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年頭のご挨拶

一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会 会長 北條博史

 

 

新年あけましておめでとうございます。
会員の皆様には平素よりWi-Bizの活動に対してご支援・ご協力いただきありがとうございます。

まずはじめに、正月早々に「令和6年能登半島地震」が発生し大きな被害が出ました。被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げます。本災害において、モバイル事業者各社より災害用統一SSID「00000JAPAN」が発動されました。一方、昨年、モバイルキャリアの通信障害においても発動する仕組みを整備いたしました。「00000JAPAN」は、より一層の社会的責任を担うこととなっています。
今後も引き続き取り組みを継続するとともに、より柔軟な形で発動が可能となる新たな施策も進めていきたいと考えております。

昨年5月に新型コロナ感染症が5類に移行し、コロナ前の日常に戻りつつあるところですが、Wi-Bizも昨年6月に、第4期定時社員総会と合わせて、設立10周年の記念式典並びに懇親会をリアル開催させていただきました。10年間の活動を振り返るとともに、今後10年間の活動に向けた決意を新たにすることとなりました。また、秋の社員総会についても4年ぶりに沖縄で開催することになり、コロナ前と同様の会員数のご参加がありました。

さて、プライベート無線の大きな節目となる、Wi-Fi 6EやWi-Fi HaLowへの周波数割り当てから早一年以上が経過し、それぞれ商用製品が出始めてきましたが、本格的な普及はこれからというフェーズです。Wi-Fi 6E(6GHz帯)につきましては、昨年末にWi-Fi 7が日本でも利用できるような省令改正が行われ、Wi-Fi 6Eの普及の前にWi-Fi 7製品が出てくる勢いです。メーカによっては、今後、Wi-Fi 6Eを飛び越してWi-Fi 7の商用化を目指すところが出てくるかもしれません。いずれにしても、高速・広帯域を実現できる6GHz帯の利用は、製品価格の低下とともに広がっていくものと思います。

もう一つの新方式Wi-Fi HaLowについては、割り当てられた帯域は高々6MHzですが、これはとても意義があることで、スマートフォンの出現からこれまでモバイル通信の補完として発展してきたWi-Fiとしては抜けていたサブGのパーツをWi-Fi HaLowが埋めることになりました。つまりキャリアが提供するサービスと同様のサービスを、プライベート周波数を用いる従来のWi-FiやWi-Fi HaLowを組み合わせて、実現できるようになるということです。

これらのプライベートワイヤレス方式を使ってビジネスを拡大していくことが、Wi-Fi関連業界にいる私たちの責務であるものと思いますし、Wi-Bizとしてもぜひ会員の皆様のビジネスのご支援を行っていきたいと考えております。

最近のもう一つの動きが5Gサービスの導入と普及です。割り当てられた周波数帯域が増加したことにより、通信の混雑が緩和し、これまで多くの場所でモバイルトラフィックのオフロードとして利用されていた公衆無線LANは、その数が減少することになりました。特にエリアオーナーWi-FiとキャリアWi-Fiが相乗りしているような場合はキャリアが負担していたコストがそのまま上乗せになったため撤退を余儀なくされた例も多くありました。さらに不幸なことに、コロナの影響で海外からの観光客がほとんどゼロになったことが、この動きを加速しました。

しかしながら、最近の動きとしては、モバイル通信のパケット使い放題メニューが浸透し、一方で動画などのメディアの広帯域化・大容量化は着実に進んできたため、5Gをもってしても、都市部ではパケ詰まりが発生し、さらに固定回線の代わりに5Gを活用する家庭向けメニューの普及も、パケ詰まりを助長しているのではと疑われています。また、訪日外国人も戻ってきおり、Wi-Fiのアクセスポイントがコロナ前より減少していることから、無料Wi-Fiが少ないという苦情も出始めていると聞いています。今後見直しがある可能性も出てきました。

こんな中、新しい動きが東京都から出てきました。パスポイントという認証方式を用いたOpenRoamingです。パスポイント方式はこれまで世界中の大学で、ボランティアで運用されてきたeduroamがそれに当たります。OpenRoamingは、キャリアWi-Fiと同様に事前登録は必要ですが、認証システムを連携(ローミング)することにより、異なったネットワークでも自動的に認証して利用することが可能になります。認証方式は、EAP認証(エンタープライズ認証)と呼ばれるもので、セキュリティの高いWi-Fi接続を提供します。

今回、自治体として初めて東京都がOpenRoamingの導入をスタートしましたが、当面は東京都が認証システムの構築運用を行い、都主導で都有施設や東京都の区市町村の施設を中心に設備を整備していくと聞いております。事前登録が必要なOpenRoamingは訪日外国人などを含む不特定多数が利用する災害用のWi-Fiとしては適しませんので、うまくこれまでのフリーWi-Fiと相乗りしていく必要はあるとは思いますが、この取り組みが持続可能な動きとなるように期待しております。
将来的にはプライベートエリアのオーナーのメリットとコスト負担など整理しなくてはいけない課題はあると思いますが、今後全国規模に広がっていくよう、Wi-Bizとしても、是非この動きを支援していきたいと考えております。

本年も、皆様とともにWi-Fiビジネスの拡大に向け精一杯取り組みたいと思いますので、引き続き皆様からの変わらぬご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

 


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