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トップインタビュー
国土交通省 観光庁 参事官(外客受入担当) 濵本 健司 氏
高付加価値な旅行需要を取り込む観光地づくりへ
フリーWi-Fi、SIM、海外ローミングなど要望が多様化

コロナ禍を越えて、観光需要が回復してきています。観光産業の現状と今後の取り組み、そしてWi-Fiはじめとする通信環境整備について、国土交通省 観光庁 参事官(外客受入担当)濵本 健司 氏にお訪ねしました。

 

 

–日本の観光の現状について教えて下さい。

濵本 日本人の国内旅行について、2024年4-6月期の延べ旅行者数は、約1.5億人と2019年同期比88.6%まで回復しています。同期間の国内旅行消費額は、約6.5兆円と第2四半期(4-6月期)の消費額として過去最高となっています。
海外への旅行の状況について、2024年7月の出国日本人数を見ると約105万人と、2019年同月比で63.2%の回復となっています。

–外国人の日本への旅行の状況を教えて下さい。

濵本 訪日外国人旅行者数については、2024年7月は約329万人と、単月で過去最高となっており、1-7月の総数は約2,107万人となり、2019年の水準以上となっています。

–世界全体の観光の状況はどのような傾向なのでしょうか。

濵本 世界全体の観光の状況については、昨年12月の時点で2019年比で-11%となっており、主要国・地域の国際観光客数は、コロナ前の水準まで概ね回復しています。

インバウンドは過去最高を記録

–訪日外国人の日本への観光の状況をもう少し詳しく教えて下さい。

濵本 訪日外国人旅行者数について、上位となっている国・地域を見ると、2024年7月では、中国からの旅行者数が約78万人で最も多く、次に韓国が約76万人、台湾が約57万人となっています。
一方で、外国人延べ宿泊者数を見ると、2023年は7割以上を三大都市圏(埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)が占めており、観光需要の偏在が課題となっています。

–市場の金額、支出傾向などはどういう状況でしょうか。

濵本 消費額の状況についても、2023年の訪日外国人消費額が約5.3兆円とコロナ前を超えており、2024年4-6月期は、約2.1兆円と四半期として過去最高となっています。

–日本の観光政策、市場拡大策を教えてください。

濵本 インバウンドについて、力強い成長軌道に乗ってきており、このペースで進めば、2024年は、過去最高を更新して訪日客数3,500万人、消費額8兆円が視野に入る勢いになっています。
一方で、外国人延べ宿泊者数については、三大都市圏への偏在傾向が見られるほか、観光客が集中する一部の地域や時間帯によっては、混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や旅行者の満足度の低下といった、いわゆるオーバーツーリズムの懸念も生じている状況です。

–今後の取り組みを教えてください。

濵本 現在の訪日客数・消費額が過去最高ペースであるこの成長機会を活かし、地方部への誘客を力強く進めていくためにも、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組を進めつつ、高付加価値な旅行需要を取り込むための観光地づくりに取り組んでいきます。
また、将来に向けて、必要な投資や人材育成等を行うことにより、持続可能なあり方で観光地・観光産業の発展を促進していきます。

観光地のフリーWi-Fiの環境整備は改善

–インバウンドでのWi-Fiの充実化が強く言われましたが、最近はどういう状況と認識されていますか。

濵本 通信環境について、観光庁が令和5年度に実施した調査において、訪日外国人旅行者が「旅行中に困ったこと」として「フリーWi-Fiの環境」を回答した割合は、9.6%となっており、令和元年度に実施した同様の調査結果(11%)や平成28年度の結果(28.7%)と比較して改善が見られており、観光地におけるWi-Fi環境の整備が進んでいるものと考えています。
また、訪日外国人旅行者が利用する通信手段についても、フリーWi-Fi以外にSIMや海外ローミングを利用する人が増えている傾向にあり、旅行時の通信手段の多様化が進んでいると考えています。
なお、この調査において、訪日外国人旅行者が通信手段の選択で重視したと回答した内容は、通信速度や接続の安定性、価格が手頃であることが上位となっています。

–Wi-Fi業界、Wi-Bizへの期待について教えてください。

濵本 地方部への誘客をより一層強力に推進するため、旅行者がストレスフリーで快適に旅行できるよう、地方部においても通信環境をはじめとする受入環境の整備を行っていくことが重要と考えています。
また、災害が発生したときなどに観光客が必要な情報を収集できる環境を確保する観点からも、こうした通信環境の整備は重要であると考えています。
観光庁としても、引き続き、観光施設や公共交通機関における通信環境整備の取組をしっかりと支援していきたいと考えています。


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