総務省が2020年までに全国すべての小中高校に無線LANを導入の方針
学校ビジネスの幅広い展開にチャンス到来か

宇佐美

 

5月8日付けの日経新聞に「全小中高に無線LAN」という見出しのニュースが掲載されました。これによると、総務省はデジタル教科書の普及促進など学校環境における教育ICT化を後押しすると同時に、有事の際の防災対策の一環としても、避難所運用における無線LANインフラの配備を含むICT化の費用の半分を補助する方針で、17年から3年間の 計画で計100億円を確保するとのことです。
この件について、総務省に問い合わせたところ、もう少し詳細な情報を得ることができました。

まず、「全小中高」という部分は実際には、「防災拠点となっている公立・私立の小中高」ということ、つまり体育館や講堂、教室等などが避難所として指定されているケースに適用されるということです。
公立小中学校に関しては、ほぼ全部の小中学校体育館が避難所となっているので、その意味では公立学校の全てが対象となり得ます。
一方、平成18年度の調査で避難所指定されている公立の小中高は3万513校(岩手宮城福島の3県を除く)存在します。
*1これら全てが対象となると1校あたり30万円ちょっとの補助金ということになり、防災拠点となっている全ての小中高に無線LANを導入するにはとても足らない予算であることが分ります。

そもそも3年間で3万校の全導入にこぎ着けるのに、誰がどう提案・推進していくのか現実性はかなり疑問符が付きます。教育現場では避難所対策だけで予算化することはなく、実際にはタブレット等を利用した教育のICT化を含めた検討が求められる訳ですから、さらにハードルが上がることが想定されます。
こういったことから、全学校への導入というのはもう少し先の課題で、実際はタブレット導入を検討しているモデル校などを中心に、防災補助を利用して無線インフラを整備するというのが現実的なところになるのではと思います。

いずれにしても100億円の予算がつくということは無線LANにとって非常に良いことで、追い風になることは間違いありません。学校無線LANは、企画、工事、施行、アプリケーションのいずれの面からも大きなビジネスが期待されます。さらに学校ビジネスは継続的なビジネスになることが期待されます。注目していきたいと思います。
*1:国立教育政策研究所による調査「学校施設の防災機能に関する実態調査結果について」

 


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