毎月の記事やお知らせをぜひお見逃しなく!
メールマガジン配信登録は☆こちらから☆
活動報告
「生成AI活用セミナー」に多くの反響
企画・運用委員会 副委員長 土屋 貴嗣
10月13日、企画・運用委員会主催で「生成AIの現状・課題とビジネス活用への取組み」をテーマにセミナーをオンライン開催しました。
参加申込みは約120名を超えており、ChatGPTを中心とした生成AIへの興味の高さを示すとともに、終了後アンケートでも多くの反響を頂き、大変有意義なセミナーとなりました。
冒頭、企画・運用委員委会 吉田委員長からは「今回は目覚ましい進化を見せている生成AIをテーマに取り上げ、特に画像系への活用、ビジネスへの貢献を深く掘り下げる機会となることを期待する、また生成AIによって偽情報の提供や差別を生み出すコンテンツに対して、上流工程からの取り組みが必要であり、リスクをふまえて上手に活用することが必要」と、実際にChatGPTで作成した文章をもとに挨拶をいたしました。
そして、講師にお招きした株式会社Ririan&Co 代表 YouTubeチャンネル「mikimiki webスクール」を運営するmikimiki様とパナソニックコネクト株式会社の向野様を紹介いたしました。
生成 AI ・ ChatGPT の概要と現在のトレンドについて
はじめにmikimiki様にChatGPTを含めた生成AIの概要について、画像生成AIを含めてお話しいただき、さらに生成AIの現状とトレンドについてもお話しいただきます。
-
- 生成AIの活用実態
- 生成AIに関する認知度や利用状況
PwCの資料によると、数か月前時点で、54%の人が生成AIを知らない状況です。一方、実際に使用している人の中では、ChatGPTが60%と断トツ1位であり、次にBing(25%)が続いています。全体的にはポジティブなイメージを持っているが、35%はまだよく理解していない割合が多く、生成AIは高度の事務作業などに活用されるイメージが高く、ビジネス現場への展開イメージは低い傾向にあります。 - 高度な専門知識が必要な領域における生成AIの活用
アクセンチュアの資料によると、今後は金融、ソフトウェア(IT)、メディアなどの専門性の高い領域が生成AI導入の変化(リスク)にさらされると予想されます。全体の2/3の仕事がAIによる自動化によって代替される可能性があるとも示唆され、AI活用能力を持った人材の需要が高まることが考えられます。
- 生成AIに関する認知度や利用状況
- 生成AIとは?現在地と今後の方向性
- 生成AIの仕組みと特徴
生成AIは極めて大規模な深層学習によって作られた基盤モデルにプロンプトに応答するAIです。大量の事前学習データを読み込ませて学習して基盤モデルを作成します。ChatGPTは、手前の文章の後に確率的に一番高そうな言語をならべて文章生成しており、確率論なので、普遍的な内容がアウトプットされやすく、ユニークなアイデアを出すのが難しく、ファクトチェックが重要となります。 - 生成AIのフェーズと課題
生成AIは現在、Phase3.5(成長期の中間)にいて、Phase3では次の3つの課題があります。
①学習に大量の教師データが必要、計算資源がかかり、学習に膨大な費用がかかる。
②学習範囲外の状況に弱い、臨機応変な対応ができない(限定的な推論ができる程度)
③パターン処理は強いが、意味理解などの高次処理はできない
これを解決するのが、AGI(Artificial General Intelligence)でトップダウンの知識・ルールを与えると解釈・推論することができ、積極的に提案を行う存在となることが期待されます。また、Phase3には、さらに3つの段階が存在し、「Pre-ChatGPT」では、囲碁や将棋で人間に追いついたレベルや例としてSiriなどが挙げられます。「Preマルチモーダル」では、ビジネスでの一部の業務で使用されるなど、段階的に機能が追加されています。そして、「マルチモーダル」では、テキスト・画像・音声でのやり取りが可能になり、新たなUIが考えられています。
- 生成AIの仕組みと特徴
- 生成AIの活用実態
-
- ChatGPTのこれまでと今後
- ChatGPTやGPT4の技術的な特徴
GPT4は、ChatGPTに比べてパラメータやLLM(大規模学習モデル)の規模が桁違いとなります。GPT-4Vは最近リリースされ、音声認識や画像認識などの機能を持ったマルチモーダルな技術により、より高度な自然言語処理を実現しています。 - ChatGPTやGPT4の応用
ChatGPTやGPT4は、UI/UXの改善やアクセシビリティの向上など、様々な分野で活用されています。
例えば、GPT-4Vは、写真をアップロードすると画像を認識して答えを出してくれるため、検索や調べ物などに利用されています。音声認識機能も備えており、音声で問い合わせするだけで、自然な言葉での回答が可能となります。
- ChatGPTやGPT4の技術的な特徴
- ChatGPTのこれまでと今後
- ChatGPT以外の注目の生成AI(画像生成AI、音声生成AI)
- 画像生成AIの応用と拡大
セコイアキャピタルの調査によると、画像生成AI技術は、マーケティングやセールス、ライティングのサポートやデザイン、メディア、広告など、Text、Image、Speechでの活用が成長著しいとされています。画像生成AIは、2030年にはプロのデザイナーよりも上のものが作れるようになるとも予想されます。
日本能率協会のレポートによると、画像生成AIの国内市場規模は2028年には280億円規模になっていくとされます。画像生成AIは、専門知識が無い人でも活用できるポテンシャルがあるため、拡大が期待されます。 - Midjourneyを使ったUXデザイン
画像生成AIには、Midjourneyというツールがあり、非常に高品質なデザイン作成が可能であり、生成AIがもたらすUXデザインの進化に期待が寄せられます。
- 画像生成AIの応用と拡大
- リスクと対応策案
- AIが生成する内容には、無意味または誤った内容が真実であるかのように生成されてしまう問題があります。そのため、AIを使ったダブルチェックやファクトチェックが重要になります。
・GoogleBardにはファクトチェック機能が搭載されています。
・ChatGPTの場合はBingのチャットを活用することができます。
ChatGPT時代の企業のありかた ー生成AIとどう向き合うか
次に、実際にビジネスに生成AIを活用されているパナソニック コネクトの向野様に自社事例を交えて今後、企業が生成AIとどのように向き合うべきかについてお話しいただきます。
パナソニック コネクト株式会社 IT・デジタル推進本部シニアマネージャー 向野 孔己様
- 企業から見たChatGPT
-
- ChatGPTの機能と対応言語
ChatGPTの主な機能は、質問への回答、文章の生成、文章の要約、そして分類です。また、英語に比べると日本語の学習量は少ないが、十分に対応することができます。例えば、分類については、議事録からの意見を課題とアクションアイテムに分類することができ、非構造データを構造化されたデータに変換することも容易にできます。 - ChatGPTの特徴
企業から見たChatGPTの大きな特徴は以下の通りです。
・汎用型であり、さまざまな分野に応用可能である
・学習させる必要がない
・企業システムに容易に組み込むことができる
・不適切な回答を返す可能性が低い
特に、不適切な回答をしないことが重要です。 - 注意点
ChatGPTの回答が正しいとは限らないため、最終的には人の判断が必要です。また、情報は最新ではなく(21年9月まで)、社内情報については非対応であることに注意が必要です。ChatGPTの回答は参考情報として扱い、注意深く判断する必要があります。
- ChatGPTの機能と対応言語
-
- ConnectAI概要
パナソニックコネクトでは、23年2月より全社員13,400人に対して、ConnectAIを提供しています。- ConnectAIの導入目的
①業務生産性の向上
非定型業務にも応用できるようになったため、情報整理やドラフト作成など、定型業務以外の業務でも活用できる。
②社員のAI活用スキルの向上
プロンプトエンジニアリングなどにより、社員がAIを効果的に活用するスキルを身に付けられる。
③シャドーAI利用リスクの軽減
社員がAIを利用するための環境を提供することにより、シャドーAI利用のリスクを軽減する。 - ConnectAIの機能と活用方法
ConnectAIは、ビジネスに特化したUIや機能を提供しており、テンプレートの準備や、英語に自動翻訳などを提供します。また、社員が5段階評価することでAIの精度向上にも繋がります。活用方法としては、「聞く」と「頼む」に分けて推奨しており、ビジネスアイデアやITサポートなど、さまざまな場面で活用することができます。
- ConnectAIの導入目的
- サービス開始3カ月の活用実績
- 生成AI活用の効果
想定の5倍以上の活用実績があり、1日5,000回以上使用されています。日常的に業務利用され、高止まりしている状況です。また、想定外の有効利用実績もあり、キャリアの相談などにも活用されています。不適切な利用の検知については一部アラートがあがったものの、問題ないレベルでした。 - 今後の展望
AI技術は、生成AIを中心に今後も進化し、ビジネスに有効であると考えられます。質問をすることが6割、プログラミング、文章生成なども続いており、今後もさらに多様な分野に展開されることが期待されます。
- 生成AI活用の効果
- 見えてきた企業におけるChatGPT活用の課題、今後のAI活用戦略
ConnectAIの課題として、以下の点があげられます。
①自社固有の質問に回答できない
②正確性を担保できない
③最新の更改情報は回答できない
これに対して、今後の展望としては、自社特化AIをはじめ、個人特化AIにも発展させていく方向です。
最後に、AI技術の課題を解決することは非常に重要であり、AIの活用により競争優位性を得る可能性があります。AIの技術革新は非常に速いため、柔軟なアーキテクチャーで構えることが大切です。
今後も、企画・運用委員会では会員の皆様のご要望を受け、このような有意義なセミナーを開催して参ります。
■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら