海外情報
5G速度比較、世界各国実測調査!
岩本賢二
5月号の当メルマガで「米国では“5GよりWi-Fiが速い!”」という記事を掲載しました。この調査を行ったOpenSignal社が新たなレポートを8月26日に発表しましたので、ご紹介します。
英国の調査会社Opensignal社は5Gサービスを開始している12の国において、サービスの実測調査を5月16日~8月14日までの約3か月間かけて実施しました。
Opensignal社は単に各サービス(4G、5G)の速度を図るだけではなく、全体のサービスレベルを理解するために手法も導入しました。例えば、5Gと4Gそれぞれの平均ダウンロード速度だけでなく、それぞれに接続可能な割合(時間)を考慮して全体のサービスレベルが分かるように評価しています。
5G利用者による3G、4G、5Gの総合ダウンロード速度比較
サウジアラビアが144.5Mbpsと最も速く、2位のカナダ90.4Mbpsを大きく引き離しています。5G先進国の韓国も75.6Mbpsと3位につけています。
このデータは5Gユーザが接続しうる、5G、4G、3Gの全サービスに対する接続割合(時間)を考慮して全体サービスの平均値を算出しています。
5Gと4Gの個別ダウンロード速度
前出のグラフを4Gと5Gに分解したものがこちらのグラフになります。サウジアラビアの414.2Mbpsという突出した速度が驚異的です。米国の速度が遅いのは、5月号の記事にもある通り、ミッドバンド(3.5GHz)の割り当てが遅れたため限定的であり、主にローバンドと呼ばれる600MHzや850MHzの低帯域帯を利用しているためです。今後は3.5GHzの割り当てが増えるため一気に上位に躍り出る可能性があります。また一方で米国のVerizonが提供しているミリ波帯のサービスでは平均速度が494.7Mbpsという結果を出しています。
グラフの下の方に入っている数字は5Gが4Gに対して何倍の速度かを示しています。ここでもサウジアラビアの14.3倍はすごい値です。
5Gユーザの各サービスへの接続率
たとえ5Gサービスが開始されても実際に繋がるエリアが狭かったり、設置方法に問題があれば、利用できる相対的時間は短くなり、4Gと変わらなくなります。しかし、始まったばかりの5Gが既に4か国において20%以上の接続率になっているのは驚きです!今後設備の増強が継続されていくので、多くの国で20%以上の接続率になるのはあっという間だと思われます。
前出のグラフでは米国の5G接続速度が遅いのが目立ちましたが、この理由としてローバンドを利用していると説明しましたが、その見返りとして、こちらの接続率では米国はかなり上位へと食い込んでいます。ローバンドの電波は回り込んで遠くに到達しやすいために有利になっています。
近い将来、米国では5GサービスにLAAというアンライセンスバンド(6GHz)を利用した高速ダウンリンクサービスなどが追加されていきます。そうなると、現在では低位にいる米国が一気に上位に巻き返す可能性があります。始まったばかりの5Gサービスですが、今後の動向が気になります。
参考:
https://www.opensignal.com/2020/08/26/benchmarking-the-global-5g-user-experience
■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら