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「ワイヤレスジャパン2024」 基調講演 
NTT東日本の自営無線・IoTによる
地域と産業活性化の取組み

NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 部長
渡辺 憲一 氏

5月30日、東京ビックサイトで開催された「ワイヤレスジャパン2024」(主催リックテレコム)において、NTT東日本・ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 渡辺 憲一 部長が基調講演に登壇し、「NTT東日本の自営無線・IoTによる地域と産業活性化の取組み」と題して講演を行われました。本講演は、Wi-Biz(無線LANビジネス推進連絡会)、AHPC(802.11ah推進協議会)から依頼したものです。講演要旨を掲載します。

 

 

 

ただ今、ご紹介にあずかりましたNTT東日本 無線&IoTビジネス部の部長をしている渡辺と申します。本日はワイヤレスジャパンの基調講演ということで、たくさんの方にお越しいただきまして大変ありがたく思っています。基調講演の他の皆さまのタイトルを拝見すると、5Gだけというよりは、6Gをうかがうような、さらにAI・生成AIなどを絡めた、かなり華やかなテーマ設定のものが多く、その中で自営無線の活用ということで、若干地道なテーマのお話になるかもしれません。DXにおける無線の活用は今後さらに広げていくものだと思っていますし、広がっていくものだと思っています。その最前線にいると思っていますので、生々しい話をさせていただければと思っています。

 

まず、NTT東日本がどんなことを目指してやっているのかということ、それから今、取組んでいるラインナップのご紹介、そして実際にそれらを活用してどういう事例が出ているかということをお話しさせていただきます。

NTT東日本グループの目指す世界

日本の労働者の数がこれから劇的に減っていく中で、どの産業・どの領域においても人手不足が深刻化してくる状況だと思っています。いろいろなビジネスや自治体運営が、できるだけ人手に左右されない姿を目指そうとすると、ロボットやAIのようなものを使う、それが動き回るものであれば無線でカバレッジしていく、そのような必要性は高まっていくものだと思っています。我々も無線の技術あるいは無線の周辺の端末やロボットといった技術の活用によって、日本の一番の課題である労働力不足・人手不足の解決に資するような取組みをやっていきたいと思っています。

 

 

私たちはNTT東日本ですので、有線の回線、光回線やVPNのような有線のWANの世界を中心に取組んできましたが、徐々に領域がビジネスホンやルータなどのネットワーク機器の世界、さらには構内ネットワークをWANと併せてやっていくところに広がってきています。
先頭バッターとしてやっているものはWi-Fiのビジネスです。近年はローカル5GやLPWAの領域にも力を入れていますし、衛星通信やモバイルの世界も併せてメニューに入れています。そういったものを使いながら、カメラやウェアラブル端末などのビジネスがセットになってきています。自動運転関係もやっています。自動運転だったりロボティクスだったり、そのような世界に広がってきて、それらをスコープに入れて、社会の諸課題に資する営みをやっていきたいと思っています。

 

NTT東日本グループの無線ラインナップ

ここ10年ほどWi-Fiにかなり力を入れてやってきました。そこから他の無線方式にも広げていっています。「どの規格が一番優れていますか」というご質問をよくいただきます。これからいろいろな規格のお話をしますが、1つの方式で全部をカバーできる無線はありませんし、今後も6Gを含めて、どんな世界になったとしても、帯域幅にも限界がありますし、世の中の用途を全て1つの規格でカバーすることは、おそらく無理だと思っています。我々は、無線に関しては全て触れて、一番良い形で組み合わせてご提供するという方針でやっています。

 

 

NTT東日本は光回線のイメージが強いですが、Wi-Fiのビジネスに関しても、おそらく見ているアクセスポイントは日本で一番多い事業者ではないかと思っています。会社として提供しているサービスで「ギガらくWi-Fi」というものがあります。すでに日本全国35万アクセスポイントをご提供しています。いろいろな店舗や公共の場で、このステッカーをご覧になることが、だいぶ増えてきたかなと思っています。

 

 

また、公衆無線LANに関しては、NTTブロードバンドプラットフォームという子会社があり、こちらで20万アクセスポイント以上のスポットを持っています。合わせると1圏域に1万アクセスポイントぐらいは平均すると持っているという計算になりますので、相応なボリュームになっていると思っています。

 

 

「5GになるとWi-Fiを使う人は減るんじゃないか」というような話もあります。確かに一時期、5Gが始まったあたりで落ち込んでいたこともありました。この1~2年、コロナの状況が明けると、元の水準以上にお使いになる方、インバウンドのお客様を含めて、戻ってきていると思っています。まだまだWi-Fiのビジネスも可能性があるという捉え方を我々はしています。

 

 

近年、ローカル5Gには力を入れてきています。プライベート5G・ローカル5Gを打つのに必要な基地局群、シミュレーションから設計、それから免許取得といった作業を含めたパッケージということで、「ギガらく5G」をご提供しています。キャリアの5Gも一緒だと思いますが、ローカル5Gのマーケット(市場)の立ち上がり自体は思ったスピードでないことは事実です。しかし、2023年度から2024年度に入って、様々な業種のお客様が、ご自分のコストをお掛けになってご導入いただける事例が、着実に増えているという状況になっています。

 

 

様々な案件に取組むなかで、電波調査や設計のノウハウが溜まってきており、端末のバリエーションを増やしたり、地道に推進している状況です。400件から500件ぐらいの案件が進んでいますが、製造業でのご利用意向が非常に多いです。公共系や建設現場の関係でも沢山のお話をいただいています。今のところお客様へのソリューションとして基地局をご提供しているプレーヤーとしては、企業向けでシェアが一番高いのは弊社ではないかと思っています。

 

 

次はLPWAです。NTT東日本ですので、関東圏、東北・北海道エリアの自治体や地域の皆さんと、支店の社員が密にコミュニケーションをしています。各地域の課題がいろいろとあります。最近、非常に増えているのは鳥獣被害、熊が出てきているかどうかを検知したいという話です。あと、温暖化によって台風・洪水といった事象が増えていますので、水位監視のニーズが高まっています。単一の用途のためだけに無線インフラを作ることは、自治体にとっては苦しいということ、一方でキャリアの4G・5Gだけだとなかなかカバレッジできないこともありますので、1つの無線インフラをさまざまな用途でマルチユースする形で使っていただくようなサービス提供をしています。そういった事例が近年、増えています。

 

 

その場合は広い場所でIoTインフラを作るということなので、方式としては11ahやLoRaWANなどといったLPWAの技術を活用することが多いです。

 

 

LPWA向けの規格として我々が非常に期待し、いろいろなユースケースを試しているものが802.11ah(Wi-Fi HaLow)規格です。大きくはWi-Fiの種類の規格にはなりますが、非常に長い距離を飛ぶという性質を持っています。数百メートルであれば確実に届きますし、状況によっては1キロ・2キロといったケースで疎通ができている事例もあります。広いエリアをカバーするアクセスポイントの打ち方ができるという特徴があります。従来のLPWAに比べると、1Mbps強ぐらいのスループットが出ますので、4K画質まではいきませんが、一定の画質の動画であれば送れますし、時間の取り方によって高精細な静止画像を送ることもできるような規格になっています。ですので、今までの無線方式ではカバレッジできないニーズを取り込むために、活用のシーンを広げていくことが今の我々の取組みです。

 

 

モバイル関係も必要なケースがあります。NTTBPでMVNOのSIMの取り扱いをしています。それを活用した「ギガらくカメラ」という現場カメラのソリューションもご提供していて、すでに4万ユーザぐらいのお客様にお使いいただいている状況です。また、キャリアの電波も1社だけだと心もとないというケースや場所がありますので、主要キャリアの調子のいいところを選んでつかまえる、1社がだめであれば2社目をつかみにいくという、トリプルSIMのサービスもご提供しています。

 

 

無線+DXソリューション 事例紹介

NTT東日本としては、今まで見ていただいたような、さまざまな無線をベストミックスで組み合わせてご提供するという活動をしています。事例として、どういったものがあるかというお話を少しします。

港湾・プラント等 広域エリア(主にローカル5G)

 

まずローカル5Gに関するところを2つほどお話しします。1つはプラントです。ローカル5Gの最初のユースケースとして強く出てきているものは、広域のプラント、港湾、建設現場、キャリアの電波が街中のように当たり前に飛んでいるという状況ではない産業用のスペースで、ローカル5G・無線を使って一定の通信品質で業務をやりたいというお話がたくさん来ています。
端末がないという話もありましたが、USBを挿せばつながる端末、これは5万円から6万円ぐらいの金額になりますが、そんなに高額ではないものも出てきていますので、こういったものの組み合わせで、例えば建設現場で重いCADデータを見ながら現場をチェックする、プラントの監視・チェックを業務用のタブレットを見ながらやる、そのような使い方が出てきています。

 

製造・物流(主にローカル5G)

工場・倉庫のローカル5Gのお話をします。ローカル5Gは、1億円ぐらい掛かるというような触れ込みで始まったこともあり、非常に高いというイメージがあります。リモートモニタリング、工場内に付けた2Kや4Kの高精細なカメラで現場の映像を伝送しながら、例えば東京などに集中的に存在している高スキル者が、チェックをしながら福島や山梨の工場に指示を出すというような、そういった使い方が出てきています。そういうことをやるためには現場の高精細な映像が必要です。最初のローカル5Gの金額だと、「この用途のためには厳しいな」という声がありましたが、ローカル5Gは金額がだいぶ下がってきているので、一定のサイズの企業であれば、最近は「高い、高い」と言われることがだいぶ減ってきたと思います。もしご興味がありましたら、お声がけいただければと思います。

 

 

そうした映像の伝送、あとニーズとして非常に多いのは検品の作業です。AIの時代ですので、人手を掛けて目視でやっていた製造業の検品もAIでやっていく仕組みにしたい。そのときに検品のラインを、場所も含めてフレキシブルに置きたいということがあり、そういったところにローカル5Gをお使いいただくお話も増えつつあります。

 

大手の企業から導入が始まっていることは事実ですが、中小規模の企業、地域の企業でも製造設備にお金を掛けようとお考えの方たちであれば、ご導入を検討いただける水準まで入ってきたと思っています。

 

 

製造業のこれからの大きな流れでいうと、日本の製造業は少ない種類のものを大量に生産するビジネスは中国やアジア諸国と比べても苦しい状況があるので、顧客のニーズにきめ細かく合わせた多種少量生産あるいは変種変量生産を考えていかなければいけないと思います。そういったことを考えていくと、レイアウト変更のタイミングが増えてくるということもあって、無線を中心にロボットも活用しながら作っていくという柔軟な生産ラインの実現が求められていると思います。
もう1つ、変種変量によって作業員が多能工化する、いろいろなことをやらなければいけないということになると、一つ一つの技術の部分で、どうしても熟練度が不足してくるので、DXによるアシストによって作業スキルを平準化・高度化していくというような方向感を、目指さなければいけないと思っています。そうしたことをやろうとしたときには、この後にお話ししますが、工場の中のインフラに無線をしっかりと活用して考えていくケースが増えてくると思っています。

 

 

少し広めの工場、400メートルぐらいの工場に、仮にローカル5GとWi-Fiを使った場合のイメージを書いています。屋内なので、割り切ってWi-Fiを敷き詰めるという解も当然あると思っています。ただ、いろいろなWi-Fiの技術はありますが、全体的にはアクセスポイントの数が増えます。例えばロボットを動かそうとすると、ハンドオーバー、つまりアクセスポイントのエリアとエリアの境目のところで、どうしても通信が切れることがあります。5Gだとエリアをある程度広くつくられるし、もともとキャリアの技術でもあるので、ハンドオーバーに早くから対応しています。そういった使い勝手のところは、お金は掛かりますが、ローカル5Gが優れている面もあるだろうと思っています。
また、工具をどんどんIoT化していくと、1人の方が2つも3つも、あるいは4つも無線でつながった端末を持っていることになるので、アクセスポイント配下の同時接続の端末の数が増えてくると思います。もともと5Gは1アクセスポイントに1万台あるいは10万台付いても大丈夫だとみなされている規格ですので、そういったケースにおいても心配なくできます。それぞれの会社のアクセスポイントのプロダクトによって同時接続数の制約はありますが、規格としては、ある程度たくさん数があっても大丈夫なものだと思っています。

 

 

これから映像を見ていただきます。弊社の調布の実験施設で、アクセスポイントが複数ある場所でロボットを動かしたときのイメージについてのお話をします。
台車を引いた人間が来るのですが、これを本当はロボットだと思ってください。ロボットの代わりに人が押して動いています。Wi-Fi経由のカメラ映像とローカル5G経由のカメラ映像を並行して見ていただくような形です。どちらも映像としては追いかけられるので、用途を割り切ってWi-Fiでやられるケースも当然あると思います。

 

 

ここからお見せするのは、両者のアクセスポイントの際の部分に行ったときに、押している人がロボットだと思って、ある場所まで動いてきたときに、次の基地局につながるための受け渡しで映像が1回止まります。アプリケーションのレイヤが解決する手段もないわけではありませんが、通信のレベルで次のアクセスポイントに短時間で受け渡していく。そういう形でロボットを動かすような世界を考えていくと、ハンドオーバーの部分、途切れる時間帯が出てくるので、多くのロボットをそれなりの品質で動きをキープすることに関しては、5Gの活用も選択肢としてあるのだろうと思っています。
ラインの場所を変えるときに、有線のLANケーブルでつながっていると、社員の皆さんが土日に出てきて線をつなぎ替えなければいけないと思います。そういう手間を無線で省いてラインをつくる、ラインとラインの間はAGVのような動けるロボットでつなぐ、そのようなことに5Gを活用することもあり得るだろうと思っています。そういうことを突き詰めようとすると、単純に無線を吹くだけの施設では実地の検証は難しいこともあり、弊社の調布のラボにスマートファクトリーに見立てた施設を作りました。先ほど見ていただいたAGV、この建屋まで物を運んでくる搬送車両、各種のスマート工具、AI外観検査の仕組みなどの環境をつくり、フレキシブルラインにおける無線の活用のやり方を検証する施設を準備しています。もしこの施設を使って何か試したいことがある方がいらっしゃれば、お声がけいただければと思います。

 

 

 

 

商業施設・小売業 (主にWi-Fi、トリプルSIM等)

今度は商業施設の関係です。Wi-FiやトリプルSIMの関係のお話になります。我々は光のビジネスをやっている会社ですので、できるならば商業施設の中の店舗に、建物の中であっても光を引いて、「フレッツ光」をお使いいただきたいと思っています。そうは言っても光が敷ききれないケースは現実にあります。先ほどご紹介したトリプルSIMであれば、キャリアが3~4社、全部ではなくても、1~2社、生きているものを使うという形で手配をする。その配下にWi-Fi、さらにはWi-Fiの下に各種のセンサー類やサイネージを付けるということで、この辺の必要なITのツールを丸ごとご提供します。そういったことをネットワーク環境と併せてご提案する営みも、NTT東日本とNTTブロードバンドプラットフォームと一緒にやっています。

 

そういう施設においては、警備ロボット、清掃ロボット、配膳ロボットをお使いいただくことが当たり前の世界になっているので、我々もこうしたロボットの取り扱いを進めています。実際にやっているのですが、少し先を見ると、複数台のロボットを制御していくためには、プラットフォームのようなものを構えてやっていかないと、ロボットの単価も下がらないし、使い方としても非常に使いにくい状況だと思っているので、そういったところの実証もチャレンジしています。写真は愛知のイオンさんでやった実証のお話です。以上、プラント、製造業、商業施設に関するお話をしました。

 

自治体 (主にLPWA、802.11ah)

ここからは自治体のお話、特に11ahを中心としたLPWAの取組みに関するお話をします。これは、通信方式はLTEでやっています。NTTテレコンという子会社があり、こちらはガスの検針を長年やってきています。そのガスの検針に使っている仕組みを応用して、最近、自治体の水道検針を遠隔でできるご提案をしています。

 

今まで水道だと検針員の方が1軒1軒ご訪問されてメーターを見ていました。特に東北・北海道は雪の場合、メーターが雪の下で見られないとか、最近は、鳥獣のリスクもあるので、できるならば無線でやりたいということがあり、ガス検針の仕組みを応用して水道検針の仕組みをご提供しています。このようなことが地域のIoTの取組みとして1つあります。

 

先ほどお話をした802.11ahの関係のお話がここからは中心になります。横浜市の圃場で、先ほど言ったマルチユース、農作物の盗難防止、鳥獣被害の防止、不法投棄の防止を見据えて監視カメラを置いて、802.11ahで映像を飛ばすという実証もやっています。200メートルから300メートル四方ぐらいの敷地です。そちらを3つの基地局で、11ahでカバーして映像を実際に飛ばすという営みをやっています。

 

これは弊社の調布の研究施設の前の道を撮っています。車の通行や状況に関しては、これである程度分かります。

 

 

水位監視の関係は、豪雨の中の映像を今までのLPWAの画像で捉えると、なかなか状況が分かりにくいというお話があります。動画で押さえる、あるいは静止画像にしてもう少しクオリティを上げる、そのような使い方が802.11ahに関してはできると思っています。この関係の実機類は、すぐ裏に802.11ah推進協議会の皆さんのブースがありますので、終わった後にぜひ寄って実物を見ていただければと思います。

広い場所で安定した通信ができるということ、SD画質3台ぐらいの映像を問題なく収容できるということなので、ある程度広い場所もネットワークとしての選択肢になり得ると思っています。金額的には、4G・5Gのようなキャリア中心の無線技術と違って、あくまでWi-Fi技術の延長線上のものではあるので、Wi-Fiと変わらないとは言いませんが、そんなに驚くような金額ではなく、ベーシックな無線インフラをお作りいただけます。農業等を含めて地域の活性化の事例、さまざまやっていますので、ぜひホームページ等を見ていただけたらと思っています。エリアが広くて、なおかつ数メガ程度のスループットが期待できるということで、ユースケースを広げていく技術になると思っています。こうした技術を使いながら、地域の無線の取組みを推進していきたいと思っています。

 

 

「IEEE802.11ah」を活用した
マンション管理・デベロッパー向けユースケース

今、自治体におけるLPWA・11ahの事例を見ていただきましたが、もう少し幅広な使い方ができると思っていますので、違う観点でのケースを見ていただければと思います。Wi-Fiだと1つの部屋の中をカバーするぐらいの広さ感があって、1棟丸ごとのIoTをやるのは難しいところがあると思っています。11ahだと少し広く飛ぶので、マンション1棟のIoT設備、特に管理人さんの管理業務の軽減に効いてくるようなソリューションを作られるのではないかということで、そういう検討を、まだ実証ですが、やり始めています。物件の監視カメラやスマートキーなど、そうした使い方に広く11ahを使っていただくというような取組みをしています。壁の回り込みもこの電波だとしますので、一般的なマンションであれば11ahを1~2局打てば、だいたいカバーできると思っています。

 

 

スマートホームの規格である「Matter」があります。CSAという規格標準化団体にNTT東日本も参加しています。Matterは、どちらかというと一般家庭向けのホームICTの接続規格ですが、それを一般のマンションにも活用するような使い方ができないかということで、Matter対応のゲートウェイの検討をしています。スマート管理のソリューション、スペアキーの貸し出しを監視カメラとセットでやる、あとは駐車場に決められた車ではない車が止まっていることはないかどうかのチェック、もちろん遠隔からのさまざまな相談や監視など、幅広に11ahをマンションインフラにしながら使っていくことの可能性を探っています。ぜひご興味のある方がいらっしゃいましたら、お声がけいただければと思います。

 

 

11ahのもう1つの活用方法です。オフィスビル的なビルのイメージで書いていますが、2つあると思っています。1つは、例えば地下駐車場のような地下で広い場所が広がっている。駐車場関連のソリューションも、モバイルにしても、何らかの無線インフラが必要なケースが出てきていると思います。ただ、地下だとキャリアも入りにくい、Wi-Fiだともう少し広い電波が欲しいということで、こうしたケースに11ahを使っていただく。少し古い、いわゆる雑居ビルといわれているような種類のビルだと、縦系配線の確保が難しいケースがあると思います。線を引くスペースが縦系の配管スペースの中に確保できないようなケースにおいては、配管に合わせて11ahを吹くことで縦系の配線の代わりに使うという使い方もあると思っています。データ量としては決してもの凄く多いということではありませんが、縦系の配線に関しては、11ahをお使いいただく余地が十分にあると思っています。ですので、他の規格だとやりにくかったところに少し手が届くような、そういう手段としての可能性が非常にあると思っています。

 

NTTe-City LaboというNTT東日本が調布に持っているラボ施設に、11ah推進協議会の皆さんにνLabというラボを作っていただいています。こちらでも11ahに関する様々な実機、様々なシーンでのご展示をしています。今日のブースもそうですが、こちらもご興味があれば、NTT東日本のその他の展示と併せて見ていただけるようになっていますので、ぜひお声がけいただければと思います。NTTe-City Labo全体が共創施設になっていますので、見ていただきながらビジネスを一緒に広げていければと思っています。

 

最後に

最後に、まとめというか、皆さんに関する少しメッセージめいたことをお話しします。先ほども申し上げた通り、無線は複数の規格を長所に合わせて組み合わせて使うことが当たり前なのだろうと思っています。

 

冒頭に申し上げた通り、我々としては、光、Wi-Fiから始まって、その世界をローカル5GやLPWA、もちろんモバイルの活用も含めて、広げていきたいと思っていますし、そこで一番強いプレーヤーでありたいと考えています。ユーザ企業の皆さん、自治体の皆さんにおかれては、無線、あとは当然のことながら有線、LAN配線も光の配線も長年やってきていますので、構内通信という領域においては相応にエキスパートとしての経験値が溜まっている会社だと思っています。ですので、それぞれの通信環境によってお困りの部分も多分にあると思いますが、ご相談いただければ、先ほどから申しているベストミックスでのお手伝いをさせていただきますので、ぜひお声がけいただければと思っています。また、パートナー企業の皆さん、我々は特定の無線方式にこだわるということは全くなくて、何とかいい組み合わせで組み合わせながら、幅広くDXに無線のインフラを活用いただける世界を創っていきたいと思っています。通信もそうですし、そこにつながる端末類あるいはネットワーク機器類等を含めて、様々な技術、アイデアがあれば、一緒にやらせていただければと思いますので、ぜひお声がけいただければと思います。そうした共創を、先ほどお話ししましたが、調布のラボ施設でいろいろと実機も含めて見ていただける状況になっています。
おかげさまで2年ほどやらせていただいて、自治体の首長を含めて1万人以上の方にご覧いただいています。いろいろなDXの起点になる場所でもありますので、ご興味がありましたら教えていただいて、一緒にビジネスを創っていければと思っています。

 

以上、NTT東日本 渡辺からのお話でした。
ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

 

 


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