Wi-Fi Allianceと共同で「2016 Tokyo Wi-Fi Summit」を開催
ケヴィン・ロビンソンVPと総務省長嶺室長が基調講演
リエゾン委員会 小林副委員長
7月27日午後、「2016 Tokyo Wi-Fi Summit」がWi-Fi Alliance主催、無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)協賛で、東京・恵比寿のウエスティンホテル東京で開催され、定員を大きく上回る250名の国内外の専門家が集い大盛況となりました。
Wi-Fi Allianceは無線LAN製品の普及を促進する世界最大の業界団体です。地域毎に「Wi-Fi Summit」を開催し、会員に限定したWi-Fi技術のシンポジウムを行っています。
今年は、台湾、韓国、そして日本で行われ、「2016 Tokyo Wi-Fi Summit」は、本年3月、Wi-BizがWi-Fi Allianceの「Strategic Partners」になったことから、その最初の共同イベントとなりました。
小林会長がWi-Fiとモバイル通信の相互発展を提起
司会のNTT-BP取締役 北條博史氏の開会を受けて、挨拶に立った無線LANビジネス推進連絡会 小林忠男会長は、最新の無線LAN市場動向を述べ、モバイルとWi-Fiの関係などを整理して紹介しました。
5GHz帯で、免許不要でLTE通信を行おうとする「LTE-U(LTE Unlicensed)」「LAA(License Assisted Access)」「MulteFire」と、2.4GHzから5GHz帯に移行を進めているWi-Fi通信との関係は、ユーザー視点での議論が必要と提起しました。
また、IoT向け省電力の広域通信でも、キャリアが進める高品質のIoTネットワークと公共や企業・家庭でWi-Fiで構築されるパブリック/プライベートなネットワークとの両方が必要となり、SigFox、LoRa、NB(Narrow Band)-IoTと、Wi-Fiで検討するHalow(802.11ah)とは、何をどこで使うのかという視点が必要と提起しました。
次いで、総務省基幹通信室室長 長嶺行信氏が日本の電波政策の方向性を提起し、政府の方針や政策を分かりやすく説明しました。
5G帯、60G帯の政策や、交通政策基本計画の主要空港や新幹線主要駅での100%無料公衆Wi-Fi実現、日本再興戦略と学校のICT政策、地方創生や防災政策、成長戦略の加速で600兆円経済を目指す方針と第4次産業革命に向けた取り組み、国土のグランドデザイン2050という将来像まで提起が行われました。
また、今後の具体策として、Wi-Fiロゴを持つなど条件を満たす端末は入国の日から90日以内に限って海外からの持ち込みのまま使えることを認める方針などが紹介されました。
基調講演に立った、Wi-Fi Allianceのマーケティング担当トップのVPのケヴィン・ロビンソン氏は、「Wi-Fiの世界ビジョン」というテーマで講演を行った。
Wi-Fi市場には、IoTビジネス、簡単開発PF、ロケーション、Wi-Fiを介したシステムの自動最適化(プロビジョニングニング)、ロケーションサービス、コンテンツ配信など様々なスマートライフ支援、さらにOTTとの連携での革新的で巨大なビジネスチャンスがやってくるなど展望が示された。
ブレイクを挟んで、デモ付きのスピーチが2つ行われた。
山形大学客員教授/NECビジネスクリエイション本部技術主幹小林佳和からは、11acのMU-MIMOで1つのアクセスポイントから同時に複数のフルHDストリーミングが実現できたり、近接サービスが手軽に実現できることが実演で紹介された。
一般社団法人JASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture)の坂東徳親氏から車のWi-Fi 活用が紹介された。Wi-Fi Allianceと連携した活動を行っているJASPARは特にWi-Fi Automotive 部会の活動をグローバルな産業界との関係を構築しつつ推進しており、自動車におけるWi-Fi利用の利便性向上など自動車産業における役割が紹介された。
デモでは、手持ちのスマホと車の連携が示され、音楽や動画などのエンターティメントがスマホを介して多様に楽しめる様子が分かりやすく紹介されました。また、JASPARは2.4GHzや5GHzなどの電波活用についての活動も行っており、調査報告の事例も紹介されました。
最後に、小林会長が閉会の挨拶を行い、盛り上がりのうちに終了しました。
記者会見も開催
これに先立ち、11:00からWi-Fi Alliance ケヴィンVPの記者説明会が行われ、小林会長も同席し挨拶を行いました。
記者会見では、ケヴィン氏は、802.11acをベースに相互確認性を確認する認証ブログラム「Wi-Fi CERTIFIEDac」の新機能「Wave2」の紹介を行った。
Wave2によって、コネクティッドデバイスの増加と、高精細な動画など容量の大きいリッチコンテンツの増加に対応できるようになり、無線LANによりさらにライフスタイル革新がもたらされると述べた。
小林会長は、このWi-Fi技術の発展は日本でもオリンピックや観光などに貢献できる可能性が高まっていると述べ、Wi-Fi Allianceとの戦略的パートナーとして密接な関係を構築して市場の発展に尽力したいと述べた。
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