技術情報
ミリ波帯を利用する無線LANの相互接続性認証
「Wi-Fi CERTIFIED WiGig」が開始
新技術導入促進委員会 松浦委員
このたび、Wi-Fi Allianceは、Wi-Fi機器として知られている2.4GHz帯や5GHz帯の無線LAN機器と同様に、60GHz帯の機器についても相互接続性認証を実施することを公表しました。
http://www.wi-fi.org/discover-wi-fi/wi-fi-certified-wigig
この相互接続性認証を受けた最初のWi-Fi CERTIFIED WiGig製品として、10月7日付で5社の製品が登録され、今後の認証試験のテストベッド機器として使用されます。
登録製品は以下の通りです。
Dell Latitude™ E7450/70
Intel Tri-Band Wireless
Peraso 60GHz USB Adapter Reference Design Kit
Qualcomm Technologies 802.11ad Wi-Fi client and router solution
(based on the QCA9500 chipset)
Socionext™ 802.11ad Reference Adapter
http://www.wi-fi.org/product-finder-results?sort_by=certified&sort_order=desc&certifications=62
IEEE802.11ad規格は、60GHz帯という非常に高い周波数を利用します。日本では、57-66GHzと9GHz幅の帯域が割り当てられています。一つのチャンネルが約1.6GHzの帯域幅を持ち、最大6.8Gbpsのデータ転送速度を持っています。
このような高い周波数帯を利用するため、これまでのWi-Fi機器とは異なり、通信距離が短く、人や壁・モノによって通信が遮られたり性能が落ちたりします。しかし、この周波数帯を利用するシステムは少なく、非常にクリーンな帯域であると同時に、電波の指向性が強いため、ビームフォーミングや指向性アンテナの利用により、周辺にある機器との干渉を回避し共存できる特性を持っています。
これらの特性をうまく利用し、用途に応じて従来の2.4GHz帯や5GHz帯と使い分けるために、帯域間を高速で切り替えできる仕組みが提案されています。
Wi-Fi CERTIFIED WiGig製品は、無線ドッキング、拡張現実/仮想現実、マルチメディア・ストリーミング、ゲームやネットワーク・アプリケーション等に利用されます。一つの部屋の中で4K動画を伝送するというAV機器への利用や、数秒でHD映画をダウンロードすることが可能な高速性から、映画コンテンツの自販機モデル等を利用するスマートフォンへの搭載が提案されています。
ABIリサーチは、Wi-Fi CERTIFIEDプログラムが開始された直後の2017年に1億8000万台のWiGigチップセットがスマートフォン市場に出荷され、2021年に15億のスマートフォン・チップセット市場全体のほぼ半分を占めると予測しています。
今後の展開が注目される規格です。
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