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業界ニュース
「第5回TOKYO Data Highwayサミット」を開催
災害時もつながる通信の確保へ取り組み
昨年12月16日、「第5回TOKYO Data Highwayサミット」が開催され、能登半島地震の教訓をふまえ、有事の際に首都防衛に向けた都内の通信環境の在り方をテーマに議論が行われました。
このサミットは、2019年8月公表された「TOKYO Data Highway基本戦略」をスピーディーに推進するため、東京都が世界最高のモバイルインターネット網を作り上げることを目指して定期的に開催されています。今回は慶應義塾大学村井教授、NTT東日本澁谷社長、NTTドコモ前田社長、KDDI高橋社長、ソフトバンク宮川社長、楽天モバイル矢澤社長、JTOWER田中社長、NTTBP加藤社長、ワイヤ・アンド・ワイヤレス向吉社長、東京都は小池知事、宮坂副知事、山田デジタルサービス局長が出席しました。
通信インフラの重要性と強化
小池知事は、通信の重要性を強調し、災害時における情報の確保がいかに重要かを述べ、その一例として東京都ではスターリンクを活用した情報伝達のため、都内全ての区市町村に配備したことを報告しました。
村井教授は、クリティカルインフラストラクチャーの持続性を確保するために、デジタルインフラストラクチャーの重要性を強調。特に、サイバーセキュリティの観点からの保護が必要であると述べました。
宮坂副知事からは、つながる東京プロジェクトの現状と今後の取り組みについて説明があり、通信インフラの強化と新技術の導入による災害対応の強化を目指している旨を述べました。
防災・災害対策の取り組み
サミットでは、防災・災害対策の取り組みについて、次のような提起が行われました。
• 防災対策
首都防衛に向けた通信の強靭化とAIやデジタル技術を活用した自治体の防災機能向上についての取り組みが説明されました。
• 災害対策と技術開発
災害対策三原則に基づく取り組みや、東京都との協力による5G展開やミリ波の実験、スターリンクを活用した災害対応、また能登半島地震での復旧活動について、複数事業者から説明されました。
• 災害時の現場対応
能登半島での大規模災害対応の経験を共有した事業者から、現場判断を優先する体制の重要性が挙げられ、移動型基地局の導入や迅速に全国からスタッフを集められる体制づくりなどの取り組み内容が共有されました。
災害時と平常時の通信
さらに、新たな提案も行われました。災害時の通信インフラの強化について、特に東京の人口密集地での情報遮断の影響を考慮し、避難所でのWi-Fi設置やエネルギー供給の持続性を高める必要性、またビルのエネルギー持続時間の情報を集め、防災マップに組み込むなどのアイデアも提起されました。特に屋内通信環境の整備が重要であり、バックアップ電源の確保が必要という意見も出されました。
• 防災訓練の重要性
自衛隊や総務省との連携を強化し、東京都が年に一度防災訓練を実施することの重要性も提言され、実際の緊急道路の確認やヘリコプターの使用を含む訓練を通じて、災害時に物資を迅速に運べる体制を整えることなども提案されました。
• 平常時・有事の通信トラフィックの収容
平常時だけでなく有事の際の4G、5G通信トラフィックの増加に対応する発言もあり、特に地下鉄等での高い通信量に対する対応が必要であり、基地局の増設を進めている事業者もありました。
災害時の通信インフラと防災対策
• BCM(Business Continuity Management)と災害対応
すでにBCMを導入している事業者もおり、通信や金融を含む全てのサービスを連携させるツールを開発。災害時にはリモートで基地局の電力を管理し、バッテリー寿命を延ばす取り組み事例が発表されました。
• 5G設備のエリア拡張
5G設備のエリア拡張を実施している事業者では4G設備もシェアリング装置に置き換え、エリアの均一化と消費電力の削減を図っている事例が発表されました。
• Wi-Fiの防災活用
Wi-Fiを活用した帰宅支援対策を進め、災害時にもWi-Fiを利用して帰宅を支援する取り組みのほか、日頃からフリーWi-Fiスポットを確認しておくことの重要性についても提起がありました。
• オープンローミングと防災DX
オープンローミングを活用し、災害時に避難者の情報を防災担当者に伝えるシステムを構築している事業者もあり、減災に貢献するソリューションとして期待されるDXの取り組みも発表されました。
小池都知事は、「つながる東京」の実現に向け、5つの危機(水害・地震・噴火・通信や電力の確保・感染症などのパンデミック)の場面にも、強靭な東京都として、命や健康、そして財産や日常生活を守るという観点から、今後とも手を取り合って進めていきたいと各事業者へ呼びかけました。
今後、具体的な計画と実施方法の検討、責任者や体制の明確化が必要であり、また、通信インフラへの信頼確保などの課題もあり、事業者個々では実現困難な事案も、東京都のもと皆で手を取り合いながら推進していく取り組みが注目されています。
*第5回TOKYO Data Highwayサミットの模様は、以下のサイトで、ご視聴いただけます。
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/business/tokyo-data-highway/summit
*Wi-Bizでは有事の際にどなたでもご利用いただけるWi-Fi「00000JAPAN」の普及拡大に努めております。
https://www.wlan-business.org/00000japan
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