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導入事例
OpenRoamingの自治体導入の状況と効果

株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス
佐藤 圭

OpenRoamingについて、メルマガで何度も取り上げられていますが、実際に導入してどういう状況なのか、関心の高い読者の方も多いと思いますので、弊社(ワイヤ・アンド・ワイヤレス)での実績データをもとに、ご紹介させていただきます。
なお、本記事に記載した内容につきましては、個人的な見解が含まれることをご了承ください。

OpenRoamingの導入状況

まず、弊社での導入実績についてご紹介させていただきます。

2023年3月に、東京都が国内の自治体のフリーWi-Fiとして初めてOpenRoamingを導入したと発表しました。

 

 東京都ホームページ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/03/29/07.html

 

その後、他の自治体でも採用するケースが生まれ、当社がプレス発表をさせていただいたもので、6自治体になります。

・2023年11月 北海道函館市
https://wi2.co.jp/release/press/2023/20231130-hakodate_openroaming.html
・2024年2月 京都府京都市
https://wi2.co.jp/release/press/2024/kyoto_wi-fi_openroaming.html
・2024年2月 兵庫県姫路市
https://wi2.co.jp/release/press/2024/himeji_openroaming.html
・2024年3月 沖縄県沖縄市(沖縄こどもの国)
https://wi2.co.jp/release/press/2024/okinawa_kodomonokuni_openroaming.html
・2024年3月 兵庫県神戸市
https://wi2.co.jp/release/press/2024/kobe_free_wi-fi_openroaming.html
・2024年4月 長崎県西海市
https://wi2.co.jp/release/press/2024/saikai_free_wi-fi_openroaming.html

ご覧いただくと分かりますように、採用されているフリーWi-Fiの目的は、観光客の受入環境整備から住民向けサービス、防災・減災対策、都市の通信インフラ基盤の整備など、さまざまです。
そこから、OpenRoamingによってもたらされる「安全性」と「利便性(オープンな認証連携)」は、誰もが使える公共インフラである自治体のフリーWi-Fiのニーズに合致しているのだと思われます。

また、これらご紹介した以外の自治体でも、民間の宿泊施設などを中心に導入例が出てきております。国内のOpenRoaming対応エリアは拡大しているといえます。

なお、このたび、「WBA」が、Wigle.netとの連携によりOpenRoamingが利用可能なアクセスポイント情報を収集する仕組みがリリースされ、マップが公開されていますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います(残念ながら施設名は表示されません)。

 

 WBAホームページ
https://wballiance.com/openroamingmaps/

 

OpenRoaming導入によるアクセス増

では、OpenRoamingを導入した自治体のフリーWi-Fiでは、実際にどのくらいOpenRoamingが使われているのでしょうか。また、従来のフリーとの比較はどうなっているでしょうか。

以下のグラフは、従来型のWEB認証のフリーWi-Fiに加えて、OpenRoamingを追加した4自治体の認証数の推移(導入前後3カ月)の実績です。
OpenRoaming導入前に比べて、トータルでの認証回数(利用数)が増加していることがわかります。導入後の早い段階から顕著に認証回数が増加していることから、既にOpenRoamingに登録済の訪日外国人などによる、新たな利用が増えたのではないかと推察されます。
また、導入後、時間の経過とともに割合が増加していることから、自治体の住民の方など、普段利用される方にも徐々に認知されて、利用が増加しているのではないかと考えられます。

 

 

OpenRoaming利用者の特性

次にどういった方に使われているかです。

ここで、どういったデータが取得出来るかについて簡単にご説明します。
OpenRoamingでは、利用者に払い出すID(認証用のプロファイル)の提供者の目線と、エリア(Wi-Fiアクセスポイント)の提供者の目線があります。

 

 

IDの提供者(IdP)の立場では、自らが提供したIDの利用者が国やエリアを跨ってどのように使っているかが判ります(上表のタテの目線)。
一方、エリアの提供者(エリアオーナー)の立場では、自らが運営するエリアがどのIdPの利用者に使われているかが判ります(上表のヨコの目線)。

そして、(現状OpenRoamingを提供する多くの自治体がそうであるように)両方の立場を兼ねている場合は、タテヨコがクロスした部分(上表の◎の部分)については、利用者の属性などを含めた詳細な分析も可能ということになります。
詳細な分析とまではいかずとも、クロスしない部分について、IdPとしてはエリアのカテゴリー、エリアオーナーとしては利用者の国籍(使用言語)などを知ることが出来る仕組みができれば、更に普及を加速させることになるのではないかと思います(ここは今後に期待)。

では、当社が運営を担わせていただいているエリアでの利用者(ID)の種別の実績をご紹介します。

 

 

利用者の36%は海外で発行されたIDの利用者となっています。この数字は従来のフリーWi-Fiと比べると比較的大きい割合であると思われます。
残りの64%が国内で発行されたIDの利用者で、そのうち12.5%が東京都のIDとなっています。全国のエリアでの平均値であるため、単体のIdPとしてはかなり多い割合と言えます。また、特徴的なのは学術系のIDの多さで、国内外を合わせると約2割となります。OpenRoamingは学術系の認証連携基盤である「eduroam」の発展形とも言えるため、多くの学生や教員の皆さまにOpenRoamingのエリアが利用されていることがわかります。

今回は、当社が保有する情報の一部を簡単にご紹介させていただきました。国内のOpenRoamingはまだ黎明期と言えると思いますが、今後の普及に伴って、こうしたデータの内容も変わってくるものと思います。IDの切り口からみた利用傾向なども含め、機会があればまたご紹介させていただきたいと思います。

 


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