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自治体紹介
京都府京丹後市
市民サービスの利便性向上と市役所業務の効率化へ
DX戦略プロジェクトに取り組む
京都府京丹後市は、いちはやく平成26年度にインバウンドを含む旅行者向けの観光Wi-Fiの整備を行い、令和4年度には指定緊急避難場所となっている市施設への公衆無線LAN環境の整備を実現しました。その取り組みについて、京丹後市役所総務部デジタル戦略課の主査 池田 弘幸様に、報告を寄せていただきました。
京丹後市の概要
京丹後市は京都府の最北端に位置し、京都市から直線距離で約90km、人口約5万人の自治体です。北は日本海に接し、東から南にかけて伊根町、宮津市、与謝野町、南西は兵庫県豊岡市に隣接しています。市域は東西約35km、南北約30km、面積501.85km²と広大で、日本海に突き出た丹後半島の大部分を占めています。
市域の約4割を占める山地には、北近畿最大級のブナ林など、緑豊かな風景が広がり、標高400~600mの山々から流れる竹野川などの流域に盆地が形成されています。海岸線は、荒々しい断崖絶壁と白い砂浜のコントラストが特徴で、大半が山陰海岸国立公園と丹後天橋立大江山国定公園に指定されています。
特に、経ヶ岬から丹後松島、屏風岩、立岩へと続く海岸景観や、鳴き砂の浜として国の天然記念物および名勝に指定されている琴引浜、小天橋から浜詰海岸にかけて約8km続く北近畿一のロングビーチは、その美しさが有名です。これらの海岸線を中心とした地形や地質は、数々の激しい地殻変動や火山活動、海食によって生じた奇岩や怪岩、洞窟を形成しており、丹後半島の特異性を示しています。
半島の大部分は、日本海の成立から現在までの大地の成り立ちや、そこに暮らす人々の歴史を体感できる地域として、平成22年10月に「山陰海岸ジオパーク」が世界ジオパークに認定され、平成26年および31年にはユネスコの正式事業として再認定されています。
市施設への公衆無線LAN整備と災害時開放
京丹後市では、平成26年度にインバウンドを含む旅行者向けの観光Wi-Fiの整備を行いましたが、平成29年と30年には2年連続で台風や大雨災害が発生し、避難所の開設も多く行われました。
各地で自然災害が頻発する昨今、線状降水帯の発生に伴う大雨など、これまでに経験したことのないような災害が日本全国で増加しています。また、昭和2年に発生した北丹後地震から97年が経過し、海洋性地震に伴う津波発生による被害も懸念される中、指定緊急避難場所等における災害時の通信環境の整備が課題となっていました。
そのため、令和4年度に指定緊急避難場所となっている市施設への公衆無線LAN環境の整備に取り組み、翌5年度から運用を開始しました。整備に並行して「00000JAPAN」の認定手続きも行い、令和5年2月には提供事業所として認定を受けたところです。
その後、人的被害を伴うような大きな災害は幸い発生していませんが、避難所の開設に伴う情報収集や通信手段の確保に大いに役立っています。
京丹後市のDX推進
京丹後市では、積極的なDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、令和3年度に市長をトップとする「デジタル化推進本部」を設置しました。また、CDO(最高デジタル責任者)に情報経営イノベーション専門職大学の中村伊知哉氏を迎え、市民サービスの利便性向上と市役所業務の効率化を柱としたDX戦略プロジェクトに取り組んでいます。
広大な市域を抱える本市では、窓口が遠い地域も少なくないため、オンライン化をはじめとする行政手続きの選択肢の拡大が求められています。こうした背景から、令和4年度には新たに3つのシステムを導入し、運用を開始しました。
具体的には、
1.オンライン申請システム:スマートフォン等から各種証明書の交付申請を行えるシステム
2.リモート相談システム:窓口から遠い地域の市民向けに、オンラインで職員が対応し、手続きを行えるシステム
3.マイナンバー対応申請書自動作成システム:マイナンバーカードを利用して、氏名、住所等が記載された申請書を自動で作成できるシステム
令和5年度からは、住民票などをコンビニで交付できるサービスも開始するとともに、マイナンバーカードを使って本人確認、予約、決済、スマートキーによる鍵管理までオンラインで行える公共施設予約システムの運用も開始しました。
さらに、地方自治体情報システムの標準化が進められていますが、令和7年度には建設中の庁舎増築棟も完成予定となっており、新しい窓口での市民サービスを見据えたデジタル化に向けた業務プロセスの再設計(BPR)に注力しています。市民サービス窓口部門を中心に、業務の棚卸しやワークショップを通じた課題整理、業務フローの見直しの取り組みとともに、バックヤード業務においてはAI-OCRやRPAを活用した業務時間の削減を進めています。
こうした取り組みを軸に、市民サービスの利便性向上と市役所業務の効率化をさらに進めるとともに、デジタル人材の育成にもつなげていきたいと考えています。
京都府京丹後市HP:https://www.city.kyotango.lg.jp/index.html
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