技術情報
スポーツ自転車に使われている無線センサー
技術・調査委員会 松村直哉、情報提供 宮崎俊也
6月に入って、梅雨が気になりますが日差しが強くなり、アウトドアの季節になってきました。今回は「スポーツ自転車で使われているセンサーや無線技術」についてです。
Facebookの友人が先日、なにやらHMD(ヘッドマウントディスプレイ)のようなものを装着している写真をアップしていました。自転車に乗りながら利用するものだそうです。彼に情報提供してもらった内容をご紹介します。
サイクリングで得られるデータ
最近、街中でも郊外でもロードバイクという種類の自転車に乗った人を多く見かけませんか?ヘルメットをかぶって、ぴたっとしたジャージを着て颯爽と走り抜けていく自転車。
実はあのロードバイクユーザーの多くは、様々なセンサーを取り付けてトレーニングしているのです。
今日はそれらのセンサーと通信の仕組みをご紹介します。
ロードバイクには次のようなセンサーが取り付けられることが多いです。
最初が、①スピードセンサー。ホイールの走行時の回転数をセンシングし、ホイールのサイズからスピードを算出します。
次に、②ケイデンスセンサー。これはペダルを回す回転数をセンシングします。ケイデンス値が一定であるほど、効率よくペダリングできていることになります。
最近では仕事量をセンシングする、③パワーメータも広く普及しています。これはペダルのついているクランクの歪み量から算出しているものを多く見かけます。
そして、④心拍センサー、これはユーザーの胸や腕に取り付けるセンサーによってセンシングしています。運動負荷と心拍との関係を可視化することは様々な運動でポピュラーな方法であり、自転車も同じです。
鍵はANT+、省電力技術 まさにIoT!
サイクリストはこうしたデータをどのように使っているのでしょうか?
①②③④というセンサーはANT+(*1)という2.4GHzのプロトコルで常に通信しています。これをサイクルコンピュータという受信機で集中的に受信し、そのデータを過去のトレーニングデータと比較したりしているのです。
(*1) https://www.thisisant.com/developer/ant-plus/ant-antplus-defined/
統合環境でセンシングデータを閲覧する例
下記の写真はその一例で、ヘッドマウントディスプレイの一種です。センシングしたデータをLEDによる色の光や音声で目の辺りに可視化させ、いちいちサイクルコンピュータを見なくても走りながら自身のデータを取得できるという優れものです。いろいろ視点を動かさなくてもいいので、ホビーレーサはもとより、プロの選手もトレーニング中に使っていたりします。
いろいろなセンシングデータを集約し、あらたな価値に変える自転車センシング。まさにIoTの一つといっても過言ではないかもしれません。
■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら