5Gを結びたいとか相互連携してデータを送りたいとかということは、これまではあまり論議されていなかったことですが、可能ですか。

荻原 現行制度でも(※)、免許など必要な手続きをとってさえいただければ、一定の条件下でデータ連携をして一体的に運用することは可能です。
(※)NTT東西については、公正競争の確保上の制約がある。

–そういうことを制限する法令はないわけですか。

荻原 その点については、電波法的には基本的に制約はありません。ローカル5Gは周波数をできるだけ自由に使っていただきたいという発想のもとで制度化したものです。ただ、広域的な利用を最初から認めようした場合、一人一人のエリアをどう決めるのか、隣のローカル5Gユーザとの干渉調整をどのように行うのかなど、多くの難しい決め事が必要になります。そうなると時間がかかってしまうので、まずは自己土地利用を基本とする簡単なルールを設定して、とにかく早く始めてみようということでスタートしました。
このため、制度を運用している過程でいただく要望や指摘には可能な限り柔軟に対応し、制度に取り入れていきたいと考えています。

–Wi-Fiはフリーということで、ここまで広がることができました。ローカル5Gも、自由に創造的に新しい価値を生み出していくという主眼でやっていけば、Wi-Fiのような広がりも可能ですね。

荻原 Wi-Fiと比べた場合、ローカル5Gや5Gは一定の通信品質が確保されることにメリットがあると思います。ローカル5Gを免許制度にしているのは、主にそこに狙いがあるわけです。干渉の問題をしっかりと解決できるような仕組みを作り、通信品質が確保された中で使っていただくところにローカル5Gの価値があると思うので、その点を確保しつつ、どれだけ自由度を高めていけるかということを総務省としても追求していきたいと考えています。

ミリ波開拓、Beyond 5Gへの期待

–パブリック5Gですが、通信事業者の5Gは全国的に見るとエリア展開がまだですし、4Gとの絡みでパケ詰まりという話が出ているほどで、5Gの真髄がまだ出ていないといわれています。

荻原 5Gの現状については、いろいろなデータやアンケートの結果などにも出ているとおりだと思います。エリア展開に当たっては、通信速度はある程度限定的でも早期に5Gエリアを広域化するアプローチや、広域化よりも5Gの高速の通信を体験できるスポットを増やすことを優先するアプローチなど様々な戦略があると思います。いずれにしても最終目標は、スタンドアローン方式で高速の通信を広域で実現するところにあると思いますので、各事業者ともそこに向かって取り組んでいただいているものと考えています。総務省としても例えば予算的な後押しが必要な部分があれば、積極的に検討していきたいと考えています。
また、5Gインフラの整備の過程ではいろいろな問題が出てくるものと考えています。ご指摘のパケ詰まりもその一つだと思いますが、大切なのは、そのような問題が起きたときにいかに早く解決するかということです。事業者においてもその点は意識して取り組んでいただいていると認識しています。

–5Gはそれこそ、万能のネットワークのように言われていました。3つの特徴が実現され、特にネットワークスライシングが本当に動くようになったら素晴らしいネットワークになると期待されています。

荻原 そうですね。スタンドアローン方式のネットワークが普及していけば、それが可能になると思います。
北條 ミリ波(28GHz帯等)の利用が進まないと本当の意味での高速通信ができないのではないかと思います。
荻原 ミリ波は、実際にサービス展開して、想定していたよりも利用するのが技術的に難しいということが明らかになってきました。これは日本だけではなく諸外国も同じ状況です。それだけに、高い周波数帯を使いこなすノウハウを海外に先駆けて確立することができれば、ノウハウも合わせて海外展開につなげていくことができるのではないかと考えています。特に基地局を運用している携帯事業者には先頭に立って頑張っていただきたいと考えています。

–そこは日本の技術力を含めて、期待されるところですね。Beyond 5Gもその流れの中で2030年ごろまでにという計画ですね。

荻原 そうですね。その意味では5Gは導入から3年目を過ぎたところです。今はインフラの整備の過程ですが、導入から5年が過ぎる頃にはインフラが整い、様々な分野に5Gが浸透していることを期待しています。それが将来的にはBeyond 5Gの導入、展開の基盤になっていくと考えています。

 


 

無線LANの高度化と周波数拡張

–DXの推進にはワイヤレス活用が不可欠ですが、Wi-FiとIoTでAIが急速に台頭することで、新しいストリームが生まれると注目されていると思います。この活性化策については、いかがでしょうか。

荻原 Wi-Fiに関しては、今のお話にもありましたが、AIの普及、VRやARなど、ゲームでの利用も高速・大容量通信が不可欠ですので、無線LANのニーズはますます高まる一方ではないかと考えています。ただ、使える周波数はこれまで2.4GHz帯と5GHz帯の2つの帯域に限られていましたので、昨今、周波数の逼迫が問題となりつつあります。特に2.4GHz帯は逼迫しておりまして、情報通信審議会でもご審議いただいて、そういったニーズに応えていくことを目的に、6GHz帯で無線LANが使用できるように昨年、制度整備を行いました。審議にあたってはWi-Biz様にユースケースをいろいろとインプットしていただくなど、大変ご協力いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。

 


 

 

現在は、審議会において6GHz帯でさらなる周波数拡張に向けて検討を進めていこうとしています。今後、他の無線システムとの共用検討が必要ですし、この周波数帯は諸外国の動向をよく踏まえていく必要があると考えています。特に、本年11月には、WRC-23が開催され、IMTの周波数特定の議論が行われる予定ですので、その動向にも留意していきたいと思っています。これら諸々を踏まえて、令和6年度中を目途に技術的条件の方向性の取りまとめができるように取り組んでいく予定です。
一方、Wi-Fi 7については、各国でも議論が進んでいますが、我が国でも導入のための制度整備に向けて、すでに情報通信審議会で技術的条件についての答申がまとめられています。それを踏まえ、今年度中には制度整備を行っていきたいと考えています。
もう1点、IoTの普及が進む中でドローンの利活用ニーズが高まっています。これまでもドローンで携帯電話の電波を使えるように、携帯電話の上空利用を可能とする制度整備や、利用者の手続を簡素化する仕組み作りに取り組んできましたが、無線LANでも上空利用のニーズが出てきていますので、現在、実現に向けて調査検討を実施しています。今でも2.4GHz帯は自由に上空でも使えますが、それ以外の帯域でどこまで上空利用を可能とできるのかという検討を進めていく予定です。

IoTの産業用途への期待

— IoTについての現状、今後の展開はどのようにお考えでしょうか。

荻原 IoTに関して、デバイスの動向を見ていくと、ここ数年はAIスピーカーとかロボット家電、スマート家電などのコンシューマ系の利用が始まり、ビジネス系では工場の現場での利用、サイバー・フィジカルの分野での利用ということで産業用途が大きく進んでいます。そのようなコンシューマ系や産業用途系の利用が従来のスマートフォンなどの通信と同じぐらいの規模になってきています。

 


 

今後もコンシューマ系や産業用途でのIoTとしての利用がデジタル化とともに着実に進んでいくことが予想されます。
IoTの普及拡大を考えた場合、電波の果たす役割は極めて大きいので、総務省としても、新しい電波システムやニーズにできるだけ柔軟かつ迅速に対応するというスタンスで、必要な無線環境をしっかりと確保できるよう取り組んでいきたいと思っています。

 


 

周波数再割当制度とオークション方式

–デジタル変革時代の電波政策ということが大きなテーマだと思いますが、方向性について教えてください。

荻原 電波政策という意味では、令和2年から開催していました「デジタル変革時代の電波政策懇談会」の取りまとめ・提言等をもとに、さまざまな取組を行ってきています。具体的には、本懇談会の取りまとめ結果等を踏まえ、令和4年度に電波法改正を行い、公共用無線システムや移動通信システムの電波の有効利用について、電波監理審議会が評価する仕組みや、携帯電話用周波数の再割当て制度などを導入しました。

また、今年1月からは新たに「5Gビジネスデザインワーキンググループ」を立ち上げて、5Gのビジネスをより一層普及、展開していくために取り組むべき方策を検討する中で、周波数オークションの制度設計についても議論を行い、今年の7月に報告書を取りまとめていただきました。
ミリ波を中心に5Gのビジネスをいかに拡大していくかということを念頭にさまざまな方策を提案いただくとともに、ミリ波の利用に関しては、これまで技術的に難しく利用が必ずしも進んでいなかった中で、いかに新しいアイデアの提案を活かしていくかという観点で、条件付オークションの制度設計の方向性をまとめていただきました。


 

 

–オークションも議論されていますね。

荻原 「5Gビジネスデザインワーキンググループ」のとりまとめを踏まえて、現在、ミリ波等の高い周波数帯を念頭に条件付オークションを導入するための制度設計を進めています。割当てられた周波数を独占的に利用できる期間をどうするかといった点や、周波数の割当てをどのような地域単位で行うかといった点など、決めなくてはいけない事項が多岐にわたっており、現在は、諸外国の動向にも留意しつつ具体的な検討を進めているところです。

 


 

 

–これは総務省としてもかなり新しい領域ですよね。

荻原 スマートフォン等の従来の携帯電話サービスとは異なる新しい使い方が、様々な形で提案されることが望ましいと思っています。その意味では、割当ての地域単位も全国を前提とするだけではなく、例えば市町村単位での割当てなども効果的ではないかと考えています。その場合、エリア展開を重視した条件を設定するのではなく、スポット的な利用で必要なところだけに基地局を設置すればいいというような条件設定などを考えていく必要があると考えています。

–NTN(非地上系ネットワーク)が今、話題になっていますが、これはどういう方向ですか。

荻原 NTNのような、離島、海上、山間部といったエリアをカバーするネットワークが今後重要になってきます。特に、自然災害等の非常時における通信手段として、NTNの実現は極めて有用だと考えていますので、国内展開する上で必要な制度整備を速やかに進めていきたいと考えています。
HAPSについては、利用可能な周波数帯を拡大するべく我々も国際的な議論の場で課題提起して進めています。先ほど申し上げたWRC-23の議題にも取り上げられていますので、そこでの国際的なルール策定にしっかり取り組み、合わせて国内制度の整備を進めていきたいと考えています。また、2025年の大阪・関西万博では実証やデモを実施していく予定であり、今そのための準備も進めていますし、それをテコにしていずれは海外展開にも取り組んでいきたいと考えています。
衛星通信に関しては、最近は衛星とスマートフォンの直接通信なども提案されていますので、そのような新しいサービスが円滑に導入されるように、必要な制度整備をしっかりと進めていきたいと考えています。サービス提供を計画している事業者においては、実環境での実証実験等を実施する必要があると思いますので、そういった面での支援も進めていきたいと考えています。

–現在直面する課題から最先端のところ、将来の設計まで電波部は多岐にわたる仕事ですね。

荻原 電波が混み合っている中で、新しい技術が出てきますし、いろいろな新しい使い方が提案されてきます。新しい電波システムが、既存の電波システムと共存しながら円滑に普及展開していくことができるよう必要な周波数を確保していく必要があります。そのためには、周波数の共用や再編等をいかに迅速かつ円滑に検討、実施できるかという点が重要になってきます。
技術革新が急速に進展するとともに、様々な課題が山積する中、本当に難しい道のりですが、関係する皆様とともに取り組んでいきたいと考えています。

Wi-Bizの役割と期待

–Wi-Bizは創立10周年を迎えましたので、Wi-Bizの今後の取組みに帯する期待を述べていただければと思います。

荻原 Wi-Biz様には先ほど申し上げた情報通信審議会の審議でも多大なご協力いただいていますし、日頃から様々な面でご協力いただき本当に感謝しています。無線LANビジネス業界を代表して、様々な事業者や自治体の無線LANの利用に関するユースケースや意見などを集約する役割を担っていただいていると理解しています。ユーザ視点での無線LANに関するご要望をいただければ、特に我々としては電波に関する領域になりますが、その要望にしっかりと応えられるように誠心誠意取り組んでいきたいと考えています。Wi-Biz様には、引き続き業界のニーズの共有や情報通信審議会などの議論の場での積極的なご協力等を期待しております。ぜひ今後も、無線LANビジネスの発展において重要な役割を担っていただきたいと考えています。

 


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