新ソリューション
FRA(フレキシブルラジオアサインメント)
周波数帯を越えた自動化を実現
シスコシステムズ合同会社 前原 朋実
シスコは、システム全体を安定させながら高速通信を維持するための様々な自動化に10年以上前から取り組んでいます。RRM(ラジオリソースマネジメント)、CleanAir、FlexDFSなどいろいろありますが、最初の自動化機能であるRRMの紹介をさせていただきます。
最近はAIなど人間がしていることを機械にさせようといった動きが話題に上ることが増えてきましたが、無線LANは以前から人の作業を機械に任せるのに積極的な世界だと思います。
なぜなら、無線LAN環境は常に周りに影響され移ろいやすく、その変化に合わせて自らを変えないと最適な通信環境をユーザに提供できないからです。それを人がやろうとすると、常時目に見えない電波を見続けなければならないという非現実的なことを求められます。
RRM (ラジオリソースマネジメント)は、システム内と外(不正アクセスポイントと定義されるもの)のチャネル変化状況を常時観察してその情報から独自のアルゴリズムで導き出した結論に従い、システム内アクセスポイントのチャネル切り替えと、出力の調整を行うことでシステム全体のチャネルを最適化します。
そして、802.11ac wave 2 対応の最新アクセスポイント Aironet 2800/3800シリーズでは、そこに2.4GHzと5GHzの周波数帯(ラジオ)も自動で最適化するFRA (フレキシブルラジオアサインメント)という機能を搭載しました。
最近は無線LANに接続する端末数が劇的に増える傾向にあり、それに合わせてアクセスポイント数も以前より密に置かなければならないことが増えてきました。そうなると新たな課題として、もともと3チャネルしか選べずチャネル干渉の考慮が難しい2.4GHzはさらに設計の難易度が上がるという点があります。
結果として、場合によっては2.4GHzチャネル同士の干渉を回避するために、一部のアクセスポイントで2.4GHzをオフにしなければなりません。
これは二つの点から非常にもったいないわけです。ひとつめは、アクセスポイントの性能を半分しか使わないこと、ふたつめは、チャネル状況を確認してオフにするアクセスポイントを判断して実際にオフにする、という作業を人が行う手間が増えるということです。
しかも、その判断はその時は最善かもしれませんが、環境が変化した後どのような影響があるかわかりません。
FRA は、これらの課題を自動化することで解消します。通常、アクセスポイントは2.4GHzと5GHzのラジオをひとつずつ搭載しています。FRAでは、2.4GHzチャネルが重なりすぎる場合に、2.4GHzのラジオを19チャネル使える5GHzに切り替えてしまい、1つのアクセスポイントでふたつ異なる5GHzチャネルを提供します。
この状態を我々は「Dual 5GHz」という言い方をしています。
無線LANの高密度化という新たな要求に対応するために、既存のRRMでは同一周波数帯の中でしか調整できなかったことを、周波数帯を超えて自動調整できるようになったのがFRAです。一見簡単そうですが、2.4GHzと5GHzのアクセスポイント数が異なるのと同じ状態なので、出力まで含めた調整が各周波数帯で必要になります。
アルゴリズムの詳細は社外秘なのでご説明できませんが、これまで10年以上世界中で利用され、日本でも小規模から数千台規模まで使われてきたRRMで培われたノウハウが活用されています。
高密度対応の自動化として、こんな機能もあるのだと参考になれば幸いです。
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