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活動報告
「ワイヤレスジャパン2024」Wi-Bizセミナー
「コード・フォー・カナザワ」様への表彰式と講演セミナーを開催

「ワイヤレスジャパン2024」初日、5月29日の最後のセッションで、無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)による、「一般社団法人コード・フォー・カナザワ」(代表理事 福島 健一郎 氏)様に対する表彰式及び講演セミナーを開催しました。
今年1月に発生した能登半島地震において、Wi-Bizは有事の際にどなたでも利用することができるWi-Fi「00000JAPAN」を発動しました。コード・フォー・カナザワ様は、災害現場にて、正しい生きた情報を被災者に伝える手段として「能登半島地震コネクトマップ」を素早く開発し、提供されました。
災害時の通信確保のための「00000JAPAN」を推進するWi-Bizの取り組み課題の解決の糸口ともいえるコード・フォー・カナザワ様の対応に、敬意と感謝をお伝えするため、当団体としてはじめての「表彰」を行うこととなりました。また、「ワイヤレスジャパン」という大きな場においてより広くこの災害時の取り組みをご認識いただく機会として、災害時における通信確保の重要性を訴求するため、北條会長と福島健一郎代表理事にお話しいただくことになりました。福島代表理事には、「能登半島地震、そのとき現場では」と題して実際の災害現場の様子やサービス提供までの対応などについて詳しくお話しいただき注目を集めました。

「00000JAPAN」の誕生

Wi-Bizより、「00000JAPAN」の誕生の経緯について改めて紹介しました。
きっかけは東日本大震災で、その際、携帯電話が使用できず、一部の方々はキャリアWi-Fiをご利用いただけましたが、他のキャリアの端末では利用できないという課題がありました。この課題に対処するため、Wi-Bizでは当団体会員によって、有事の際に誰でも利用できる共通のWi-Fi「00000JAPAN」の提供開始を決定しました。当初、釜石市でのトライアル期間中、SSIDは「JAPAN」でしたが、端末やOSの特性から上位表示されず、見つけにくい状況でした。そのため、「JAPAN」の前に0を5つ追加し、現在のSSID「00000JAPAN」となりました。この取り組みに賛同いただき、携帯キャリア各社は4つ以上の0をSSIDには使用しないという約束をし、現在のSSID「00000JAPAN」が採用されました。裏話ではありますが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会誘致の年でもあり、5つの輪という意味も込められています。
当初は発動タイミングが難しいという課題もありましたが、熊本地震で初めて発動し、ご利用のお声を多数得て以来、継続した活動を続けています。また、いまやスマートフォンは生活インフラであることから、自然災害だけでなく、大規模な通信障害が発生した場合にも利用できるよう、発動の条件を追加しました。
しかし、Wi-Fi提供側が発動しても、店舗・スポット側の従業員も避難されていて利用できない場合や、道の分断などにより利用者が店舗までたどり着けない状況が発生することもあります。そのため、ただサービスを提供するだけでなく、現場の状況に応じた情報発信が必要なのですが、これは非常に難しい課題となります。
このような課題に対し、今回のコード・フォー・カナザワ様は地域レベルでの情報更新や解決策を提供され、まさに私たちの課題解決の糸口となる取り組みをされていることがわかりました。

 

Wi-Biz北條会長ご挨拶模様

 

表彰式を行う

これまでWi-Bizは表彰を受けることはあっても、表彰することはありませんでした。今回が初めてでした。つながる場所が可視化できる仕組み「能登半島地震コネクトマップ」をご提供され、この迅速な行動は、多くの人々に希望と支援をもたらしたとともに、災害時の通信確保に関する取組みして感銘を受け、災害時における情報発信の新たな手段として今後ますますの広がりに期待するとともに、被災地の人々が支え合う環境づくりへの多大なる貢献を讃え、会長の北條より、コード・フォー・カナザワ様を表彰させていただきました。

表彰式の写真               福島代表理事 講演模様

 

福島代表理事の講演

非営利団体コード・フォー・カナザワ様は、石川県を中心に活動される団体で、地域の課題解決に向けたシビックテックによるプロジェクトなどを推進し、広く地域に貢献をされています。

 コード・フォー・カナザワの概要

 

シビックテックとは、市民がテクノロジーを駆使して地域社会の課題解決に向けた動き・取り組みのことです。このアプローチは、日本国内だけでなく、国際的にも注目を集めています。その中でも、米国のコード・フォー・アメリカはその先駆者でした。

日本でもこの潮流に乗り、2013年にコード・フォー・カナザワが誕生しました。国内初のシビックテック団体として立ち上がり、その後、全国規模で展開するコード・フォー・ジャパンのネットワークが形成されました。シビックテックの取り組みは、日本全国に広がっていますが、各地域の団体はそれぞれ独自の課題に対応しています。

この団体が手掛ける代表的なプロジェクトのひとつに「5374.jp(ゴミナシ)」があります。このアプリは、ゴミの捨てるタイミングを簡単に知らせることで、ゴミ問題の解決に貢献しています。現在、このアプリは北海道から沖縄まで、140以上の都市で利用され、その数は増加の一途を辿っています。

 

5374.jpの図

 

今年のはじめ、1月1日16時10分に発生した能登半島地震は、被災地に大きな爪痕を残してしまいました。この地震により、現地のさまざまなライフラインが止まりました。通信状況も不安定になり、一切情報を切断された状況となり、被災状況の把握が困難となりました。このとき全国のシビックテック団体の仲間たちから温かい声かけを受け、コード・フォー・カナザワ様は迅速に行動を起こし、「能登半島地震コネクトマップ」を開発・提供されました。このマップは、被災地域の“今、つながる”(通信環境)を可視化し、情報伝達が困難な被災地において情報共有を促進する一助となりました。

 

能登半島地震発生から開発までの経緯

 

コネクトマップそのものは、すごい単純で、起動すると「ここつながる」というボタンだけがあるだけ。ネットがつながるという場所に行ってこのボタンを押すと。緯度経度が自動で取得されてその場所がつながるというのがマップ上に登録されます。つながらない場所では押せないのでフェイク情報も防げ、公開させていただいてから、データ登録1200件以上登録。データもオープンデータとして994件公開。公開中、1番声が多かったのは、現地に支援に行かれている方が、「ここつながる」という情報を調べるために拝見させていただいたという声が多かったそうです。

能登半島地震コネクトマップの登録画面          つながる場所マップ

 

この取り組みは、支援に乗り出していただいた全国のシビックテック団体やSNSを通じて広く拡散され、多くの方にご利用いただくことができました。
この経験から、コード・フォー・カナザワ様は地域課題に対するシビックテックの有用性を再確認され、さらには、地域の課題解決に向けて、引き続き「自分たちの故郷は自分たちが守る」と積極的に取り組まれています。
今回の活動における表彰及び講演の機会が今後の活動の励みになるとともに、まだまだ能登半島地震の被害は残っており、復旧にむけた知恵があればご連絡いただきたいとの声を最後にいただきました。

※:コード・フォー・カナザワ様ワイヤレスジャパン2024講演資料より

Wi-Biz渉外広報山口委員から

今回の表彰を前に、Wi-Biz渉外広報の山口委員(NTTBP)は事前に金沢へ伺い、福島理事へのインタビューを行いました。
現地に行ったのは4月末でしたが、インタビューメンバーの中には実際に奥能登のボランティアに参加した者もいました。その時に受けた印象は、まるで1週間前に地震が起こったのではないかという状態で、残念ながら私たちの想像をはるかに超えるほど復興は進んでいませんでした。
被災を受けていないエリアに住んでいると、どうしても時間の経過につれ、ニュース報道を見る機会も減り、つい忘れがちになっていると思います。ですが、私たちの感じる時間の流れと被災地の時間の流れは大きく違います。今日のこのセッションで、少しでも頭の片隅に、まだ能登は復興ままならない状況であることをご認識いただいたうえで、ぜひお一人おひとり、それぞれの形でなにかできることは無いかを考える機会となってほしいと思います。
福島様のインタビューの際に非常に印象に残った言葉は「平常時にできないことは、災害時は絶対にできない!」です。
私たちWi-Bizが推進している「00000JAPAN」の存在も、日常から少しでも記憶していていただけると幸いです。
現在、「能登半島地震コネクトマップ」は新規登録終了となっているものの、データはオープンデータになっております。このワイヤレスジャパンにご来場される皆さまのテクノロジーを持ってすれば、このデータを使って、わが町であったり、地域に生かした取り組みが生まれると思っています。
それによって、災害時の通信環境が、今よりも少しでも良くなることで、また一つ救われる命や場面があるのではないかと思っています。

 

 山口委員から

 


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