技術情報 ~Wi-Fi規格徹底解説:11ah~
広いカバレッジでIoT用途に適した新規格
新技術導入促進委員会 北條委員長
IEEE802.11ahは、普及している2.4GHz及び5GHz帯のWi-Fiシステムの利便性を維持しながら、920MHz帯などの1GHz以下の周波数帯を用いて、広いカバレッジ(~1km)も可能としたセンサー・IoT用途に適した無線LAN規格です。
802.11acの動作クロックを下げることで低速化するとともに、11acのPHY/MAC技術をベースに、広域化・低消費電力・多端末収容(~6000台/AP)を実現するための改良が加えられています。伝送速度は150kbps~数Mbpsとなり、各種センサーからカメラ映像まで幅広いIoTトラヒックの収容を想定しています。チャネル帯域幅は1,2,4,8,16MHzが規定されていますが、日本では11ahが利用できる920MHz帯の電波関連法規により1MHzのみが利用可であり、さらには1時間あたりの総送信時間が360秒以内(時間率10%以内)に制限されています。
既存のWi-Fiシステムで確立されたセキュリティ(WPA2やWPS)やダイバーシチ機能(STBCやMIMO)等がそのまま利用できるため、製造・オートメーションなどの産業用途やメータリング・構造物センシングなどの社会インフラ用途の高信頼性要求にも応えると期待されています。また、既存のWi-Fiと同様にIP接続が利用できるため、インターネット経由でのIoTシステムも簡易に実現可能です。
標準化は2016年9月完了予定です。11acチップの設計が流用可能なため、低コストに市場普及することが期待されます。
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