技術情報
Wi-Fiツールで渋谷の電波利用状況を調査
2.4GHz帯は混雑、5GHz帯はまだスムーズ
新技術導入促進委員会 松村副委員長
スマホアプリ「Wi-Fi Analyzer」で渋谷の駅前のWi-Fi電波利用状況を調査してみました。
Wi-Fiを簡単に測定できるアプリで、2.4GHz帯と5GHz帯の様子がよく分かりました。
最近のスマートホンは5GHz帯の搭載率が上がってきています。そこで、実際の利用率も上がっているのではないかと思い、日曜日に渋谷駅前のWi-Fi測定を実施してきました。8月中旬のことです。
Android版しかないのですがWi-Fiを簡単に測定できるアプリがあります。何種類かのうち、今回は「Wi-Fi Analyzer」を使いました。
まずは、2.4GHz帯の測定です。
全部で14chあり、想像通りたくさんのAP(SSID)です。最近、ARIBから出されたSTD-T66(参考7)*にも書かれていますが、推奨する利用チャネルは1, 6, 11chです。隣接チャネル(4ch以下の間隔)で使うと電波が干渉して隣のチャネルがノイズになってしまい、思うような速度が出ないという現象になります。
図1でチャネルの山が隣のチャネルと重なっているのがわかるかと思います。これだと思うようにスピードが出ていないかも知れません。
次に5GHz帯を測定してみました。
5GHzにもW52(36,40,44,48ch)の4ch、W53(52,56,60,64)の4chとW56(100,104,108,112,116,120,124,128,132,136,140)の11ch、合計で19chになります。
各チャネルはチャネルボンディングという技術で最大8chを複数のチャネルを一つに合成して利用することもできますが、ここではその説明は割愛します。
図2のW52、W53は衛星システムなどの電波と同じ周波数を利用しているため、屋内利用に限定されています。最近のスマートホンには5GHz帯が搭載されているためか、多くのAP(SSID)が観測されました。ただ、2.4GHz帯と異なり、各chの山が重なっていない、つまり電波干渉していないため同時利用のためのデータ転送の時間(AirTime)を消費することになりますが、干渉による速度低下は発生しないものになっています。
最後になりますが、W56は屋外でも利用できる11chです。
計測するまではそれほど利用されていないのではと想像していましたが、多くのAP(SSID)が観測されました。2年ほど前までは5GHzの利用はそれほど多くなかったのですが、2.4GHzが混んでいる影響で5GHzの利用が徐々に増えてきたものと思います。
日曜日の渋谷でしたが、目立つのは訪日外国人観光客とコスプレした若者、まさに2.4GHz帯の混信を思わせる混雑です。 自分と同年代の男性は5GHz帯の電波よりも少ない状況でした。
なれない人混みに疲れましたが、帰りがけに渋谷スクランブル交差点付近で捕獲したポケモンGOのピカチュウに心癒されました。
*:ARIB STD-T66
http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/1-STD-T66v3_7.pdf
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