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海外情報
タイに見る無線LANオフロード事情

一般社団法人無線認証連携協会(Cityroam) 代表理事
株式会社グローバルサイト 代表取締役
山口 潤

私は海外ではローミングではなく、キャリアの展開などを見るために現地でSIMを調達することにしています。
例えばロンドンの地下鉄ではセルラー基地局の整備は新規路線であるエリザベス線などでようやく始まったばかりですが、現地キャリアの無線LANサービスはほとんどの駅で提供されています。現地のSIMを使用すればより広いエリアでネットワークを享受することができます。

このたびWireless Global Congress APACに参加するために、タイのバンコクに向かいました。
行きの飛行機では機内無線LANサービスが提供されていました。使用機材が787でしたのでGPSの電波が受信できずマップで現在位置を示すことはできませんが、Flightradar24を経由すれば飛行高度や現在地を探ることができます。
日本からの出発便が遅延したため、バンコク・スワンナプーム国際空港には23時過ぎに到着。よりによって巨大空港の端のゲートに到着したためひたすら歩くことに……。

長いコンコースには無線LANアクセスポイントが配置されていましたが、これはキャリアによる無線LANサービスのようですが、契約者以外も使用できるようです。ただ入力項目が多く登録に時間がかかりそうでしたので、終電が近いことから使用を断念。足早に入国審査に向かいます。

 

 

 

入国審査の手前と手荷物受取場には各キャリアが複数のブースを設けています。しかし、いずれもカードが使えず現地通貨のみで購入を断念。税関を抜けて完全に入国をしないとカードでの支払いができないようで、到着出口向いのキャリアショップでSIMを購入します。
今回はTrueMoveを選択しましたが、バンコク市内はセルラーの電波が届かないということもなく、(日本よりも!)快適にネット接続ができます。

 

 

 

 

ネット環境が快適なバンコク市内ですが、それにも関わらず各社が凌ぎ合うようにキャリア無線LAN用のアクセスポイントを配置していたのには驚きました。ショッピングセンターの天井には各キャリアのアクセスポイントが並びます。タイには3大キャリアとしてAIS、TrueMove H、dtacがありますが、近年dtacはTrueMoveと合併しています。
dtacは合併後もブランドとして存続しており、ショッピングセンターでは個別のアクセスポイントを設置していました。無線LANサービスとしての乗り入れは行なっていないようです。
なお、これらのキャリアWi-FiはSIM認証を用いており、端末にSIMを投入した後は特に何もすることもなく接続することができました。

 

 

 

コンビニエンスストアでもキャリアによる無線LANサービスが提供されています。日本では利用者向けであるため店舗内に設置されますが、タイでは店頭に設置され市街地Wi-Fiの役割も果たしているのが面白いところです。
旺盛な通信需要に対して、無線LANオフロードも合わせさまざまな手を用いてユーザに通信環境を提供しようという意気込みを感じます。

最近、日本は都市部ではホテルや店舗などでネットだけでなく通話も含めセルラーの通信事情がなかなか厳しく、いわゆるネット難民になることがままある私としては「うらやましい」という言葉ばかり出る出張でした。

第7回 日本オープンイノベーション大賞 科学技術政策大臣賞をいただきました

さて、最後に私事ですが、内閣府「第7回 日本オープンイノベーション大賞」において、東北大学を中心として取り組んできました「デジタル社会を支える安全な次世代無線LANローミング基盤の国際共同開発と事業創出・社会実装」に対して、公衆無線LANの安全性・利便性向上に向けた、オープンな開発コミュニティの主導と取組を評価いただき、科学技術政策大臣賞をいただきました。
産学共同のプロジェクトとして公衆無線LANの安全性・利便性向上に向けたオープンな開発コミュニティを形成し若手人材やベンチャー企業等も参画して推進するとともに、Wireless Broadband Alliance (WBA)に参画での国際的な基盤開発に寄与による、イノベーション創出への貢献を期待しての受賞です。
今回の受賞を励みに、今後もより一層精進していく所存です。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

 


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